「もう日が暮れてるじゃないの。今日はブログお休みかしらあ?」
「わあ、びっくりした。誰だあんた」
「私はあなた、でっち定吉のアニマ、つまり男性の持つ女性的な側面を具現化したものよ」
「はあ。アニマだかオトウトマだか知らないが、いまどきあんまり流行る概念でもないね。どうせ出てくるなら可愛いお姉ちゃんならいいのに、おばさんかよ」
「失礼しちゃうわ。本体がおじさんなんだから、おばさんの分身が出てくるのは当たり前じゃないのさ。あんたね、二ツ目さんに『今日のお客さんは若いですね』とか言われていい気になってるんじゃないわよ。若いっていうのは、あくまでも年金生活のジジイに比べてなんですからね。息子にだって口が臭いって罵られてるくせに」
「出てきて早々うるさい女だね。かみさんがひとり増えたみたいだ」
「そんなことないよ。基本的にはあんたの分身だからかみさんほどはうるさくないわよ。あんたがいくらブログで広告収入得たところで、鼻を鳴らしてもっと稼げっていうあのかみさんね」
「うるさい。一体なにしに出てきてきたんだよ。俺は今、本業片付けて一息ついてたとこなんだ」
「うそお。本業じゃないよお。あんたの本業はキャッシュレスのほうで、これは朝書いてたのは知ってる。今日やってたのは『スカッと系』の仕事、つまり副業だわね。だいたいね、あんたみたいなモテた試しもない男が、スカッと系で女性のみなさんを喜ばせられてるのはなんでだと思う? 全部あたしの感性があるおかげなのよ」
「うーん、分身に楽屋を隠してもムダみたいだ。いつもお世話になってます」
「とにかくね、今日のブログがまだみたいだから、手伝いに来たってわけ」
「そうかい? 今日はもう休もうかと思ったんだけどな」
「せっかくなんだから出しなさいよ。ネタの素ぐらいあるんでしょ、知ってるんだからさ」
「うん。ちょっとブログの運営で気になってることがあってね」
「ブログに出てくる広告ね」
「そうなんだ。Google AdSenseの自動広告がね。右上に青いバッテンのある広告だ」
「でっち定吉が自分で選んできて張ってる、1日2件の本やCDの広告とは別のやつね」
「そう。ところでいつも気になるんだけど、広告って『張る」もんかな、それとも『貼る』のかな」
「いいんじゃない、どっちでも。リンク先があるから『張る』にしてるけども、貼り付ける意味では『貼る』だと思ってるわけね」
「それはいいや。でっち定吉が張ってる広告は、クリックして購入までしていただくと売上になるんだよね。皆様いつもありがとうございます」
「最近はちょっと売上上がるようになったみたいね」
「まあね。バリューコマースの広告は、1年で1,000円ないと売上あっても没収されるけども、そんなのに怯えることはもうなくなったね。あと楽天のもたまに張ってて、これは売れるとポイントもらえる」
「でも売上のほとんどは、でっち定吉が選んだものじゃなくて、Googleの自動広告が稼いでるわけね。こちらはクリックだけで売上になるのよね」
「そう。そのGoogleの広告に、マンガがよく出るのさ」
「ああ、そういえばあんた自身が広告に影響されて、ここ1年ぐらいマンガをやたら読むようになったのね」
「そうなんだよ。広告の効果が、ブログ運営者に働くとはね。しかもタダでかなり読めるのがビンボー人にぴったりで。いやそんなことじゃない」
「いやらしいマンガの広告ね。『いやらしい』は文字通りエロい意味。エロいのは嫌い?」
「好き嫌いの問題じゃないんだよ。五街道雲助師匠の人間国宝認定の記事に、成人向けとスレスレのマンガ広告が自動で出てきたら、さすがにうわーってなるわけさ。せっかくの格調高い記事が」
「格調は知らないけど、『パラダイスヘル』ってマンガね。エログロ路線の異世界ものらしいわ」
「Web広告のことなんてわからない人から、でっち定吉はエロい広告張ってる! ケシカランと思われるのも癪なんだよね」
「だからこうしてネタにしてるわけね」
「そう。でも、露骨にセリフを引用したりするとたぶん広告配信に影響が出る。エロいマンガの広告が許されて、なんでそれをネタにしたらまずいのかよくわからないけどさ」
「そういうジャンルが出ないように設定すればいい」
「そう、前に自民党総裁選のときに、高市早苗推しの気持ち悪い広告がやたら出たときは、ブロック設定したね」
「でも、同じことを今やらないのはなぜかしら」
「今月久々に広告収入がよくてね。アクセスが大きく変わったわけじゃないので、もしかしたらエロ広告のおかげなのかなと」
「悩むよねえ。中には、誰がクリックするのかなっていう地味な広告も出るもんね。そういえば、最近過払い金請求の小野真弓の広告が出てるけど、あの人アコムのお姉さんだったのよね。金借りろって広告に出てて、今になって返してもらえって、とんだ裏切りもんだわね」
「ちょっと前も楽天市場の広告でやたらいやらしいのが出てたね。一応はすべて実際に楽天市場で売られている商品の広告が組み合わされてるんだけども、どうみてもエロなツールにしか見えないという」
「そのときも葛藤があったわけだ」
「そうなんだ。楽天市場の広告も、グラビア写真ならまだしも、中には女児モデルの水着の広告とか。これはさすがに世間から批判されたんじゃないかと思う。なくなったけど」
「結局どうするの」
「まあ、困ってるという話を世間に知らしめただけで今日はいいかな」
「そうね、こんなので1日のブログの分量書けちゃったわよね。じゃあ帰るか」
「ありがとう、アニマ。ところで関西人はアニマの『ニ』を高く発音するのかな」
「アメマか」
「あと、こういうセリフを1行置きに書いた記事のとき、広告が本文中に割り込んでこないことが多いんだよね。古い記事では出るんだけど」
「じゃあ、今日のブログせっかくアップしても収入ないね」
「オヨヨ」
「オチがオヨヨって」