9月30日、鈴本に行った日に三遊亭円楽師が亡くなった。
鈴本のレビューもいつになく訪問者が多いのですが、期せずして別の記事ができてしまったため、1日割り込みます。
気の早すぎる話ですみません。
圓生襲名が話題になる中、急遽圓楽(六代目はもっぱら円楽と名乗っていた)の名が空いてしまった。
円楽党では、圓楽の名跡のほうがむしろ大事だと思う。
笑点メンバー後任予想が散乱しているのを見る限り、襲名の予想してもさして失礼にはあたるまい。
もちろん七代目が誕生するとして、どんなに早くても三回忌が過ぎてから。それは確かだが。
襲名には、なんとなくできあがっているルールがある。優先順位として、こんな感じ。
- 息子
- 直弟子
- 孫弟子
- それ以外の一門
- 先代と芸風が似ている
息子、つまり二世落語家が名前を継ぐことを嫌悪する落語好きは多い。
だが、理屈から考えれば血で継ぐのは当たり前なのだ。噺家の名前だって相続するものなので、血縁が優先されるのは至極当然。
持ってる人が名乗るのは当たり前。いい悪いの問題じゃなく、理屈の問題なのだ。
遺族が「協会預かりで」と申し出ていればもちろん別。復活した春風亭柳枝みたいに。
先日三遊亭圓窓師が亡くなったが、次にこの名跡を名乗るとしたら当然、息子の窓輝師となる。
もっとも襲名披露興業はできなそう。継がないと思うけど。
父の名である「つばめ」を継ぎたい柳家小きん師も、披露目ができないため襲名は事実上封印されている。
亡くなった六代目円楽にも息子がいる。
真打の一太郎。この人が名前を現時点で相続し、持っていることになる。
二ツ目時代1回しか高座に上がっていないらしいペーパー真打が「圓楽」を持ってるのだ。どうだ、恐ろしいだろう。
圓生の名も、下手するとそうなっていたのだ。ますます恐ろしいだろう。
とはいえ一太郎本人が圓楽になるなんてあり得ない。
となると、1はないので、2、つまり他の弟子が名乗ることになる。
しかしなあ、六代目の一門で名乗れる人がいるかというと。
個人的には巨体の楽大師なんて好きな噺家だ。だが円楽党の看板の名を名乗れるかというと。
円楽党は真打一人昇進が多いのに、二人昇進だったし。
二ツ目の弟子が、真打昇進時(あと数年後)に名乗るというのも、もう少し普通の名であれば珍しいことではないが、楽天、楽八、楽㐂ではちょっと足りない。
いずれも悪い噺家じゃないけれど。
三回忌後に圓楽を急いで継がなきゃいけないかというと、別にそんなこともない。
だが、やはり看板の名だからあったほうがいいのでは。もちろん、看板だから無理に名乗らなくていいという考えだってあるだろうけど。
さて、3(孫弟子)はいないので4である。二ツ目の楽花山さんはもともと孫弟子だったが。
六代目の兄弟弟子に、七代目候補がいるのではないか。
というわけで、五代目圓楽の最後の弟子である王楽師が次の圓楽になると、私は勝手に断定します。
五代目の弟子はたくさんいるが、この人以外、格的に考えられない。
円楽党で人気の噺家である、兼好、萬橘でないことはおわかりでしょうか。
二人とも五代目の孫弟子であるから亡くなった六代目からは甥に当たり、遠い。仮に王楽師が存在しなければ急浮上することになるが。
