落語協会新規加入色物はよりどりみどり 久々に芸協に勝ったか

「寄席は365日開いてる」なんて気軽に言うが、ウソだとは言わないが正確ではない。
28日でもって寄席の定席も終了。昔むかしは大みそかに実にひっそり営業していたそうだが、今はラスト3日は休みだ。
だから、1年のうち362日または363日営業しているというのが正しい。
まあ、たまに余一会が埋まらず、そして下席の延長もせずに月の31日休館してることもありますが。

なんて思っていたら、例外の例外。
浅草演芸ホールは、東洋館ともども29から31まで特別興行ですねえ。これはこれで、最近なかったことのように思う。
今年の浅草に関して言えば、366日開いてる寄席だった。

さて、色物さんである。

落語協会の正会員に最近、続けて3組、というか全員ピンであるから3名加入した。

  • 寒空はだか(漫談)
  • タブレット純(ムード歌謡漫談)
  • 遠峰あこ(アコーディオン漫談)

ビッグネームである。
寄席に出てからビッグになるのはわかるが、出る前にビッグだということも珍しい。

ちなみにさらに前の入会が2023年末で、すでに寄席の欠かせぬ顔となっている、如月琉、小梅、ウクレレえいじ、岡大介の各先生。

寒空はだか先生もかなりのものだが、最も強烈なインパクトを受けるのが、タブレット純。
すでにNHKの演芸図鑑や真打ち競演などに多数出演しており、押しも押されぬスター。
上方落語の会に出たときも、尋常でないウケかただったと、ラジオで聞いた。
頼りなく出てきて、頭を下げながらボソボソ語り、歌に入ると(そもそも本職であり)朗々と声を張り上げる強烈なギャップ。そして歌が終わるとまた元に戻る。
タブレット純先生、気になるのは、正月の寄席に顔付けされていないこと。協会のサイトに出ている出演予定は、12月29日の圓菊一門会(前述の、浅草の企画)だけ。
東京かわら版には名前がある(もちろん寄席ではない)。

まあ、すでにスターなので、落語協会入りする前から、年始の予定が詰まっているんでしょうね。
ただそもそも、今後本当に寄席定席に出るのだろうか?
池袋でお見かけしたい。

落語協会の色物で、定席に顔付けされているのを一切見たことがないのが、綾小路きみまろ先生。
昔出たことあるんだろうぐらいに思っていたが、実際はどうなんだろう。
色物会員になったといっても、こうなってしまう可能性もあるかも。

それはともかく、色物の世界において、落語協会が久々に芸術協会に追いつき、瞬時に抜き去ったのではないか、そんな気がする。
なにを持って並んだか、なにを持って抜いたか、それはもう主観ではあるけども。
世の中には、優秀な芸人を揃えた落語協会が、芸術協会に負けることなどあり得ないと信じている人もたくさんいるのでありまして。そして、もちろん色物もそうだと認識している人が。

弁士の坂本頼光先生が加入した頃が、最近の芸協色物のピークだった気がするのだ。
実際、頼光先生はその後出づっぱり。寄席のクイツキで、空気を変えるのに最適。
その後加入したのは、新宿カウボーイだけだ。
母心は、会員になっていると思っていたらずっと客員のようだ。

芸協さんもそろそろ新顔が必要かもしれない。
芸協の勝負番組だと、最近は陽昇にぴろき、ナオユキ、ねづっちがお約束のように出てくる気がする。
いや、私も寄席の目当てにしたい好きな人ばかりなのだけども。いやこの発想こそすでに落とし穴なのかもしれない。
ヒザからボンボンブラザースを追い落とすような若手が必要なのかもしれない。

ウクレレえいじ先生の躍進を見ていて思ったところだが、落語協会の色物は、すでに仁義なき戦いに突入している。
今回の3人で、ますます出番の争いが苛烈している。
しかし、特定の芸人を楽しみたいというファンでもない限り、競争が激化したほうが楽しいのは間違いない。

ちなみに色物の種目として、芸術協会にはあって落語協会にはないのが、コント。
キングオブコントでいいところまで行ったがさほど売れていないなんて人は、ここが狙い目かもしれない。
芸協だと、音楽ものが狙い目になるだろう。東京ボーイズしかいないから。

作成者: でっち定吉

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