久々の浅草だが、ずいぶんとケツが痛い。他の寄席に比べて椅子がよくないね。
本来ここは居続け可能の寄席(流し込み)なのだが、この椅子は辛いかも。
さて、2日間愚痴、芸人批判からスタートしてしまった。
冒頭に戻って進めます。ちゃんと存在した、楽しい高座について触れていく。
前座は桂空治さんで、真田小僧。
この後の弁橋さんもいじっていたが、イケメンである。落語協会のイケメン噺家代表、柳亭市弥さんにちょっと似ている。
芸協の香盤では、一番下の前座。
だがこの前座、かなりの腕だ。
クスグリを入れる自分を、俯瞰して冷静に見ている感じである。やりすぎず、非常にほどがいい。
そして演技が上手いのだ。
オチケン上がりなのだと思うが、オチケンでも目的意識を持っている人なら、プロの基準で上手くなるのだなと。
のべつ聴いてる噺でも、会話の緩急ひとつで笑いを生む。
金坊に、「給付金もらうんでしょ」とか喋らせているが、ほどがいいのでクスグリとして違和感なし。前座がこうした入れごとをすると、しばしば自爆するのだが。
あと、お父っつぁんは寄席が好きだが、金坊「今は行っちゃダメだよ」だって。
しかし、イケメンの弟子が来て、文治師は嬉しくて仕方ない様子。
昨日は私、人権がどうのと言っていたくせに、こういうネタはいいのかな?
まあ、楽屋で空治さんが先輩から言われてるのは間違いないけど。
高座返しが女性のかわいらしい前座さん。三遊亭美よしさんというらしい。遊吉師の弟子。
春風亭弁橋さんは初めてお目にかかる。昨年夏に二ツ目昇進。
「精一杯べんきょうします」と挨拶。
ソーシャルディスタンス時代の隠居と八っつぁんの会話をマクラで振って、千早ふる。
これが、先日当ブログで取り上げた三遊亭小遊三師の型であった。
二ツ目になったばかりの若手、あるいは前座時代にだが、小遊三師に直接稽古をつけてもらえるのだろうか?
先月も末広亭で、これも小遊三師の型の「ん廻し」を新二ツ目の三遊亭仁馬さんから聴いた。
独特のギャグに充ちた小遊三師の噺、小遊三師の弟子経由だと薄まりそう。やはり直接教わっているのかなと思う。
小遊三師が、芸術協会においていかに偉大なのかを、若手の高座から改めて思い知るわけだ。
教わる若手のセンスも偉い。だが、ケガしそうで心配でもあり。
弁橋さんはケガしていないので、さすが。
こんなところが小遊三型。
- 隠居が、「娘?いたな、お前そっくりの」とニヤニヤしている
- 和歌を竜田川の部分で切る。長いから。
- 「ブルブルっと震えた」「マラリヤですか」
- 一面の夕間暮れ。こっちがゆうでこっちがまぐれなんてもんじゃない
- 「この話の作者はあたしなんだから」(後半、嘘がバレてる)
弁橋さん、一度目は業平の和歌で噛んでしまう。お前さん、ちゃんと稽古しなよという隠居のツッコミを受け、もう一回ちゃんと言って客から拍手をもらう。
いい感じで進むが、残念ながら後半やや失速。
「なんで吉原の絶世の花魁が女乞食になるんですか」というセリフが抜けてた。わざと抜いたのでないことは確かだ。
しかし、欠点もありつつなかなか楽しみな高座。
前座の空治さんもそうだが、ギャグをぶっこんでる自分を、どこか冷静に眺める視点を感じる。
小遊三ギャグはすごいが、小遊三師だから成り立つもの。ちゃんと自分に合わせて改造しないといけない。
笑福亭希光さんは久々。アロハマンダラーズのベース担当なので顔付けされている。
前座さんが、見台と膝隠しを持ってくる。これが真新しいもので、クイツキの神田紫先生が使っていた釈台ではない。
4年前に最後に来た浅草のトリは、希光さんの師匠・鶴光。そのときは釈台だったはず。講釈師に100円払って借りまんねんというのは、鶴光師の定番ギャグなのに。
上方落語のために、見台を用意しているのだ。贅沢ですな。
希光さん、二ツ目だから寄席でお見かけしたことはないのだが、外でもって結構な数を聴いている人。
でも、見台使うのを見るのは初めて。せっかくだからってなものか。
結構楽しみにしていた人だったのに、ここで爆睡。たまに見台の「パン!」で目が覚める。
寝てるやつがなんか言う資格はないのだが、時うどんのサゲが気になった。演出の問題ではなくて、噺自体。
一般的な時そば(時うどんもだいたいそうだが)のように「四つ」で落とすのではなく、「五つ」で落とす。
あれ、五つで落とすとなると、本来の九つより、3~5時間程度も時間が早い。早すぎない?