あかね噺第7巻(上・ニンとフラ)

12巻まで出ているあかね噺の第6巻を遅ればせながら先日読み、面白いのだが、もうブログで取り上げづらいなと感じた。
設定が、現実の落語界を軽々凌駕してしまったからだ。
「現実に即しておかしい」なら批判のしようもあるが、「大看板女流落語家」など、現実を超えてしまったフィクションに、もはやどうこう言えないではないか。

ネタが切れたらまた続刊を読もうと思っていたのだが、別にネタ切れではない。
このところずっと毎日書いてるし。
ブログ開いたとき最下部に、私の関与していない検索ヒントが出る。
当ブログの場合は、「神田連雀亭」とか「鉄道落語」とかがよく出るかな。
ここに「あかね噺 6」というものが加わったのだった。
この検索フォームの仕組みはよく知らないのだが、ともかく検索需要はあるらしい。
需要がある以上、マンガの続きを読んで期待に応えようではないですか。
じきアニメにもなるだろうし、それどころかマンガで落語界にあこがれて入門を志す勘違い野郎もきっともう出現しているであろう。
第1巻のレビューが酷評から始まったのだが、理由あってのことなのでファンも大目に見てください。
ちなみに酷評が読みたい人は、1巻の記事だけ読んで去っていく。

週末なので、ebookjapanでPayPay2割引だった。

さて劇的だった6巻に比べると、7巻はややダレ場っぽい。
別につまらないということではない。現実を凌駕したマンガが、やや現実に降りたかなという。
そうなると、この描写はちょっと変だねとか、そういうつつき方を復活したりして。

阿良川一門は、立川流を模した独立団体だと思っていたら、落語連盟内で好き勝手なことをいろいろやっているのだった。
これは読み進めているうちに知った事実である。
一門だけで二ツ目四人会を実施して、そこに前座もひとり加えるので、一門の前座で、予選オーディションをやるという。
ジャンプルールは落語界よりも優先するのだな。まあ、常に戦っていかないと本当にダレるから仕方ない。
ところで阿良川一門の前座はみな優秀なんだそうだ。
現実の立川流の前座が優秀だとは、あいにく聞いたことがない。私自身で確かめる機会もないのは事実だけど。

会場は江戸橋亭。
モデルはお江戸日本橋亭である。昨年をもって、建て替えのため惜しくも休館となった。
先日日本橋亭の前を通ってみたら、もう看板も外されていた。当たり前だが。
小さな小屋だが、なくなってしまうので講談協会が右往左往しクラファンも実施していた(成功)。
ちなみに、お江戸上野広小路亭から立川流が1日を残し追い出されたのも日本橋亭に遠因があると思うのだが、そのわりには広小路亭には休席もある。
そして玉突きの起こりそうなお江戸両国亭は昨年と比べスケジュールが詰まってもいないという。さっぱりわからない。
江戸橋は日本橋の隣である。都営浅草線は昔江戸橋駅だったが、改称して以来日本橋の範囲が広がったようだ。

「ニン」と「フラ」について取り上げられていた。あかねの兄弟子、まいけるが仕入れる噺の選択にあたり、熱く語ってくれる。
ニンに合う噺を選ぶといいが、逆にまるで合ってなくても噛み合うこともあると。
ああ、「落語 フラ」で検索すると私の記事もヒットし、訪問がちょくちょくあったが、元はあかね噺かと。
ますます、このマンガのファンは大事にしなきゃならない。「前座噺」の訪問が多いのも、あかね噺かららしい。

ところで、「ニン」は「この噺はこの演者のニンに合う」などといって使う。
非常にギョーカイっぽい言葉。他の言葉では言い表せないのだ。
これは歌舞伎から来た言葉で、「仁」だと書かれている。
そうなんだ。調べたらそうだった。
私は「人」だと思っていたのだ。どこかで読んだ気がするのだが、語源を考えたときは誤用ということになる。
ところが、あかね噺の6巻では同じ意味で「人」で出てきていたのだ。
指摘があって修正したものか。

歌舞伎のニンを、落語ではフラというとある。
そうなのかな? 私は違う言葉だと認識しているのだけども。
少なくとも、落語における実際の用例は異なる。
ニンは合うか合わないか。フラは、演者の持っているそこはかとない面白みである。
噺家さん、フラが漂ってくる人は決して多くないけども、現役だと柳家蝠丸、昔昔亭桃太郎、瀧川鯉昇などの師匠がたが思い浮かぶ。
みな芸協であるが、偶然ではないと思う。桃太郎、鯉昇の両師匠は、私がフラキングだと思っている春風亭柳昇(故人)の弟子である。
まあ、ニンとフラについてはケチを付けたいわけではないのだ。語源がそうらしいと納得することにする。

書くことが予想以上に多いので、続きます。
ただし明日は別の記事を書く予定です。

12巻セット

作成者: でっち定吉

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