国立演芸場11 その3(瀧川鯉八真打昇進披露口上)

バイオリン漫談のマグナム小林先生は、常に同じ構成、同じ客いじりの予定調和高座なのは不満。
すごいことやってるのにもったいないな。
落語協会の「のだゆき」先生にもかつてそういう印象を持っていたが、最近は結構変えてきている。ジャグリングのストレート松浦先生も。
色物の先生が寄席でいかにアドリブ高座を務めているか、最近それをよく理解できるようになったところだ。
「先生」って呼び方に違和感持つ人もいそうですが、色物芸人に使う敬称。師匠とそれほど変わらない。

仲入り(早い)は2年振りにお見掛けする三笑亭夢太朗師で、目黒のさんま。
先の鯉枝師について、寄席に帰ってきてくれてよかったとコメント。
本編はこの秋初めて聴く目黒のさんま。秋の貴重な季節ものとはいえ、このメジャーな演目にさすがに新鮮味は感じない。なのでつい寝てしまった。
演者が少ない少数精鋭の寄席で寝ていてどうする。
でも、連雀亭から4㎞の道のりを歩いてくる時点で、前座はともかく、どこかでこうなる予感はすでにしていた。
そのまま珍しく、仲入り休憩も丸々熟睡してしまった。

寝ぼけまなこの仲入り後は、披露目の口上。
披露目なので、前座からすでに後ろ幕が出ている。
鯉八師の「8」を図案化した青色のデザインである。これを紋にもしている。
後ろ幕の送り主は、「武蔵境自動車教習所」など。

披露目の口上は4人。ちょっと少ない。5人欲しい。
下手から、司会の鯉枝師、鯉八師本人、鯉朝師、そして夢太朗師。

鯉朝師は、本来だと師匠・鯉昇が出るところなのだが、今日はいい解体の仕事が来てそっちに行ってしまいましたって。
鯉朝師は当初からの顔付けで、代演というわけでもないのだけど、確かに本来は師匠が出るところではある。
鯉八は褒められて伸びる奴ですと。厳しい言葉はいらないので、褒めてやってください。
鯉八はエゴサーチの大好きな男です。褒めてやればやる気を出します。

夢太朗師は、芸協副会長の柳橋師の代演だが、日本演芸家連合会長として紹介される。
ああそうか。偉い人なのだ。
日本演芸家連合の仕事は、春風亭柳昇に言われて始めたものだ。その柳昇の孫弟子が真打となり、感慨深いと。
鯉八師が前座のときに、旅に出た。石垣島から船に乗るが、海がとても荒れている。その船の中でぐうぐう寝ていたのが鯉八だったなんて。
師匠たちが語るのを総合すると、鯉八師は前座のときは目立たなかったという。これはご本人が語る通り。
そこから模索して、新作派で確固たる地位を占めるようになったのだ。

三本締めの音頭を取るのは夢太朗師。本来なら副会長の柳橋師がやるところだが、いい解体の仕事が来たのでそっち行っちゃったと。

口上の後は鯉朝師から。
最近テレビで売れている弟弟子、鯉斗の話。暴走族のヘッドだった鯉斗、どんなやつが入ってくるのかと戦々恐々としていたら、実際には非常に礼儀正しい青年だった。
それに比べると、鯉八は最初から瀧川一門のドンピシャでしたと。
鯉枝、鯉太、傳枝、鯉橋(鯉朝師はこの4人を悪のビートルズと呼んでいる)たち、飲み友達と同じにおいがしたんだって。

さて鯉八も鯉枝も新作です。私も新作掛けたいんですと鯉朝師。新作好きの私は大歓迎。
だが、6月に聴いたばかりの「街角のあの娘」だった。主人公は南千住の不二家店頭に置かれたペコちゃん。
ガッカリしそうで、しなかったから面白い。私もあの楽しい噺を再度聴きたいなと思っていたので。
前回はなかった、特に恨みつらみがなくても物体が意識を持つことはあるんじゃないでしょうかという前置き付き。
ただ、ストーリーが一部変わっていた。変わったというか、別バージョンなのだろうか?
不二家南千住店の店長が片思いする相手は、バイトの女の子である。
店長は52歳独身、身長156cmで頭が中途半端な天パー(客の目の前の人だ)という人なので、若い娘が相手だとどうだろう。以前聴いたように、母子家庭のお母さんのほうがピンとくるのだが。
そしてサゲもまた、私の記憶にないもの。店長は失恋で終わる。
しみじみとした情感に価値があった、前のバージョンのほうが、私は好き。
とにかくも、大いにウケておりました。

ボンボンブラザースは、時間が10分なので手短か。どんな時間でもしっかり楽しませてくれる。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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