喬太郎・文蔵・扇辰三人会 その1(入船亭扇辰「田能久」)

木曜の両国寄席(主任・鳳志)に行こうと思い、なんとか仕事を1件仕上げる。
仕上げて昼寝したら、しんどくなったのでやめた。
翌金曜は、亀戸梅屋敷寄席で、同じく鳳志師の主任。直前に確認すると、仲入りの好の助師が道楽師に替わっている。
さすがに、これではつい先日の亀戸と被り過ぎなので、やめる。
どこか行くところがないかな。
改めて東京かわら版で確認すると、「喬太郎・文蔵・扇辰」の三人会がある。
日ごろはこんなたいそうな落語会には目を向けない。こういう会に「しか」行かない人も、世間にはたくさんいるでしょうけどね。
5月7日の振替公演。だから平日昼間。
当日券ありとのことなので、ひとつ突撃してみる。

「葉月の三枚看板」というタイトル。副題として「噺小屋ニューノーマル」。
もともと「皐月の三枚看板」だそうだが、それもまた順延されたもので、本来は「如月の三枚看板」。
毎年2月、もう10年以上やってる会だそうだ。東京の真ん中でやっている会であっても、私は本当に知らない。
いかに日ごろの行動が寄席に偏っているかということ。

銀座ブロッサムは初めてだ。住所は銀座二丁目だが、新富町駅からすぐという結婚式場。その大ホール。
当日券は楽勝でゲットした。平常時ならプラチナチケットでも、緊急事態宣言下の昼間では。
3,700円のチケットは、私としては破格の部類。これだけ払えば両国寄席と、池袋演芸場(上・中席)とに行ける。
いや、もっと高い会もいくらもあるけどね。
金メダルかじり事件はマクラで必ず触れるなと思っていたが、やはり文蔵・喬太郎の両師がこれに言及していた。扇辰師も本編で。

文蔵・扇辰の両師匠は、おかげさまで寄席で結構聴いている。
ただ喬太郎師は、年2回聴ければいいほうだ。もう少しいろいろ聴いてみたい。
今回は、古典派の両師匠との会だから、新作だろう。

売れているはずの席も空席が多い。
市松模様で着席。
緞帳には、「松坂屋・松屋・高島屋・東急・三越」と連名。
「東急」ってなに? 白木屋跡地のこと? 今はコレド日本橋。緞帳にも歴史があるな。

道具屋辰ぢろ
田能久扇辰
青菜文蔵
(仲入り)
芝カマ喬太郎

 

来て初めて、登場順を知る。トリが喬太郎師だ。
前座は扇辰師の三番弟子、辰ぢろさん。
当日券購入後、昭和通りのベローチェまで行って時間を潰していたのだが、外が暑くて、結構フラフラする。
なので、辰ぢろさんで寝せてもらうことにする。
いい椅子なので、落語を聴きながら寝るのは至上の極楽だ。
寝てるヤツがなんか言っちゃいけないが、辰ぢろさんは上手い。
「値は」「ズドーン」まで道具屋をたっぷり。最後の客は名古屋弁だが、こんなところはさすがに前座はいじらない。
おかげですっかりリフレッシュ。

扇辰師は出てきてそうそう、暑いねと。
永六輔先生の俳句「八月は六日九日十五日」を紹介。この日がみな暑いんだ。
昨日よりはましかもしれないけど、今日も暑いよ。暑かった昨日だけど、夕焼けがきれいだったよ。
見なかった人はざまみろだね。
銀鼠の着物を着てきた扇辰師だが、座布団がこの色。しかも後ろの屏風も同じ色。
やっちまったね。どう見ても保護色だよ。私、見えてますか?

お客様にお知らせしなくてもいい情報なんですがねと扇辰師。
文蔵さんと喬太郎さん、まだ来てません(場内爆笑)。
さっき出たのが弟子だけどね、あいつに言ったんだよ。30分やってこいって。15分しかやらなかったよ。
デキねえ奴は彦いちのところにやっちゃうぞって言ったんだけどね。
いや、彦いちさんは立派な人ですよ。ただね、あの門下に移ると、やま彦を立てなきゃいけないんでね(客の一部爆笑)。
弟子に言ったら、「それだけは勘弁してくれ」だって。やま彦も一応先輩なんだけどね。

人間、得意なものがあるといいんですよと振って、芝居が得意な田能村の久兵衛さんが登場。
田能久か。2か月前に聴いたばかりなんですが。
現在、「入船亭扇辰 田能久」で検索すると私の記事が「寄席チャンネル」の次に出ます。
でも、寄席とは違うたっぷりサイズで、実に楽しい一席でした。

詳しくは明日に。続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。