落語の演題、噺家の名前は入力が大変だ

落語の演題、演者の名前の誤字いろいろ」の続編です。

今日のネタは実益含みです。

演題や噺家の名称を文字入力する際には、間違えやすい。
間違えると失礼。
先日、人さまのブログで「柳家さん蕎」と書かれているのをみつけた。おそばじゃない。
もちろん「さん喬」が正しい。
ちょっと間違えたなんてものではなく、ブログのタイトルからなにからすべて間違っている。
教えて差し上げようかと思ったが、アメブロなので登録しないとコメントできない。
蕎太郎、蕎之助、蕎志郎・・・うわー!

噺家の名前や演題は、時として入力が大変。
スマートフォンだとまた作法が変わってくるが、パソコンでの話。

変換にはちゃんとコツがある。変換中にカーソルキーを使って区切り位置を変えることでスムーズになるのだが、使いこなせない人も多いはず。
ちゃんと使うと、最近のIMEは賢いから、覚えがいい。
こんな名称が、予測変換機能のおかげもありすらすら変換されるのだから、よく考えると結構すごい実力。

  • 居残り佐平次
  • 火焔太鼓
  • 三笑亭
  • 権太楼
  • 小遊三
  • 木久扇
  • 瀧川鯉昇
  • 柳亭小燕枝
  • 入船亭扇辰
  • 桃月庵白酒
  • 丈二

難しめのものも結構覚えてくれるものだ。「三三」は無理だが。
笑点メンバーは、有名なので出るみたい。扇を「おう」とは読まないのに。
それ以外でも、日頃の変換のしかた次第。
「やなぎていしょうつばめえだ」と打たなくても柳亭小燕枝は出るし、「ももつきあんしろざけ」と打たなくても桃月庵白酒は出る。
ストレートに変換できるものはそれに越したことはない。

落語の話ではないが、東京を水没から救ったとされる「八ッ場ダム」、「やんば」で変換すればちゃんと出るのに、わざわざ間違った「八ツ場」と書いている人が実に多い。いったいどう入力しているのかと。
古い2ちゃんねる用語の「かぐし」みたいなものか。「ヤツ→ヤシ→香具師」なのだが、これが読めなくてかぐしってなに? なんて訊いて笑われたり。
「ふいんき(←なぜか変換できない)」とか。「ガイシュツ」とか。この手のネタはいろいろある。
話がそれた。
ところで、「常時」と書きたいときまで「丈二」がいちいち出てきて、逆にストレスになったりして。三遊亭丈二師匠は大好きですけど。

「妾馬」という噺。
めかうまと読む。またはめかんま。通ぶりたい人に最適な演題。
だが、めかうまと入力したって変換されない以上、めかけうまと入力せざるを得ない。
なので、うっかりすると自分の頭の中で「めかけうま」になってしまう。
「八五郎出世」のタイトルのほうがいいな。

「明烏」も、メジャーな噺のわりに意外と入力が面倒だ。
あけがらすと打って変換すると、暁烏になってしまう。
これも妾馬同様、洒落たタイトルが落語の中で意味を成していない例。

「岸柳島」も出ない。ちゃんと変換される「巌流島」表記も演題であるけども。
でも、岸柳島のほうを覚えさせた。「がん・りゅう・じま」でそれぞれ続けて正しい字を一度変換すれば、覚えてくれる。

入力不能なのが、「反対俥」。俥が変換されない。
毎回ネットから拾ってこないといけないので、これを機に登録した。

春風亭百栄師も、「ももえ」では変換されない。
でも、「ひゃくさかえ」と入力すると、ちょっとストレス。
「ももえい」と打って変換されるようには覚え込ませた。ストレス軽減。

柳家蝠丸師も面倒で、毎回「蝠」の字を出すために「こうもり」と打っている。蝙蝠。
さすがに嫌になって、今回の記事を機に「ふくまる」の読みで登録した。
この素敵な師匠の芝居に今月行きたいのである。行けば相当数、この字を入力することになるし。
ちなみに弟子の小蝠師が亡くなったとき、ずいぶんと誤字である「幅」の字を見かけた。
ネットの、当人を知りもしないで書く、アクセス狙いのまとめ記事は特にひどい。
故人に失礼な話ではある。

「三遊亭楽㐂」「春風亭㐂いち」という二ツ目さんたちがいるが、この「㐂」(読み方は「き」)は変換で出ない。
出ない名前をもらった噺家さんも大変そうだ。
「喜」の変体字だけども、「楽喜」「喜いち」だと雰囲気がまるで違う。
ちなみに、つい最近までこの「㐂」は文字化けの対象だった。
世の中、地味に進化していっている。
私はWindowsの「メモ帳」でこの記事を書いているのだが、「㐂」が化けずに表示されて嬉しい。
楽㐂(ラッキー)さんの記事を最後に書いた今年の2月の時点では、WebではOKになっていたが、メモ帳ではまだ文字化けしていたのである。

名前に「馬」の入る噺家も、意外と面倒。「ば」から「馬」はもちろん変換できるが、組み合わせが。
三遊亭遊馬師は「ゆううま」、隅田川馬石師は「うまいし」と打っていた。
だが、覚えさせたのでストレス軽減。
変換については、「岸柳島」と同様、回避せず正面から立ち向かったほうがいい場合が多い。
よく考えたら、「馬風」は以前から「うまかぜ」なんて打っていないな。

「金原亭」がスッと出ないのがイヤだ。変換すると「金限定」だもの。
しかし、これだって「きん・はら・てい」なんて打っていないで、ちゃんと正面突破で出るようにすればいい。
早速、「きん・げん・てい」と続けて打って覚え込ませ、金原亭を一発表示できるようにした。
今までの苦労はいったいなんだったのか。
登録もいいけども、出る字だったら覚えさせよう。
金原亭馬久という、Wで難易度高い名前も、一発で変換できるようになった。そうしたら、金原亭馬玉も勝手に覚えてくれた。

最近愛してやまない、柳家花緑一門。
師匠の名前をずっとはなみどりと打って変換していたのだが、一度「ろく」を「緑」に変換させてみたところ、以後スムーズに「かろく」で出るようになった。
緑君、緑太、吉緑、緑助など「緑」の付く弟子がスムーズに変換されるようになったので嬉しい。
勧之助師も、いちいち「勧業」と打って「勧」の字を出していた。第一勧業銀行の。古いな。
だが、「金原亭馬久」と同じ手で、覚え込ませた。
キラキラネームの花飛(かっとび)さんは難易度高いが、「かとび」で出るまでにはした。

柳家小ゑん師匠の「ゑ」を出すのが大変みたいだと、ご本人がツイートしていた。
パソコンなら「ウェ」で変換されるので別にどうということはない。
「かゑる」「八ゑ馬」という噺家もいるが同様。
ただたまに、「小燕枝」を出そうとして「こうぇんし」と入力してしまうことがあるのだけど。

今回を機に新たに登録したのは、「俥」と「蝠丸」だけである。これ以外は登録しなくても、なんとかなるもんだ。
「㐂」は、ご本人たちがもっと売れたら登録します。

(追記:誤変換について取り上げているのに、「岸流島」と書いていて赤面です。「岸柳島」か「巌流島」かどちらかが正解)

 
 

作成者: でっち定吉

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