続いて桂しん華さん。
たまに、妙に聴きたくなることがある。聴いて満足するかというと、若干モヤモヤしたりすることもあったりして。
まあ、不思議な人である。
開演前の前説では、「携帯電話はお切りください。私鳴らしたことがあります。そのときはすみませんでした」。
誰に謝ってるのやら。
今日は時間がどのぐらいになるかよくわからない噺をいたします。
なので、先に落語やってからマクラでいいですか。
今相談してきたらいいっていうことなんで。
落語のあとにマクラ?
いったい何を喋るのか聴いて見たかったのだが、結局落語で時間が埋まったようで、そのまま降りてしまった。
ちなみに相談相手は「仁馬アニさん」と言う。これももちろん、芸協での香盤に基づくもの。
今日は王子の狐。
実にもって不思議な味で。
まず本編についた七度狐のマクラ。
腕に覚えのあるお侍が、狐退治。
しかし腰のものに手を掛けては汚れである。手で捕まえてくれよう。
でも畑の大根を抜いてた。
しん華さんの古典は,普通に聴くものとどこかが、何かが違うのがミソ。
この王子の狐だと。昼寝してる狐に石を投げて脅かすという場面がある。
石は当たりはしないが、狐は飛び起きて人間の女に化ける。その一部始終を見られている。
化けた女に「おたまちゃん」と呼ぶ理由もついている。女は珠など付けて着飾ってるから。
「おこんちゃん」と呼ぼうとしてやめている。
人間の男に化かされる狐だが、最後っ屁で逃げたので、結局痛い目には遭わずに済んでいる。
ただし翌日穴に行くと、慣れぬ酒の二日酔いで苦しんでいる。
暴力を避けつつ、なかなか合理的である。
面白いのだが、先にいちかさんの作り上げた空気とあまりにも方向性が違う。
いっぱい入った客から戸惑いが感じられた。どう楽しめばいいの?という。
戸惑いまで楽しめれば、クセになるかもしれない。
トリは三遊亭仁馬さん。
二ツ目昇進時の坊主頭のイメージがまだある。すでに髪を伸ばしてからも遭遇してるのに。
しん華さんに「落語のあとにマクラやっていいですか」と相談されました。
OKを出したとかではなくて、何言ってるんだろうこの人みたいな感じ。
しん華さん、レコーダーで出囃子鳴らすときに、随分前からボタンに手を掛けて緊張してました。とのこと。
師匠・圓馬は怖い。
落語界、入ってみたら怖い師匠が実は優しいということがあるが、うちの師匠は本当に怖い。
師匠から、弟弟子のげん馬に稽古つけてくれと言われた。
人に教えるのは勉強になるんだから。
教えるのは「からぬけ」。
うなぎのにゅるにゅるの所作を教える際に、「了見」も教える。
でもげん馬は、訊いてみたらもともと鰻職人だった。ごめんなさい。
串打ち3年、で辞めたんだそうで。
しかし「からぬけ」に、鰻屋みたいなうなぎにゅるにゅるのシーンあったっけ?
最近、「寄合酒」だと思ったらん廻し、というものを続けて聴いている。
落語協会、円楽党、と聴いて、今回は芸術協会。面白いことである。
もともと同じ噺の前後半らしいので不思議ではないのかもしれないが、でもそんなスタイルは聴いたことなかったのに。
みんなで酒飲もうとして、誰もおあしがないので結局断念するという。
でもアニイが出すから木の芽田楽を食おう。ついては言葉遊びといこう、で「ん」のついた言葉を言い合う。
というわけで、ゼニのないくだりとん廻し、二度山場がある。
冷静に考えると、トリで「ん廻し」は軽すぎないか?
楽しいからいいけど。
芸協でよく聴く小遊三型と違うのだなと思ったが、ん廻しのくだりに入ってみるとよく似ていた。違うことは違うのだけど。
にんじん大根ピーマン、の真似をして「きゅうりんトマトんなすびん」。
このアホが最後、神泉苑の言い立てをする。変な展開だが、面白い。
小遊三型でもあって、「新橋 虎ノ門 新宿 電車 150円」というのが入っている。
言い立ては、私の知っているものと同じ。
ただし、意味の説明は詳しくはない。万金丹とか反魂丹とか、薬の名前ですと言わない。
まあ、意味よりもリズム重視なんでしょう。
こういうことば遊びの噺も流行り掛けている?
そうだとして、「洒落番頭」が流行るのと同じく、なぞかけブームが背景にあるというのは想像がたくましすぎるだろうか。
さて、翌月曜日も買い物都合で同じくワンコイン寄席に行きました。
小はだ、きよ彦、竹千代という顔付けです。
また明日。