落語の「鉄」人(その1・オープニングトーク)

トーク しん吉・駒治
算段の平兵衛 しん吉
ロック・ウィズ・ユー 駒治
(仲入り)
上京物語 駒治
鉄道戦国絵巻~関西編~ しん吉

 

コロナ明けの落語2席目は、落語会。
お江戸日本橋亭の「落語の『鉄』人」。米朝事務所の主催。
鉄道落語の西のホープ桂しん吉師が東京で、古今亭駒治師を招いておこなう会である。一度行ってみたいと思っていた。
高卒のしん吉師のほうが先輩だが、二人は同い年ですね。気心知れているわけだ。

東京かわら版で見つけた後、イープラスですぐ買えた。
イープラスで「スマチケ」にすると、手数料がいらないのはありがたい。スマートフォンに表示されるチケットである。
私は本業がキャッシュレスのライターなのに、もっともキャッシュレスと縁遠いのが落語の世界。たまにキャッシュレスで決済できると嬉しい。

開場の午後6時頃に行くと、列が伸びている。一番太鼓が鳴って、じきに入場開始。
噺家はしん吉、駒治の両師しかいないのだから、当然駒治師が叩いているのだろう。
受付では、おでこで検温。
日本橋亭は昨年、「小ゑんハンダ付け」に2回来ている。うち1回の相方が駒治師。これも鉄道落語の会になった
そのときギュウギュウだった客席が、ソーシャルディスタンスを守ってスカスカになっている。47人限定らしい。
スリッパも出されていない。座敷もない。
つくづく、取れてよかったなと思う。当然、満席。

しばらく待つと開演。
メクリには「トーク」とある。寄席にはこんなものはないが、落語会ではおなじみだ。
高座に座布団がふたつ設えられている。座布団が隣接しているのでソーシャルディスタンス的にどうなのか。
と思ったらしん吉師の口から語られる。
トークというものは、通常立ってする。だが、立ち高座だと、飛沫を浴びる客席の最前列が使えなくなってしまう。
なので、演者間のソーシャルディスタンスは無視して、座ってのトークなんだそうで。
なるほど。高座がこれ以上下げられないぐらい後ろに下げられている。

受付をしていて、開演のお知らせもした年配の女性がいる。
この女性は、米朝事務所の人なのだそうだ。だが実はこの日の落語の「鉄」人が、米朝事務所東京事務所の最後の仕事なんだって。
米朝事務所の社長である桂米團治師が、東京事務所をリストラすることにしたのだそうだ。この女性も仕事がなくなるらしい。
しん吉師が嘆くのなんの。今後の東京公演がスムーズにいかないかもしれないんだって。
意固地な米團治師を、客の前でしばらくdisるしん吉師。意固地なのはたぶん本当。
ちなみに、暮れには日本橋社会教育会館で、東西鉄道落語大集合の会がある。
しん吉、駒治だけでなく、東西の先輩である桂梅團治師と、柳家小ゑん師が揃う、日本最大級の鉄道落語会である。
これにも行ってみたいのだが。先日鈴本の配信で「鉄千早」を掛けていた小ゑん師、梅團治、しん吉両師の名前も出していた。
コロナの影響でこのホールの事務所が開かず、今年は開催できるかどうかわからないんだそうだ。
まあ広い東京、探せばどこかにあるんじゃないかという気もするが、東京事務所がないとそれも難しいのだろう。

今日は初めて見る方が多いですねと駒治師。そこで、「落語の『鉄』人」に来たことがあるかないかのアンケートを取ると、半数が初めて。私もそうだ。
「鉄道まったく興味のない方?」というアンケートも取ると、数人の手が上がる。なんで来たのか知らないが、もう来ちゃった以上仕方ないですねだって。

この日の演目はすべてネタ出し。順番は先ほど決めましたとのこと。
駒治師の最初のネタは、「ボタン」というもの(未聴)。だが、替えたいんだって。
作ったばかりの噺を掛けたいんだそうだ。後で調べたら、新宿・道楽亭の「べ瓶・駒治二人会」でネタおろししたばかりらしい。
それから、トリは鉄道戦国絵巻関西編。ご存じ、駒治師が作った新作落語の名作を、関西に置き換えたもの。
関西の鉄道ネタを東京でやるんですから、わからなければもう仕方ないですね、運命ですとしん吉師。
私は関西にしばしいたので、わからないネタはそうそうないだろうと思いつつ。

この日のファンは、鉄道については「かかってこいや」というモードみたい。
駒治師が日頃言う通り、中には鉄道のほうから入ってきた落語ファンもいるんでしょうな。

続きます。

 

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作成者: でっち定吉

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