志らくが、落語が下手だと論じる記事に戻る。
説得力に欠ける記事の内容ではあるが、落語界の共通認識を書き記しているのは事実。
ただし、「落語の稽古時間」が削られるから志らく本人にとってマイナスだという論評は、取ってつけたようではある。
志らくの落語がつまらんという同業者がたくさんいるとして、「あいつは稽古する暇もねえからダメなんだ」と言う同業者は、恐らくいない。
TVでコメントすることだって、本業の稽古には間違いなくなるはず。
一之輔師に、ラジオ出る暇があったら稽古しろなんて言うとしたら、実にもって余計なお世話である。それと同じ。
志らく嫌いの同業者たち、TVで売れることをうらやむか気にしないか、その程度は別にして、出演していること自体を悪くいう人はいないのではないか。
この点はちょっと書き手のピントがずれている。まあ、落語に対する知識はそれほどないようだ。
ここにぶつけるなら、たとえば笑福亭鶴光師のコメントなどがいい。
鶴光師がかつて受けた、先代文治からのアドバイス。
「40だったらまだ取り戻せるけど、50になったら落語に戻るのはキツイよ」。
鶴光師はこれを受けて、40歳まで出まくって、その後落語に戻ったという。
もっとも、50過ぎて初めてTVから声が掛かったという、志らくみたいな人は他に例がない。だから、諫められる人などいない。
その後どうなるか、誰にもわからないんだから。
「落語にのびしろがないので、今後もTVに出まくる」なら、一応整合性が取れている。
この記事を書いた人、ツイッターで結構叩かれているようだ。
でも、一部に叩かれた過去記事を読んでみたが、私は悪印象はまったく持たなかった。乃木坂の献血キャンペーンの記事とか。
叩いている人間は、自分の好きな対象が貶められたと感じるようだが、そんな皮肉な書き手には思えない。
こういう記事を書いて仕事になるその事実は、泡沫ライターの私には素直に羨ましい。
こちらの無署名記事では、コメンテーター枠を争奪する人として、春風亭一之輔、神田松之丞を取り上げている。
一之輔師はインテリで、引出しが多い。しかも、偉そうに人の上に立たず、的確なコメントができる人である。
落語の稽古なんて、壁に向かって一生懸命やっているより、常にものを考え続けているほうが役に立つのだ。
この記事で、一之輔師がワタナベエンターテインメントに所属したことを初めて知った。ラジオで一切語ってなかったから。
確かに、ワタナベの公式サイトに名前が出ている。志らく師と同じ。
そのうち、一之輔師のバーターで志らく師が出ることになったりしてね。
ただ一之輔師、ラジオを聴いていると、最近危ういところもあってちょっと心配している。
ニッポン放送で春から始まった、金曜日の「あなたとハッピー」はとても面白い。相方のベテラン、増山さやかアナとの呼吸がいいのだ。これを聴く限り、TVでもまったく問題なさそう。
だが何年もやっているJFN系列の日曜日早朝「Sunday Flickers」が、ちょっとここに来て嫌な感じになってきた。
こちら、相方のフリーアナが、本当にものを知らない人。
ものを知らないといっても、おバカタレントなみとか、教養がまるごと欠けているとか、そういうことではない。
自分の生活に関係のない、野球やプロレスの知識がまったく欠落しているのだ。一之輔師が豊富な引出しから引っ張り出してくる無数のワードについて、ヒットする領域がゼロ。
一之輔師、呆れた結果、ここにきてマウンティングが多くなってきてしまった。「どうせ知らないだろうけど」的な。
悪い一之輔が現れてきてしまったようで、こちらの番組、聴き続けるのを今ちょっと躊躇している。
まあ、番組制作目線からすると、人の組み合わせが悪いということに尽きるのかもしれないけど。
神田松之丞はTVバラエティに結構出ているみたいだが、視たことはない。
本業のほうはひかりTVで繰り返し流れていて、毎日のように聴いているけど。
TV界で、どこまで毒を吐きつつやっていけるのだろうか? 毒なんてどんどんエスカレートせざるを得ない気がする。
毒が薄くなったらTV人気も薄まりそう。
そのうち「芸に専念」という名目で、TVから消えるのではないかと私は思っている。でも、本業のほうには引き続き客は押し寄せるだろう。