神田連雀亭いまだマスク外させず(いい加減にしなさい)

神田連雀亭にはずいぶんとお世話になっている。
午前11時半からのワンコイン寄席が500円。昼席も1,000円。実にありがたい。
ここで多くの有望な二ツ目さんを見出してきた。

今年に入ってからも毎月行っていた。ただし4月まで。
この小さな寄席が、いまだに客のマスク着用を義務付けているのがイヤで、近頃足が遠のいている。
というか、オーナーがビル全体でマスクを義務付けているのだけど。
1階のレストラン・マルシャンや地下の「工具のさいとう」には迷惑な話である。レストランがマスクを徹底しているとは思わないが。

8月の番組表を見ても、相変わらずマスク義務となっている。
意味がわからない。
落語協会2階の黒門亭も、8月から「マスク任意」に変わった。
新宿末広亭だけ「マスク推奨」と、ここしばらく掲載されている。あとの寄席にはもう、縛りはない。
鈴本なんてアルコールも解禁している、

私の立ち位置を明確にしておきましょう。
私はコロナがピークだった頃に、外でマスクを外そうと叫んでいた連中の仲間ではないし、ましてや反ワクチンでもない。
ピーチ航空で暴れたアホは許さないし、地元の商店街でもってマスクをせずに店を開いていた意識高い系店舗も許していない。
当時必要があって世間がそうしていたのは完全に受け入れていた。「マスクに効果がない」なんて当時は不毛でしかなかった発言も一切しなかった。
昨年には家族そろって罹患している我が家、別に対策をおろそかにしてブーメランを食らったわけではない。

後ろ指さされずマスクしなくなっていいご時世を満喫しているところ。
とはいえ暑いのに、いまだに人がつけてるマスクについても、個別にとやかく言うつもりはない。
素顔を見られたくなくて外せなくなってしまった人も、化粧したくなくてつけてる人も、好きにすればいい。
ただ、鼻マスクの人は頭おかしいんじゃないかと思うけど。

それはそうと、今ごろになって寄席がまだマスク着用を義務?
いくらなんでもおかしくないですか。
マスクを義務化する根拠はもう、とっくにない。もっとも「うちの店はマスク着用」のローカルルールを禁止する根拠もないから、文句を言うだけしかないのだが。

神田連雀亭は寄席を継続させるため、高座の後ろの通気をよくし、そしてアクリル板を設置した。
市松模様着席もしばらく続き、定員19人で頑張っていた。
思い出しても感心するし、感謝してもし足りない。
しかしもう、対策の必要性は大きく減少した。
アクリル板を取れ、とまではまだ言うまい。演者には自分の姿が映り込んで邪魔な板だが、客席からはさほど違和感はない。
ただ、そこまで対策しておくいっぽうでマスクを義務にする?
今から後付けでアクリル板に積極な意味を与えるなら、むしろ、「お客さんにマスクなしでくつろいでもらうためにアクリル板を維持する」じゃないのかね。
客に不自由を強いることが(道義的に)許されるのは、よほどのシーンだけであるべきと思うのである。

黒門亭のほうが、環境的にはマスクは必要だろう。
めちゃくちゃ狭い座敷に、人気の噺家のときには40人ぐらい集まっているのだから。でも、そんな環境でも任意にすべき時代がようやくやってきた。

神田連雀亭オーナーの心境を考える。
費用を掛けて対策を講じた以上、今さら引っ込みがつかなくなってしまったのであろう。
しかし、マスクは客の問題だ。客にまで強制してどうする。

ところで神田連雀亭、新メンバーが久しく入ってきていない。
調べてみて驚いた。
今年の5月に書いた記事。

神田連雀亭に二ツ目の何割が出ているのか・・・半分が出ています

こちらのメンバー表と、落語協会、芸術協会の香盤を付け合わせてみた。
落語協会は、柳家小はださんがいちばん下だ。
芸術協会は、三遊亭仁馬さん。
この下の二ツ目が、入ってきていない。
入ってきていない層に、私が注目している「きよ彦」「小ふね」「ごはんつぶ」「昇」「かけ橋」「南楽」などがいて、どんどん増えているのに。
なにかあるんですかね。

もしかすると、二ツ目さんが飽和しているので新たに加入させない取り決めでもあるのかもしれない。それは知らない。
だが、そもそもマスク着用のこんな不自由な状況を続けるなら、開放しても入ってこないんじゃないのかと。
林家きよ彦さんなんて、すでに二ツ目になって2年。
梶原いろは亭などで活躍しているし、今さらもう連雀亭に出るイメージもない。

8月12日、13日には新メンバー候補も出るらしい。
上に挙げた期待の二ツ目、桂南楽さんも出るそうだが。
ただ、名を挙げた他の人はいない。連雀亭抜きで生活が成り立っていると、不要なんでしょう、きっと。

ひょっとしてマスク義務のせいで、神田連雀亭が二流の寄席に転落しつつあるのでは。

私は当面、神田連雀亭には行かないことにした。
マスク義務が撤廃されるその日まで、さようなら。
スタジオフォー、梶原いろは亭などでイキのいい二ツ目さんを聴いていくことにします。
それから多数復活してきたタダの会。

(2023/10/12追記)

連雀亭、2023年9月11日からついにマスク自由になりました。
967のアクセスを集めたこの記事も、後押ししたかもしれないと思います。

 
 

投稿日:
カテゴリー: 寄席

作成者: でっち定吉

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3件のコメント

  1. タダの会の情報はいつもどちらから仕入れているんですか?
    タダの会見つけるほうが難しくないかと。

    1. 東京かわら版です。
      かわら版非掲載の無料の会では、「伊勢佐木木曜寄席」がありましたがこれは復活しません。

  2. かわら版なんですね!
    ありがとうございます。

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