金曜日は寄席に行ってきたので、早速レビュー記事を書こうと思った。
ところが私のブログの、以下の記事にピンポイントでアクセスがある。
なにかあったようだなと思う。
落語協会の公式には何も出ていないが、ツイッターを見たらわかった。
私は自分のブログ記事の急なアクセス増加でもって、新たな情報を知ることがたまにあります。
来秋の新真打である入船亭小辰さんが、空位の名跡、扇橋を継ぐという。
そして同時昇進、柳亭市弥さんも、小燕枝を継ぐのだと。
どちらも今の名前は真打としては軽いもの。改名自体は間違いないと思っていたが、襲名だった。
序列にうるさい落語界だけあって、どのツイートも「市弥、小辰」の順番で書いてある。香盤がこの順だから。
だが、扇橋復活のインパクトは大なので、勝手に逆にさせてもらいました。小燕枝ももちろん、そこそこでかい名前だが。
今月スタジオフォー巣ごもり寄席でお見かけした小辰さんは、真打昇進の話題を一切語らなかった。
今にして思えば、ははあという。
しかし扇橋ね。
復活してもおかしくはないと思っていた。孫弟子の代で名前が復活する例はちょくちょくあるし。
だが当ブログでは「扇橋はなさそうだ」とわざわざ書いてしまった。大外し。
小辰さんは実力をすでに認められている人であり、大きな名前をもらってなんらおかしくはない。
扇橋一門の噺家も反対はしなかったのだろう。私だって、小辰さんが扇橋になることに対する不満なんてまったくない。
だが、扇橋一門の総帥である扇遊師が継がない時点で、弟弟子である扇辰師の弟子に名前が行くというのは、やや意外なのである。
扇遊師の二番弟子に遊京さんがいて、「惣領弟子の弟子」であるこちらのほうが、扇橋に近いかなとぼんやり思っていた。
まあ、遊京さんはそもそも惣領弟子ではないから、もともとそんなに最短距離にいたわけでもないが。
前の扇橋師の高座は数回聴いている。
「茄子娘」を、シンと静まり返った寄席(末広亭だったろうか)で聴いた覚えがある。声が小さくなったからだ。
不思議な魅力に満ちた、楽しいお爺さんだった。
最晩年は少々危うい高座もあったそうだが、あいにくそちらには出くわしていない。
若い頃の音源を聴くと、これが実に歯切れがよく、またイメージが異なる。
小燕枝襲名のほうが、さらに意外中の意外。
現柳家さん遊師が、ついこの間まで名乗っていた名前である。
ということは、市弥さんの真打昇進に合わせて計画されていたのか。
だが、わざわざ名前を変えて空位にする以上、もっと大きな名前のためにそうするのだと私は思っていたのである。
それがつまり、談洲楼燕枝の復活。
柳家三三師に名乗らせるため、故・小三治が弟弟子の小燕枝師に頭を下げたという、私の勝手な想像はまるで外れていたようである。
実際は、小燕枝が空いたのでもらうことにした、それだけのような気もするが。
もともと市弥さんは柳亭なので、亭号が柳亭の名前はもらいやすいというのもあろう。
NHK新人落語大賞3年連続出場がものを言ったに違いない。
ところで小燕枝が復活すると、燕枝は復活しにくそうに思う。どうなんでしょうか。
三三なんて名前をいつまでも名乗っていちゃいけないと思うが、小三治亡き後、どうしてもあの一門は力不足になっているのではないかな。
これはよくあることである。志ん朝一門だって師匠没後はそういう憂き目にあったし、その後も圓蔵一門が苦境にある。
まあこういうのも、小三治襲名の伏線と考えられないこともない。
花緑師が、7代目小さんになる前に小三治になんて憶測はよく見るのだが、直系の弟子をすっ飛ばすのもおかしなものではある。
ちなみに小三治襲名が数年後にあるとして、さすがにもう小朝師が仕切らせろとしゃしゃり出てくることはあるまい。
来秋の昇進、もう一人は春風亭一蔵さん。
この人は改名なしだが、これは予想通り。
すでに真打らしい名前だ。兄弟子の「一之輔」より、ずっと真打っぽいと思う。
ただ、襲名する他の二人が目立ってしまいそうで若干気の毒。判官贔屓で、私はこの人の披露目に行こうかな。
お久しぶりです。うゑ村です
小辰さんが扇橋の名前を継いだのは意外でしたね。個人的には入船亭辰吉(たつきち)に改名して「ボクサーではありません」みたいなこと言ったら面白いのになどとしょうもないことを考えていましたが(苦笑)
あと弟子ではなく孫弟子が継ぐというところが一朝師匠と今の柳朝師匠みたいだなとも思いました。
そうですね。
直弟子だと、生々しいというのもあるんでしょうね。
自分で継がず、弟子に確保してやる扇辰師もカッコいいなと思います。
孫弟子が継ぐこと自体はよくあるので、「春風亭柳昇」復活も予想したのですが、こちらは大外れでした。
昨日は失礼いたしました。
言い訳にもなりませんが、小燕枝でこちらの記事が引っ掛かってこなかったので、なぜだろうかと?
それはさておき、定吉さまもおっしゃるとおり、小燕枝の襲名は何か伏線があったというより、空いていたからということかしらんと。もし、市馬師が伏線を引いたなんてことなら、微妙な感じですが、さすがにそこまではないだろうと。
その一方で小辰の扇橋もいささか意外でした。個人的にはいずれはあっても、このタイミングでの扇橋襲名はないだろうと思ってましたので。それでも往年の名跡の復活は嬉しいところではあります。
小生が落語に親しむキッカケになった一人が扇橋師で、決して派手な演出はない中で、気がついたらズッポリ引き込まれていたという印象がありました。
まだまだ、興味のある名跡もありますが、いずれ動きもあろうかと。今後ともよろしくおねがいします。
当ブログには1,400の記事がありまして。日々どんどん増えていきます。
とても全部が全部、検索には掛かりません。
「入船亭扇橋、柳亭小燕枝復活」が検索に掛からないのは単純な理由で、まさに桂さんがご覧になった記事が引っ掛かっているためと思われます。
内容が被るので食い合うわけです。
こんなことがざらにあって、古いほうだけご覧になる方も多いわけです。
古いほうは当然、古いだけあって情報不足ですからね。別に情報ブログではないので、都度更新するわけではありません。
そんな状態において「古今亭菊一さんは日野龍樹さんのお兄さんです」とか「ヨネスケちゃんねるで語られていました」とか、知っているどころかその後書いている情報を教えてくださる方がいたときの、私のずっこけ具合について、ご理解くださると幸いです。
「タグ」を付けていますので、「柳亭小燕枝」のタグをクリック・タップしていただければその関連がズラッと出ます。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
2022年6月21日(火)読売新聞夕刊に
扇橋の教え生かす兄弟会 「入船亭の13人」束ねる扇遊
と題された記事があり、扇遊さんへのインタビュー内容の紹介もありました。扇遊さんが
もっと若ければ私が扇橋を継いだのですが、直弟子で何回か話し合いをして、私が(小辰を襲名させようと)言い出した。小辰は若いから、プレッシャーも突き破れるんじゃないか
と発言されていました。御参考まで。
もぐちゃんさん、情報ありがとうございます。
ちなみに、明日の記事は扇辰師です。