王楽師、人によって好き嫌いはもちろんあると思う。
それでも理屈を駆使したうえでの結論のため、感情的な反論は受け付けません。理屈が間違っているというなら反論よし。
私も王楽師、大好きというほど好きではないのだが、高座に華があり、まだまだ伸びしろもあるのは認めるところ。
44歳と若いのもいい。
あると思いますよ。ちなみに父・好楽に代わって笑点出たっていい。
弟子のいない王楽師が、六代目の二ツ目以下の弟子を引き取ったら、襲名のサイン。
(※ 二ツ目は、廃業する楽㐂を除き小円楽師のところでした。前座の楽太さんが萬橘師。
外れましたが、それでもまだ王楽師が七代目と思ってます。2023年1月4日追記)
ちなみに六代目師匠の生前は、こんなことはまるで思いつかなかった。
亡くなったとたん思いついた。
その、六代目が執念を燃やしていた圓生の名についても。
つなぎで継ごうなんてねと思っていたが、それでも権利者と話したり、多少は進展した模様である。
じゃあ、そのお膳立てを使わせてもらって誰か継ぐか。
本来論からすると、もともと継ぐつもり満々だった鳳楽師なのだろうけど。
横槍を入れてきた、圓窓、円丈両師匠も鬼籍に入った。
でも今さら継ぎますよなんてわけにも行くまい。
円楽党内で継いでいいのは問題なかろう。円丈一門、圓窓一門から異論が出ることはまずない。
それなら、一番人気の高い兼好師でいいんじゃないかと。
以前も書いたが、芸風なんて別段関係ない。圓生の「昭和の名人」のイメージなんて、六代目ひとりに付いているもんなんだし。
そして、七代目圓生、七代目圓楽W襲名をしたら盛り上がるのでは。
芸協さんの協力も得て、寄席でも。
好楽師は、息子を圓楽に、弟子を圓生にできて万々歳。
それにしても六代目の円楽師、亡くなって落語の評価が一切出ないなあ。
世間の思い出は、歌丸罵倒合戦だけ。
寂しいことだ。
堀井憲一郎師が「軽く小ぶりなネタの印象」だったと書いていただけ。あまり褒めてはいない。
ツイッターで談四楼師も、本人に向かって「軽いネタがいい」と言い、嫌な顔をされたと書いていた。なんだか上から目線なのはどうかと思うが。
これも、「軽い噺が絶品」だったのか、「軽い噺なら悪くなかった」なのかで後世の評価が違うのだけど。まあ、後者でしょう。
他に、落語の話題といえば協会の統一構想のみ。
ちなみに、昔カネで買った学位の話は誰もしませんね。
なつかし版でも忖度して全カットされてるはず。
(2023/8/14追記)
検索ヒット記事なので訪問多いのですが、圓楽の名前についてはすでに好楽師が答えを出していますので。
新しい記事のリンクを張っておきます。
私もその予想に賛成です。
笑点新メンバーについては、一部メディアの円楽師が年明けごろに勇退発表予定というのを真に受けて、宮治師の例と鑑みればもう決まっていますよね。ご存命中の円楽師がメンバー選定に多少なりとも関わっていたとすれば五代目圓楽一門からの選出のはず。
となると、王楽師が新メンバーでそのタイミングで木久扇師も勇退されての木久蔵師で、二世噺家対決と親子対決のダブル対決が見られるのでは?さらに翌年、小遊三師が勇退しての昇也師に代わっての師弟対決!色々ネタは増えそうだと思うんですが。
少し無理があるかな?
