アニメ「昭和元禄落語心中」の落語(助六再び編)/第七話

高座の直後に亡くなった噺家というと、四代目小さん、六代目圓生である。
一方、高座に出なくなってから比較的長生きして亡くなった人は、志ん生、五代目小さん、米朝、三代目春團治。
後者もいい人生だと思う。
高座に上がらなくなるのは、いずれも噺が思い出せなくなったりして、満足に努められないからである。
でも、喋れなくなったら噺家として終わりというものでもあるまい。談志は喋れなくなって早く死にたかったようであるが。

明烏

先代助六とみよ吉の亡くなった温泉(祖谷温泉のようだ)に昔のフィルムを視にいく一行。
第一シーズンのクライマックス、第十二話の再現である。
菊比古時代の八雲師匠、「弁慶と小町は馬鹿だなあ嬶ア」から明烏へ。第一シーズンと比べると、出だしが若干違うのですが。
第四話でも出ていたが、この川柳から始まると「明烏」ということになっているらしいのだが、そうかな?
そちらで先に書いてしまったので、先代助六の「芝浜」とともに、もう書くことがありません。

ところで、「明烏」というタイトルはいささか不思議で、落語世界的には「お籠り」くらいが自然だと思うと書いたのだが、この言い方、隠語として本当にあったらしい。
先代文楽がお座敷に行くと、客のリクエストにより「お籠りをお願いします」と料亭から依頼があったと、柳家小満ん師匠が著書「べけんや」で書いている。

ところで与太郎の当代助六、先代の墓参りは初めてらしい。いささか不自然だ。
名前を継ぐ場合、先代の法要からなにから全部取り仕切るものらしい。馬風師の著書に書いてある。
もっとも、「助六」の名前を持っていたのは八雲師匠なので、与太郎が助六を襲名するときに、法要などの義務はついていない。でも、襲名のときに先代の墓参くらいしないか?
まあ、これは落語に関してのアラじゃないですが。

ちなみに、先代助六とみよ吉が落ちていく、哀しくも美しいシーン。第一シーズンのハイライトのこれ、ディティールの大部分が八雲師匠の作り話であったとはな。
まるで芝浜。

第八話に続く

作成者: でっち定吉

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