M-1新審査員の山田邦子やTHE Wなど

いよいよM-1グランプリが迫ってまいりました。
私はすでに5年に渡り、この大会のことを書き続けています。
過去3年は、採点もしている。
例年、アクセスは一時的に結構集まる。ただしその後は誰も読まなくなる。
まあ、大会の需要は旬のうちだけだ。NHK新人落語大賞の記事だってそう。
NHK新人落語大賞も採点している。優勝先行報道がなくなったここ2年は優勝者をしっかり当てていて、客観的評価に結構自身を持っている。
それに比べると、漫才の採点をしていても、めったに当たらない。
M-1も、一度も的中させたことがない。昨年の錦鯉など後から振り返れば最もわかりやすかったはずだが、でも外した。
センスないのお。
今年もセンスのないところを世間にあからさまにするさ。

上沼恵美子に替わる新たな審査員が山田邦子に決まったという。
ふーん、てなもんだ。
正直邦ちゃんは「芸人」というカテゴリには入ってこない印象。文化人枠のイメージ。
なら、エミちゃんと一緒か。
やまだかつてないテレビも見てなかったしな。
その前のバスガイドが、ちょっと記憶にある程度。

しかし、山田邦子に関する各種報道を読むと、「現役の寄席芸人」として扱われている。
おや、寄席なら私のよく知ってる分野のはずだが?
最近の芸術協会の披露目において、ちょくちょく顔付けされていたのは知っている。
ただそれは、真打の呼ぶゲストなのだと理解していた。
ゲストであるうちは、寄席芸人とは思わない。色物の中の、イロモノかなと。

だが、現在芸術協会の「準会員」であるとした報道があった。
事実は知らないが、否定などできない。芸協において、対外的に公表する準会員香盤は存在しないからだ。
母心が準会員なのは、珍しく知っている。
彼らは「浅草お茶の間寄席」にも出ていた。準会員で出た人は過去にいなかったんじゃないか。
昨年12月の池袋では、「新宿カウボーイ」を観た。
彼らも現在、恐らく準会員だろう。
おせつときょうたは、準会員時代に代演で観た。今は立派な正会員。

色物さんが芸術協会に加入する場合は、こういう手順を踏むのだと理解している(落語協会も基本は同一のはず)。

  1. 噺家の一門に加えてもらう
  2. 準会員として、色物会員が休演するときに、代演を務める
  3. 2年間代演で寄席に出る(寄席香盤には基本出ないため、決して頻度は高くない)
  4. 理事会で認めてもらい、正会員となる

3は、移籍してきた立川談幸師にも応用された。
噺家のどの一門に加わっているのかは、ナイツみたいに小遊三門下だと自ら語る人もいる。
ただ、大部分は不明。
このあたりはこちらの記事に書いた。

寄席の色物はどこの一門所属なのか

邦ちゃんは、桂竹丸師のところらしい。
そうすると、弟子の竹千代さんからそんな話題が出そうだが、聴いたことないな。
改めてツイッターで調べてみたら、邦ちゃんも代演をたまに務めているようである。なるほど、確かに準会員なのかもしれない。
でもまだ、正会員になるには時間が掛かるわけである。
そして、準会員時代に狙って観にいけることは少ない。新宿カウボーイは狙って行きましたけどね。

邦ちゃんは現在62歳。今から寄席に出ていれば、喜寿のおばあさんになっても出番があるかもしれない。
将来内海桂子師匠みたいな大御所になってたりして。
なかなかいい戦略かも。
ちょっと気になるのは、ヒザが務まるのかな?
色物の最高の栄誉は、トリの師匠を立てるヒザ。どういう芸なのか、ほぼわからないので何とも言えない。

話は変わる。
M-1の前座扱いになっている、女芸人No.1決定戦「THE W」は面白かった。
この大会は、観たり観なかったり。昨年は評判悪かったらしいが、幸い観てなかった。
年明けのR-1ぐらんぷりは運営がグダグダらしく、後評判で「観ないほうがいいらしい」と判断している。
しばしばまとめて槍玉に挙げられるTHE Wについては、決して嫌いではない。
この大会は点数評価でないので、採点はしない。

上位3組の決戦、うまい具合に3組が分散してよかったね。まるでレベルの低い組が紛れる可能性もあるが。
その決戦、非常に珍しくも、客観的定吉と主観的定吉が評価において分裂してしまったのだった。
客観的には、実際に優勝した天才ピアニストを。
主観的には、ヨネダ2000を推していた。

ヨネダ2000、めちゃくちゃ面白かったのだが、客観的には優勝をよしとしない私がいる。
もちろん、緻密な天才ピアニストのネタ(家庭内VR)はとても楽しい。安心して楽しめる。
だがヨネダ2000の破壊力も捨てがたい。
ヨネダ2000について思ったのは、「言語化されない面白さを絵に描くのが上手い人たち」である。
再現不能の面白さというか。でも、五感に強く訴えてくる芸だ。
モヒカン一発でウケてしまうのはただものではない。
あれがわからない、ゆるせないという視聴者のことを、全然バカにはしません。テンプレートに乗っていない芸だからだ。
むしろそこが理解できるので、客観的には優勝をよしとしなかったのだ。
「シュール」と捉えてしまったらそれまでの芸だが、私にとってはストレートに面白かったのである。

ヨネダ2000はM-1にも出場するので、楽しみですね。
ちなみに、小さいほうの「誠」さん、春風亭一花さんに雰囲気が似てる。

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。