吉原馬雀(元・三遊亭天歌)いまだ落語協会の香盤に復活せず

活動を開始した吉原馬雀こと、元・三遊亭天歌さん。
二ツ目さんは、新たな師匠に再入門できれば、キャリアはつながるものである。そして、金原亭の吉原朝馬師に入門がかなった。
かれこれ1年半ほど活動を休止していたのだが、こうなると空白などなかったようになるのが、噺家キャリアの不思議。
真打に上がる際、活動休止期間を考慮して1年遅らせてもいいわけだが、そうはならないと思う。

それにしても立派な名前。
吉原スズメということなんでしょうね。吉原の事情通のこと。
師匠の朝馬は、名跡だ。
吉原で散々っぱら遊んで、翌朝手元不如意につき廓から馬を出すという意味なんだろう。付き馬である。
寄席芸人伝には「吉原馬道」という登場人物が出ていた。このマンガ以外で見たことない名前だが、これも名跡なのだろうか。
馬雀さんが真打昇進のときに取ってある名前だと、私は勝手ににらんでいる。

さて、活動を再開した馬雀さんだが、落語協会の香盤に名前がない。検索窓で検索しても、出ない。
節目の今日にでも再掲されると思っていた。だが、まだ出てこない。
264番柳家花飛さんの次、265だったと思うのだが。
と思って、アドレスを直アクセスしたら開いたけども。

吉原馬雀

いつから載ってたんだろうか。ぬかったな。
新しい名前、キャリアでちゃんと作られている。
でもやっぱり検索窓から検索しても引っ掛からない。
明日には、でっち定吉ブログが検索トップに出てるかもしれない。それはちょっとな。

もしかしたら、香盤を下げるのだが、どこに入れたらいいか決まらないのかもしれない。ありそう。
パワハラ事件の被害者である馬雀さんにペナルティを課すとしたらおかしい。
しかし、破門された以上香盤を下げるのもある種の道理だったりなどして。本人が求めた破門だとしても。
かつて小朝師から破門され、円丈門下に移った三遊亭究斗師が香盤下げられたはずだ。それで、本来ちょっと下の人たちと一緒の真打昇進になった。
先に、「真打が遅れることもない」と書いたのといきなり矛盾するのだが、香盤が下がると真打昇進も遅れることになる。

破門に伴う活動休止(本当は逆だが)があった以上、香盤が下がっても仕方ない気もするのだ。それをペナルティ(処分)と考えるべきかどうかは微妙。
ただ、本当にそうしたらファンが怒りそうでもある。

それと、古今亭佑輔さんの処遇と矛盾するというのもある。
元金原亭乃ゝ香の佑輔さん。
彼女も前の師匠に破門され、しばらく空白期間があった。しかし香盤が下がるなどということもなく。
個人的には、下げたほうがいいんじゃないかと書いた(別に、ペナルティと考えなくてもいい)。
あんまりこういうことは、悪意がなくても断定しないほうがいいですね。あとで一人で矛盾に悩んでしまう。
今回下がったとして、「ほれ見ろ」と得意がるのも変だし。

二ツ目香盤の2番手にまで来て(今秋以降)、抜擢により待たされているのが古今亭志ん松さん。
気の毒だなと思っていたが、志ん松さんもかつて破門され、落語協会香盤からも抹消されてからの復活だったそうで。
この場合は香盤、下げられていない。だからまあ、いろいろあるのだ。
志ん松さんのようなキャリアの人からすると、抜擢組に香盤抜かされたぐらいで、別にどうということはないのかもしれない。

馬雀さんは9月から神田連雀亭の定席にも登場。8月、すでに夜席には出ていた。
興味はあるが、私はマスク義務が撤廃されない限り神田連雀亭には行かないことにしたのでパス。
ピークの際なら立派な方針だが、今になってなおマスクを義務化するのは、やばい宗教と一緒だと思うんですが。
まあ、馬雀さんを熱心にサポートする人は、笑福亭羽光師など落語協会以外にもいるので、そのうち聴けるかもしれない。

そういえば騒動の渦中、落語協会にも沈黙を保ったままの人が多数いる。
黙っていた人は今居心地悪いかもしれないのだが、気持ちはわかる。本当は状況を知らないからわかりようはないけど。
今になって、黙ってるんじゃなかったと思っている人もいるかも。
でもいい。今さら支援を表明するのも変なので、自分の道で頑張ってください。

ちなみに、元師匠・圓歌を擁護する人というのは知らない。
落語協会でも結構、ネタとして消化されている。

(追記)

本日9月1日中に、検索窓からは引っ掛かるようになりました。二ツ目として吉原馬雀がヒットする。

しかし一覧には名がない。やはり香盤問題なのかなあと。

(2023/9/3追記)

吉原馬雀さん、香盤下げられ「林家なな子」と、抜擢予定の「林家つる子」の間で決着です。
前座になったのが馬雀さんが2010年7月、なな子さんが2011年2月。
落語協会の闇を勝手に感じる人もいるかもしれませんが、活動休止期間を考えれば、嫌がらせということもないでしょう。

 
 

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。