いらっしゃいませ。
笑点メンバー予想のほうが世間的には面白いでしょうね。
ただ、あちらには論理性がほとんどなく、結局当て物ですから。
そんなわけで圓楽・圓生の予想から。
まあ、気が向いたら笑点にも参戦します。
客観的予想として、円楽逝去を受けて、上の3人は勇退かなと思ってますが、追加メンバーのほうはまだなんとも。
初めてコメントさせていただきます。
やはり圓生も圓楽も三遊派の正統である品川血統(四代目橘家圓蔵の血統、私が勝手に呼んでます笑)の嫡流といっていい五代目圓楽一門会の実力者から選ばられるのでしょうね。王楽師と兼好師というお見立ても賛成です。そりゃ六代目圓生と比較して勝る師匠なんてどう考えても現れませんから、そんなこと話していたら名前が石になります(仮に実力で追いついたとしてもやはり「伝説の噺家」という言葉の魔法があります)。
私個人としては、圓楽と圓生の襲名披露は、ぜひ東京の4大寄席(新宿末廣、上野鈴本、池袋、浅草。これも勝手に呼んでいます)でやってほしい。日本橋亭なんかでもいいですが、これだけの名跡の襲名ですから、ぜひこの4つの寄席でも披露目をやってほしいと思ってしまいます。六代目円楽の時に倣えば、芸協の力を借りることになりますが、他の圓生一門がいる協会との合同が私の理想です。まあ結局は興行ですし、過去のいきさつもありますから、難しいかもしれませんが……
いらっしゃいませ。
落語協会での披露目ですか。
不可能ではない気がします。ただ、たぶんこの後正蔵会長なのが・・・
たい平会長ならできると思うのですが。
一太郎さんの生配信で、
円楽・楽太郎の名前を継ぐ気はないと断言してました
好楽師に「お前が継がずに誰が継ぐんだ!」と言われれば、じゃあってなるのでは?
定吉さんに大賛成!
円楽が亡くなる前に、「つなぎの圓生」なんてことを言ってるのが落語ファン仲間で話題になり、圓生は今の流れからいって、兼好師しかないだろってことで酒の肴のネタになりました。
その折、あとの候補と言えば王楽師か…となったのですが、定吉さんの七代目圓楽という整理で、スッキリと解をもらったような。いずれにしろ!好楽師には嬉しいことになりそうな。
以前も書いたかも知れませんが、兼好師って、林家正蔵と圓生の両方につながる貴重な系譜なんですねって。
いらっしゃいませ。
自分でもいい整理と思い、早めに世間さまに見せておこうというところです。
萬橘師には何もないですが、萬橘も名跡ですし。先代がヘラヘラの。
ご無沙汰しています。うゑ村です
次の円楽の後継者は言い方は悪いですけど消去法なら確かに王楽師匠は割と妥当ですよね。世間が2世落語家に対してどう思うかは気になりますが。圓生の方は圓生師匠のご遺族(子孫)はどう思われているんでしょうかね?
嫌な言い方ですが圓生志ん生クラスは先代の落語を生で見たという人(先代と比較してうるさく言う人)が0に近くなって落ち着いたらって感じなんでしょうね
うゑ村さん、いらっしゃいませ。お久しぶりですね。
王楽師は2世とはいえ、圓楽になるとするとお父さん関係ないルートだからいいかな、なんて思います。
もし襲名するなら、好楽一門から独立すればいいでしょうし。
圓生の権利者についてはなんとも。
先代を超えないと襲名できないなら、襲名なんて無理でしょうね。
今度の扇橋には、特にいちゃもんはなさそうです。
五代目の生前、楽太郎師に6代目を継がせる意向だったとは聴きましたが、アタシは6代目が名跡を継承する以前には、個人的に五代目の次は小圓楽師が次ぐものと思っておりました。ただ6代目の三回忌を終える頃には、小圓楽師も65才だからなぁ…!?
「小がついた名前」の「小」が取れる理論があるなら、小文治は文治になってるはずだし、小春團治は春團治になってるはずで。そして小圓朝は・・・
ハッハッハッ、仰る通りです!「小談志」という噺家もおられましたし…。ただ、アタシは楽太郎師が6代目を継ぐ以前、まだ“波静か”だった頃には、本気でそのように思い込んでいたのです。確かに小圓朝師は、ご存命中、「圓朝」は“おいそれ”とは名乗れない名跡と、まくらで云われていたのを覚えています。失礼いたしました(恥)…。
好楽を挟んでやれよ・・・
せっかく楽太郎に道を譲ったのにこんなあっさり逝っちゃうなんてなぁ・・・