配信落語「新作まみれの会」

WordPressで作っている当サイト、26日の早朝、httpsに移行しようとしてミスり、復旧が大変であった。
アクセスしてエラーだった方にはご迷惑お掛けしました。
久々にftpでアクセスして、いらないフォルダを削除したり。しかしいるフォルダまで削除したりなんかして。
でもなんとかhttpsにできました。アドレスの前に「保護されていない通信」の表記が出なくなり、安全性が向上しました。

さて夢空間チャンネル「新作まみれの会」というものをYou Tubeで聴いた。

新宿、池袋など人数制限を撤廃した寄席も出てきているが、いっぽうでまだまだ配信落語も多い。
「新作まみれの会」はとても面白かったのでぜひご覧あれ。新作落語の名作とトークがたっぷり聴けた。
新作の人のほうが、客の反応がなくても気にしないようである。
この配信を、1日のネタにさせてもらいます。

林家きく麿師の傑作、「スナック・ヒヤシンス」がまた聴けて嬉しい。
2017年の年末の池袋で爆笑した一席。
キーワードは山田とビビクリマンボ。
それどころか、「スナック・ヒヤシンス2」まで聴けた。たぶん、続編であるがゆえに寄席で聴けることはあるまい。
この、ユニークな新作落語連作を、三遊亭白鳥師が激賞していた。人の新作では笑わない師が。
「山田ですぞ」も激賞。

そして春風亭百栄師は「ホームランの約束」。
これも以前、喬太郎師の番組や浅草お茶の間寄席に出していた傑作だが、サゲが変わっていた。
落語協会の人には珍しく、志らく批判をギャグにしている。
「珍しく」というのは、落語協会の人は志らくについては、日ごろほぼ無視しているからである。
「立川流を無視」ではないので念のため。「志の輔」「談春」というワードはしばしば聞くからだ。
実際、トークで白鳥師も談春師の名を出していた。
別段とんがっているわけでない百栄師が、志らくの下手さをギャグにする。
志らくの下手さをネタにしていいということは、新作派の昇太、白鳥、喬太郎という、多少志らくと接点のあった人たちもそれを許容するということである。興味深い。

志らくは先日も正蔵師をdisっていたようだが、そんなことで世間にウケると考えているなら浅はかだ。
今や「志らくは落語が下手」という大前提のもと話を広げて、世間の共感を得られるようになったのである。
実際に上手いのか、下手なのかはさして問題ではない。「志らくは下手」と高座で語り、万人に受け入れてもらえることのほうに意味がある。
すでに物笑いになっているコメンテーターが、落語の評価がすっかり高くなった正蔵師をバカにするのだから世の中は不思議だ。
誰のYou Tubeだったか忘れてしまったのだが、「志らくさんは落語の大家なんですか」というコメント欄での質問に対し、落語協会の二ツ目さんが「志らく師匠は中堅の真打という認識です」と回答していたのも思い出す。
中堅真打って、私のイメージでは柳家小せん師ぐらいのキャリアの人だけどな。
もちろん志らくとしては、配信でこんなことを落語協会の噺家に言われ、抗議することはできない。自分が先にdisってるのだから。
もうじき、「志らくって落語下手な癖に偉そうにしてるんだろ」と落語を知らない人が無責任に言いだす。もう言ってるか。
それを聞いた本人は「私は談志に認められたんです」と弁明する。それじゃキウイと同レベルだよ。

白鳥師は「老人前座じじ太郎」。
前述の池袋、「スナック・ヒヤシンス」の直前の出番で、真打になった丈助師、当時たん丈が出していた。
丈助師は、42歳で入って、当時真のじじい前座だった人。
楽屋仕事をさせられる真打の名が、「三遊亭天どん師匠」に変わっていた。ついに実名か。
私の知っているバージョンでは三遊亭勝どんだったけど。

配信打ち上げでもって白鳥師、酔っ払いつつも新作落語を熱く語る。
古典派に向かって、「誰も新作作れないじゃないか」と。
もっとも、古典ひと筋で大成している人もたくさんいるので、新作派が威張るのもおかしいのだけど。
ただ、白鳥師の言うのもわかる。
「新作もやってみよう」と、すでにある作品に手を出してみる噺家は似非新作派なのだ。自分で書かない限り新作落語家にはなれない。
とはいえこんなこと言う白鳥師、意外と古典の技法をしっかり身につけている。

それにしても白鳥師匠が、あまりにも落語界を知らないので、一ファンとして驚愕。
百栄、きく麿が同じ一門であることを知らなかったのでびっくり。そんなもの、落語ファンなら共通認識である。
きく麿師の一門(木久扇)の出自を知らないということは、つまりSWAの盟友である林家彦いち師についてもわかっていないということである。同期の橘家文蔵師(この日もネタになってた)のこともだ。
先代正蔵門下には、林家がいて、橘家がいて、春風亭がいるということも知らないのだろう。
「俺、芸協の真打も二人ぐらいしか知らない」だって。
まあ、そんなはずないけど。昇太師以外に、瀧川鯉朝、古今亭今輔という新作派を入れてもすでに3名だ。

あと面白かったのは、弟子入りのエピソード。
落語ブームだからといって、龍玉師に弟子入り志願して断られた人が新作派の弟子入りにやってきたりする。それはおかしいだろうと。
白鳥師は、新作書いて持ってくる人しか採らないそうである。
書ける人なら採ってくれるかもしれない。

作成者: でっち定吉

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