七人の侍(上・雷門小助六「鼻ねじ」)

ブログ1日休みました。
最近の傾向として、1日休んでもアクセスへの影響はほぼない。
むしろ、「柳家小ふねって誰だよ!」 とスルーしようとしていた人も、やむを得ず読んでみたりなんかして。
小ふねさんに興味湧きました?
2日休むとどうなるかわかりません。昼席の撮って出しにします。

非常に地味な会へ。日本橋亭の「七人の侍」。
「地味」は事実だが、地味イコールつまらないなんてことではない。
落語界のボディを底支えする、コントラバスとテューバ、トロンボーンのアンサンブル。
知らない人はいないが、よく知っているというほど知っている人もいない。

成金は相変わらずの勢いで、成金最後の真打、春風亭柳雀師もトリ取るという。
成金はいいが、芸術協会でも成金の上の世代がワリ食ってる気がしてならぬ。
まさにそんな若手真打の会。円楽党混合。
本格派が多いが、面白派もいる。
7人かと思うと5人。
2人抜けたのか、予備メンバーもいるのか、そのあたりはよくわからない。
円楽党の圓福師は、少なくとも以前はメンバーだったはず。

受付には瀧川鯉橋師が立っている。この人も非常に好きなのだが、聴く機会はそれほどない。
勉強会なので料金は1,500円と安い。
20人程度の客入り。昼間にしては上々であろう。

鼻ねじ 小助六
井戸の茶碗楽生
明烏枝太郎
(仲入り)
町内の若い衆鯉橋
百年目鳳志

出る順番はまるで知らない。
幕が開くと、メクリは「小助六」とある。
前座は出ないのだな。お囃子さんも不在。

雷門小助六「鼻ねじ」

この会でも、メクリをちゃんと出そうということになったのだと。
言い出しっぺは楽生師。その楽生師がメクリを揃えてくれるのかと思っていたら、一向に動かない。
仕方ないので小助六師が揃える。
4人のメクリは揃ったが、なぜか鯉橋師のメクリだけ見つからない。
散々探したところ、芸術協会の辞めた二人のメクリに挟まれていたそうだ。
夢之助師と、遊里さん?

とにかく、メクリが出てこないので鯉橋師匠がちょっと嫌いになりましたと小助六師。
そういえば、前座の頃はこんなつまらない理由で人を嫌ったりしてましたねと。

桜の季節の噺をするらしい。もう2月半ばだから、そろそろ花見の噺も出てくるところ。
小僧の定吉に、隣家に掛け合いに行ってこいという商家の旦那。
「たけのこ」みたいな導入部だが、あれはお武家の噺。
なんだろうと思っていると、隣家の先生が、うちの見事に咲いた桜の、張り出した枝を切り落としているのだという。

これでわかった。
上方ダネの「鼻ねじ」である。かなり珍しい噺である。
出どころは桂小南師に違いない。

珍しい噺といっても、落語の世界観に満ち溢れた、楽しい噺。
定吉が、主人の人使いの荒さに音を上げているのは「平林」みたいだし、掛け合いを口移しで覚えろという「鈴ヶ森」みたいな箇所もある。
前座噺のような、ごくシンプルな噺である。サゲに向かってまっすぐ進むものでもあり。
小助六師の語り口はさすがに心地いい。

計略を講じ、商家では庭で花見を催す。芸者も来て大盛況。
隣の先生が気になって覗きにきたところを、無事逆襲するという。
世間の役に立たない噺である。まあ、それが落語。

三遊亭楽生「井戸の茶碗」

二番手は楽生師。
この人は3年振り。3年前、じゃんけん改め好二郎さんの二ツ目昇進披露口上の司会をしていた。

一之輔さんはすごいですね。私の師匠、円楽の後釜ですよ。
一之輔さんは、高校の同級生の川上くんですよ。埼玉県立春日部高校。
この世界、同じ高校はいても、同学年っていうのは少ないです。
彼は大学行きましたので、私より4年後輩です。私は大学受からなくて、浪人してから入門しました。
すごく仲良しだったわけでもないですが、話した覚えもあります。隣のクラスでしたね。
こう見えて、高校時代は私のほうが人気ありましたよ。一之輔さんはわりと地味でね。
私は目立ちたがりやなんで、生徒会長してました。一之輔さんは、ラグビー部辞めて、自分でオチケン立ち上げてました。
生徒会長は、部活動の予算を配分します。
あるとき余剰金が出たので、これを落語研究会の「志ん朝全集」購入に使わせてあげたんですね。
彼は高校時代、志ん朝を聴きまくったそうですよ。
彼が入門して最速で出世したのは、私のおかげなんです。

二番手で大ネタ、井戸の茶碗である。
途中、寝落ちしてしまった。気づくと、面体改めのくだりはとうに終わり、くず屋の清兵衛さんが行ったり来たりしていた。
くず屋を、躁病キャラとして描く珍しい演出。
人情は狙わず、くず屋と侍の愉快な立ちまわりを描く一席でした。

続きます。

 
 

先代小南(上方落語)

作成者: でっち定吉

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