神田連雀亭は二ツ目限定の寄席。
落語と講談、浪曲の二ツ目が高座に上がっている。上方落語、浪曲は二ツ目制度がないので二ツ目相当である。
神田連雀亭に二ツ目の何割が出ているのか・・・半分が出ています
こちらの記事にも書いたが、神田連雀亭、長いこと新メンバーが加入しなかった。
事情など知らないが、メンバーが飽和状態にあり、キャリアが下の二ツ目を入れられないのだろうということは容易に想像がついた。
上が昇進、卒業して抜けていかないとなかなか厳しい。
このたびようやく新メンバー加入とのこと。
- 三遊亭好志朗(円楽一門会)
- 春風亭昇りん(落語芸術協会)
- 三遊亭好青年(円楽一門会)
- 春風亭昇咲(落語芸術協会)
- 桂小右治(落語芸術協会)
- 柳亭市好(落語協会)
- 瀧川鯉三郎(落語芸術協会)
- 林家やま彦(落語協会)
- 林家きよ彦(落語協会)
- 春風亭与いち(落語協会)
立川流がひとりもいない。以前調べたとおり、出場率がいちばん高い団体なのに。
ただこれは深い意味はなくて、世代的にたまたまみたい。立川流の香盤を見るとうなずける。
立川流自体がシュリンクしているのではないかという気がしないでもないが。
それはそうと、連雀亭でずいぶん聴かせていただいた立川笑二さん、いつの間にか名前が消えているのに気づいた。
抜けたのか。弱ったな。
入ってくる人は大々的に取り上げるが、卒業以外で抜ける人はなんの注釈もなし。
連雀亭自体が落語界の縮図。まあ、いいけど。
落語協会4人、芸術協会4人、円楽党2人。まあ、いいバランス。
上記の新規加入メンバーは香盤順、つまりキャリア順。
三遊亭好志朗さんはすでに二ツ目になって4年。二ツ目の大きな大会であるさがみはら若手落語家選手権も獲って順調に出世している。
年齢が高いこともあり、二ツ目界でもベテランのイメージ。
もう連雀亭に出たい人ではないように思っていた。
あるいは実際その腹づもりだったのかも。同じ年に二ツ目になった芸協の三遊亭仁馬さんは、2年前にすでに入っているからだ。
円楽党からはスウェーデン人の好青年さんも。この人は好志朗さんのすぐ下の弟弟子で、同じ年に二ツ目になっている。
ユーモアセンスの非常に高い人で、日本語でやる普通の高座も面白い。
国際的な舞台だけで活躍していっても不思議はないのだが、ちゃんと寄席に出ようというところが立派。
林家きよ彦さんは、連雀亭にいつ出るのかな、なかなか出ないな、もう出ないのかなといつも思っていた。
新作落語の鬼才であり、笑点特大号の女流大喜利にも出ているから、この中では名の知られたほうだろう。
兄弟子であり、昇進から今回の入会からすべて同時に来ているのが林家やま彦さん。
ポンコツ前座として有名だった人。といっても、市馬会長をはじめ、楽屋で可愛がられてはきたようで。
ネタ帳に「粗骨の死者」と書いたエピソードが有名。
私も黒門亭でもって、前座としてめくりを替えるのを忘れたまま一席終わってしまったり、自分の高座で「転失気とはおならのことです」としくじって、そこがいちばんウケたりしたのを目の当たりにしている。
いいんだけど、代表作らしい「肉の部位VI」という新作落語は、桂小春團治師の「冷蔵庫哀詩」に似すぎていてよくないと思う。
一度しか聴いてないが桂小右治さんはよかった。
春風亭与いちさんは、前座のうちはあまり好きじゃなかった。最近ラジオ深夜便の一席を聴いたが、これもよかった。
新入会香盤の最後にいるこの人も、やま彦・きよ彦と同じタイミングの二ツ目昇進。
もう3年経ってるわけで、やはりなかなか入れなくて大変だ。
ちなみに、ご本人が出たいかどうかは一切知らないが、今回の入会メンバーの香盤のさらに下に、売れてる人や話題の人がこれだけいます。
【落語協会】
- 古今亭雛菊
- 柳家小ふね
- 三遊亭ごはんつぶ
- 金原亭杏寿
- 春風亭いっ休
- 鈴々舎美馬
- 柳家小太郎
【落語芸術協会】
- 三遊亭あら馬
- 桂しん華
- 春風亭かけ橋
- 桂南楽
- 桂銀治
- 桂空治
【五代目圓楽一門会】
- 三遊亭萬次郎
名前挙げてない人の中にも上手い人がいる点はお断りしておきますが。
二ツ目も完全な競争社会で、大変であります。
いや、上がつかえているのは競争がないからなのかもしれないが…