クイツキのロケット団は爆笑。ヒザ前などより、仲入り後のこのポジションがずっと向いている。
四字熟語には早速「関西電力」が登場していた。
師匠・おぼんこぼんのネタ。とても仲のいいコンビですと。日本と韓国ぐらいの。
ラグビーネタで、日大アメフト部の内田元監督を登場させるなど、やりたい放題。
最近、さらに腕を上げているロケット団。
寄席でちょくちょくロケット団を聴いている人からすると、「時事漫談の帝王」という評価だろう。
この日も、滝川クリステルと高輪ゲートウェイを間違えたり。
でも、私の感想はちょっと違う。
本当はロケット団、時事ネタなんてどうでもいいんだと思う。
ではなにを目指しているのかというと、いわば弥次郎だと思うのだ。いかにテンション変えずに楽しい嘘をつき続けていくか。
三浦さんのボケぢからがまた上がっているようだ。爆笑ネタの数々は、まず空気が面白い。
寄席の日常を代表する漫才なのだ。
ツッコミ、倉本さんがどんどん怒らなくなっているのも進化。
寄席の漫才は、必ずこうなっていく。客も交えて、いかに緩い雰囲気とウソ話を一緒に楽しむかだと思う。
柳家小ゑん師は、直前、日曜日の黒門亭で「アクアの男」をネタ出ししていた。
聴きにいきたかったのだが、鈴本のために我慢したのです。
なんでも喋る時代です。新しい炊飯器が喋ったと。まあ、末広亭の裏手に行くと昔からオカマが喋ります。
このマクラだと、「ぐつぐつ」。ちょっと涼しい日があったので、すでに解禁しているそうな。
私にとっては、ほぼ古典落語みたいなもの。隅々まで知っている噺だが、それでも、いやそれゆえに楽しい。
落語協会の寄席にこの時期通うということは、すなわちぐつぐつを聴くということである。
ウケてたなあ。ジングルごとに爆笑。
ここで手を叩くような無粋な客はいなかった。
隅田川馬石師はヒザ前なので軽く「浮世床」。半公の夢だけ。
一朝師の「芝居の喧嘩」とツいてると思うのだけど?
マクラで、私の番で寝られたらイヤだと語る馬石師。
なので、めちゃくちゃ眠かったがかろうじて起きていた。また、馬石師は寝やすい。
我慢したぶん、次のマジックではもう、撃沈でしたが。
当選ハガキをもらっていたのに行けなかった、らんまんラジオ寄席でも、オンエアを聴くと馬石師、浮世床を出していた。
トリでも浮世床、それも夢だけなんだ。軽いね。
床屋のマクラを振り、「バーバーというから入ってみたらジジイがやってる」。
ここで客に対して、「このクスグリ、聴いてどうということはないと思いますけど、喋ると楽しいんです」だって。
そう、噺家さんには、「これが言いたくてこの噺やってる」というのがかなりあるようだ。
バーバーが言いたくて浮世床(あるいは無精床)やる人はそうそういない気がするが。
半分寝ながら、最近よく聴く馬石師の腕にしびれた。
そして、鼻に掛かる声がいい。
関西出身だが見事な鼻濁音使い。だが、単に鼻濁音というスキルだけではない気がする。志ん朝を相当研究したのだろうか?
この人のヒザ前は絶品だなあ。
トリを立てるヒザ前のポジション、単に地味なだけの噺を掛ける人も結構いる。
でもトリを立てるということは、噺の面白さを抑えるということじゃないので。
緩い空間、色物さんを中心に寝ていたが、でも楽しい。
落語が好きであるがゆえに、色物が邪魔に映って、寄席に来なくなるという人もいるはず。私はそんなことはないですが。
寄席の楽しさを知るためには、色物さんも含め、各ポジションの役割をよく知っていなければならない。
なんだ、久々に来たわりに、お前は偉そうだなって?
でも、長年ブログやってるような人でも、寄席のポジショニングに無頓着な人が多いのです。
ポジションをわきまえた見事な一席について、ダメ出しをしている人を見ると、なんだかなと。
この日もまた、個々の高座の面白さよりも、全体の調和にいたく感銘を受けたのだった。