亀戸梅屋敷寄席13(上・三遊亭竜楽「親子酒」と長いマクラ)

楽べえ / 桃太郎
らっ好 / 道灌
好の助 / 死神
(仲入り)
楽之介 / 正蔵と南北
竜楽  / 親子酒

先週行ったばかりの亀戸にまた出かけてしまった。
前の週はクイツキだった三遊亭竜楽師、今回は主任である。
トリの竜楽師目当てだが、他のメンバーも好の助、らっ好という好きな噺家。これは仕事があっても行かなきゃ。
急に涼しくなった日だが、先週と同程度、20人ほどの入り。

竜楽師を追いかけ、亀戸・両国に通うこと3年弱。
常に高い期待をしているにも関わらず、その期待を上回るデキをいつも魅せてくれる師匠。ハズレ知らず。
だが今回、決してハズれたわけではないのだけど、私の高い期待を上回りはしなかった。
マクラはいつも楽しい師匠なのだけど、今回のマクラ、いささか長すぎた。小三治師じゃないんだから。

花薫光(かくんこう)という、超高級大吟醸の話。
茨城・笠間の須藤本家という酒蔵のお酒である。
畠山健二氏の時代小説「本所おけら長屋」が累計100万部を突破したとのことで、発起人のひとりとしてパーティを開く竜楽師。
そのパーティに、花薫光を乾杯酒として出そうと思い準備していたそうな。
しかし手違いでなかなか届かない。結局、当日社長自ら持ってくることになったというのだが、悪天候で時間に間に合わなかった。
乾杯酒なので、宴会が始まってから届いても遅い。
そのすったもんだについて。
私も酒好きだから、竜楽師の語る、ちびちび飲んで旨いという花薫光に興味はある。でも、特にオチらしいオチはないのだった。
長くなけりゃ全然いい内容なのだけど。

落語はちゃんとやりますからねと断りつつ、マクラが長くなる竜楽師。
名作(死神)が出てしまいましたし、楽之介師もじっくり聴かせる話を振ったので、私がトリネタやらなくてもいい感じになってしまいましたと。
楽之介師はともかく、好の助師に対しては多少嫌味でもあるのか? 普通には、噺家らしいシャレと解せるけども。

酒のマクラが豊富にある師匠。
以前「青菜」のときにも聴いた、台湾や南仏の酒の話。お酒は環境に合ったもので、同じものを日本で飲んでもおいしくない。
酒マクラから「替り目」「猫の災難」につながったのも聴いたことがあるが、残った少ない持ち時間からして、親子酒であろうことはだいたいわかる。
ずいぶん通っているのに噺がめったに被らない竜楽師だが、親子酒は3度目である。
3度目でも楽しいのは確かだ。
「猫婆アと呼ばれる婆さんが猫を床に放してから旦那に向かい合う」など、細かいところに感心した覚えがある。
だが、過去に聴いたものと今回は、序盤が結構違っていた気がする。旦那とおかみさんのやり取りが。
猫もいない。時間の関係?

ひとつ嫌だったのが、やたら手を叩く女性客。
竜楽師が上手いことを言うたびに、やたら手を叩く。白けるなあ。
上手いことといったって、それは噺の流れの中でのことである。言った演者に賞賛を送ったってなんにもならない。
私はこういう客が大嫌いだ。以前書いた記事だが「落語の変な拍手」。

亀戸・両国へは通っているけども、客の質はなかなかよくなってこない気がする。
数は、私が体感する限りでも間違いなく増えたが。
そんなこともあり、やや消化不良気味。
でも、全体的には今回もとてもいい席でした。

冒頭に戻って続きます。

 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。