三遊亭金馬襲名

三遊亭金馬襲名のニュース。
四代目金馬の息子である金時師が継いで、金馬師は隠居名の「金翁」になる。
歌舞伎とは違って、生前贈与は珍しい。過去には林家木久蔵襲名があったくらいだろう。
金馬師は90歳か。すごいな。

確か、ずいぶん前から生前贈与の話があったんじゃないですかね。
「落語ファン倶楽部」の楽屋ネタに書いてあった記憶がある。
先日、惣領弟子の小金馬師がご長寿の師匠より先に亡くなったが、このことは関係ないと思われる。

「また血で継ぐのか」とケチをつけるファンもいそうだ。
だが、民間人は名跡を血縁で継いでいて、思わぬ人が持っていたりする。「三遊亭圓朝」なども持っている民間人がいるのだ。
それを念頭に置けば、現役の噺家が、自分で持っている「金馬」の名跡を息子に継ぐのは、実に自然で当たり前。
昔は、噺家を継ぐこと自体が少なく、目立たなかったというだけのことだと思う。

金時師は、普通に上手い噺家という印象を持っている。そんなに聴いていないけども。
黒門亭で聴いた「お若伊之助」はよかった。志ん朝ぽかったが。
「五代目を継いだのち、急激に上手くなって名人になる」というストーリーを勝手に想像する人もいそうだが、そういうことはないと思う。

ちなみに襲名は、決して楽なことではないと思う。
落語協会の場合は寄席5場で50日間続けるから、体力面も大変。飲み会も続くので、費用も大変だが、それ以前。
「継ぐぞ」と決意したところで、席亭が賛同してくれなければ襲名披露もできない。
そして襲名披露は、真打昇進披露のスケジュールを縫っておこなわなければならない。
金馬襲名は2020年秋。
落語協会は、春は真打昇進披露をするが、秋の昇進はないことになる。順番を待っていてもお預けになる人たちもいるわけだ。

今年秋の単独昇進、芸協の柳亭小痴楽さんは、「柳亭痴楽」を持っているはずである。先代の息子だから。
真打昇進の際に痴楽を襲名するのかと思っていたが、違った。
真打昇進の際に襲名をする人は大変多い。先日襲名を断念し、名前を変えずに昇進したのが、三遊亭好の助師。
小痴楽さんは、20年ぐらいして痴楽襲名イベントを大々的に執り行うものと思われる。

父の名を襲名する可能性のある人は誰だろう。
まだ二ツ目だが、林家たま平さんは、父の「正蔵」を将来的に間違いなく継ぐ。
それ以外では、三遊亭圓窓師の息子の窓輝師、6代目柳家つば女の息子の柳家小きん師ぐらいか。
好楽師の息子の王楽師は、なんとなくイメージから外れる。
円楽師の息子の一太郎は、本業が他にあるから、まず考えづらい。

好の助師の林家九蔵襲名騒動の際、小きん師は自ら持つ「つばめ」の名を先輩にくれと言われたことをブログで世間に訴えていた。
申しわけないがまったく気の毒には思えなかった。
実際問題、つばめの名を持っている小きん師、襲名するぞと決意したとして、寄席で披露目が開けるのであろうか?

金馬襲名のニュースは、毎週聴いている「ナイツのちゃきちゃき大放送」内のニュースで知った。
出水麻衣アナ、金馬を「金歯」のアクセントで読み上げ、ナイツに訂正されていた。
ちなみに、四代目を「よんだいめ」と発音し、これもナイツに訂正されていた。「よだいめ」ですね。
落語を普段から聴いている人には「きんば」のアクセントなど当たり前だが、意外と読めないものだな。
ちなみに知らない人に説明すると、「あん馬」「産婆」「現場」「船場」「八ッ場」などと同じ平板アクセントである。
「サンバ」「シンバ」「難波」「丹波」などとは違うアクセント。これは出水アナの間違えたほうの発音。

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. 落語協会のHPによると、たん丈さんたちの真打昇進は「お預け」ということではなく2020年春のようです。わさびさんたちが2019年秋ですから立て続けの披露興行ということになりますね。

    1. 石さん、コメントありがとうございます。

      たん丈さんたちの昇進、協会のお知らせに出てますね。見逃してました。
      それにその前の昇進、柳家わさびさんたちは2019年秋です。
      明白な間違いなので、本文訂正させていただきました。

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