NHK新人落語大賞のオンエアを見ました。
今日はひとつアップしているのですぐには上げないが、24日の午前0時に出すことにします。
予想通りの立川吉笑「ぷるぷる」優勝。
正確に言うと、予想したのはこの演目が出ることのほう。
大会常連のわん丈、紫、つる子にないものを持っている吉笑さん、一気に優勝の可能性は高いと思ってはいたが。
過去のこの大会に当てはめてみても、優勝するイメージ満載の演目ではあった。
だがここまで強いとはびっくりだ。満点の50点だものな。
採点しながら見る私、この演目が出るとちょっと困るなとも思っていた。今年二度遭遇してよく知っているので、客観的な評価をしづらくなるなと。
だが、強すぎて全く支障はなかったですね。
優勝した吉笑さんの「ぷるぷる」の記事が二つ当ブログにあるが、さっそく来訪があります。ようこそでっち定吉へ。
もっとも、23日は天歌記事のほうがアクセス多かったですけども。
ニュースがまた、めでたい時を狙い撃ちして出るんだ。それはさておき。
ぷるぷるについて片岡鶴太郎が、既存の落語を解体して組み立てなおしたという評価をしていた。
非常によくわかる。わかるのだが、私に言わせれば、解体はまったくしていないと思う。
新作落語の歴史の延長線上にある、極めてスタンダードな演目である。一昨年の羽光さん(ペラペラ王国)とは構造が違うのだ。
スタンダードでいながら、とても強いというのが持ち味。
落語というもの、コミュニケーションが誤解や障害で断絶したり、また逆に、障害があるのになぜか伝わったりもする。それが面白い。
松ヤニでくっついた唇をぷるぷるさせる八っつぁんと、なぜかコミュニケーションがつながるという、裏王道の噺なのだ。
採点を出します。
演者(登場順) | でっち定吉 |
桂源太 | 7点 |
桂天吾 | 7点 |
立川吉笑 | 10点 |
露の紫 | 9点 |
林家つる子 | 8点 |
三遊亭わん丈 | 9点 |
昨年に続き、優勝者を単独で指名したのはなかなか見事だと、自分では思うんですがね。
採点者で、優勝者を単独指名したのは堀井憲一郎氏と小遊三師だけだった。
いっぽう文珍師の、4人10点はいただけないですな。これじゃ採点放棄だ。
「つけられない差をつけていく」のが採点じゃないの?
採点は簡単でした。
収録の抽選は外れてしまったから想像だが、現場ではもっとはっきり、吉笑さん優勝の空気を皆が感じていたたのではないだろうか。
テレビ観ててもそう感じたからな。
いっぽうで私の採点、上方の若手2名が「7点」で低すぎると思われるかもしれない。上手いのに。
実際、私も観ている段階では8点だったのだ。
だが、紫、わん丈の2名が準優勝と考えたときに、つる子さんはそこからやや落ちると考える。
そうすると、玉突きで若手2名を7点にせざるを得なかったのである。なに、優勝に関係ないと思うから、下げてもどうということはない。
この大会は「突き抜ける」ことが強く求められる。吉笑さん、見事に突き抜けた。
天井を破った瞬間を見た気がする。
いっぽうで古典でも新作でも、突き抜けそこなって優勝できない人がいかに多いことか。
ただ、わん丈さんについて言うと今年は相手が悪かった。通常の年ならきっと優勝だったろう。
私は9点2名だが、どちらか選ぶならわん丈さんである。
いっぽうで、つる子さんが突き抜けられるかというと? 天井の下で遊んでいるだけという気がする。寄席や落語会ではそれでいいのだけどさ。
今年は本当の採点者のものも出しておきましょうか。
文珍 | 小遊三 | 鶴太郎 | 赤江 | ホリイ | |
源太 | 9 | 9 | 9 | 9 | 8 |
天吾 | 9 | 8 | 9 | 9 | 8 |
吉笑 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
紫 | 10 | 8 | 9 | 8 | 8 |
つる子 | 10 | 9 | 9 | 8 | 9 |
わん丈 | 10 | 9 | 10 | 10 | 9 |
ホリイ氏の採点が最も私と近いかな。次が小遊三師。
昨年、M-1グランプリの松ちゃんの採点基準を評価するなら1位は単独にして欲しいと書いたら、今年はそうなっていた。
私が書いたからでないのはわかってるけど。
小遊三師は、権太楼師の休養により急遽入ったそうだが、この人のほうがいいですね。そう思った視聴者が多いんじゃないか。
権太楼師だと、現代基準でパワハラに感じる人が多いから。
ちなみに、権太楼師と小遊三師は同い年。小遊三師のほうが若々しく映る。
個別の噺については、一日置いて26日に出そうと思います。明日は連雀亭の一花さんを。
昨年も一昨年も、速報はアクセス多かったけども続編は下がっていた。今年もそうでしょう。