ひらい圓蔵亭水曜昼席(中・三遊亭好志朗「敗者の語る落語大会」)

続いて三遊亭好志朗さん。
今日のタイトルは演題ではありません。マクラに、私が勝手に演題付けてみました。

好志朗さんの話した内容はニュアンスがなかなか難しい。
聞いた私の解釈も含まれている点はお断りしておきます。

尊敬する先輩が落語の大会で優勝しまして。嬉しかったですね、と振る。

好志朗さんも高齢二ツ目であるが、さらに高齢の先輩、立川寸志さんのことだろうか。最近さがみはら獲ったこの人では。
そこから、負けた人に話を持っていく。さがみはらに限らず、大会で見られる一般的な敗者の話。

勝った人に対し、アイツなりふり構わず頑張っちゃって、と負けた側があてこするのはよくある。
自分だって、同じだけ力を入れれば届くのだ。でもそこまではあえてしないのだ。
さらに、標的が勝った人でなく、僅差で負けた人になる場合もある。もっと下の順位の敗者が、惜しい2位を悪く言うのである。
「アイツは馬鹿だ。どうせ負けるのにあんな一生懸命やって」
得意ネタを見つけ、1年間一生懸命稽古し、本番で全力出しきった。なのに負けてしまう。
自分だって勝った人、惜しくも負けた人と同じぐらいの実力はあるのだが、そこまでやらなかったのだから賢いのだ。

この手のこじらせた先輩を、好志朗さんはかなりdisる。
こんな毒舌を持っていた人とは知らなかったのでびっくり。

いっぽう、惜しくも負けた人の中で、敗戦に対して極めて謙虚な人もいます。自分の実力が足りなかったのだと反省して。
そして、自分のやっていた路線を捨てて、切り替えます。
こういう人には仕事が来ます。大会終わったあとで、来週空いてる? なんて声が掛かって。
西船橋の会で、ギャラが4,000円だったりするんですけどそれでも声が掛かります。
私も大会でこんな人を見ました。私のほうが上手いんじゃないかと思ってましたけど、でも仕事もらえるのはその人なんです。

話の途中、急に好志朗さんが「萬次郎!」と大声を出す。
「ごめん、エアコンにいじめられてるから切って」。
ときどき、エアコンが急に点いて、温風が顔に当たるらしい。
ポルターガイストひらい圓蔵亭。

どこまで行きましたかね、と話を戻す。

こんな話をなんでしてるかといいますと、その先輩に教わった噺をやります。
と、お化け長屋へ。雪の降った日に出す噺じゃないと思うけども。

それにしても落語界、ジェラシーに満ちた世界である。どんな世界もそうかもしれないが。
でも、嫉妬が芸人を強くするなんて言葉もあるんじゃないか。談志は言ってなかったっけ。
ところで寸志さんがお化け長屋をやる情報はない。いかにもやりそうな気はするけども。

このお化け長屋だが、まだ仕上がってないのでは、という気はした。
才人、好志朗さんにとってはまだ先があると思う。もうちょっとでキャラが勝手に動き出しそうな。
ただ、古狸の杢兵衛さんが、最後までメゲてないのはなかなか新鮮に映る。泣いたりしない。
先ほど出てた好二郎さんからもお化け長屋聴いたが、似た雰囲気はあった。
でも出どころが違うのかな?

「古狸の杢兵衛さんいますか」というくだりを話しながら、先の好二郎さん(磯の鮑)とちょっとついちゃったとひとりごちる好志朗さん。
思わぬところでつくことはあるもんだ。

さて、2人目の乱暴な入居希望者を断れなかった、その続きがあった。
フルバージョンお化け長屋とは珍しい。好二郎さんのもそうだったけど。
5分強でこのくだり付け足した。
もともと、前半からすべてスピーディなのだ。
長屋の連中、協力してお化けムードを作り上げる。ジョウロに水入れるの忘れて口でシトシトつぶやいたりしつつ。
長屋の連中、すべて失敗してるのに、乱暴男のほうが勝手にビビってるのがいかにも落語でいい。
80歳の婆さん天井から吊り下げて、そして入れ歯を落っことしてしまう。これが恐怖のとどめ。

前半は発展途上だと思ったのだが、トータルではなかなか素晴らしいものでした。

高座を終え、2階の楽屋に上がる好志朗さんの、「萬次郎、ありがとな」という声が聞こえてきた。

ここで仲入り休憩。同じ1時間半の神田連雀亭昼席だったら続けるところだが。

続きます。

(追記)
思い出して書くことじゃないのだが。
お化け長屋の後半に入り、杢兵衛さんが「納豆や」と呼びかけておいて「納豆やはやめよう。豆腐や」だって。
間違えたのは仕方ないとして、別に納豆やのまま続けて良かったんじゃないでしょうか。

 
 

作成者: でっち定吉

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