あざみ野落語会(上・三遊亭ごはんつぶ「転失気」)

土曜日に亀戸梅屋敷で、「小ふね・ごはんつぶ」の二人会があった。
こちらに行こうかとも思ったが、本日月曜にあざみ野で「花いち・ごはんつぶ」の二人会。予約で1,500円と安いので切り替える。
亀戸はちょくちょく出向いてるが、あざみ野なんてとこへはそうそう足は向かない。
コロナ真っ最中の2021年1月に金原亭馬玉師の会に来て以来。会場は違うけど。
そういえば馬玉師、小馬生に改名したんですな。知らなかったよ。
今回は駅チカのお寺、西勝寺が会場。
柳家花いち師は、田園都市線沿線の会が多い。

ところで花いち師は、ついに今月、寄席のトリ。
ずっと応援してるので嬉しい限り。3月中席池袋(昼)だ。
そちらは当然行くが、その前にも。

ところで花いち師、初トリは池袋下席だとばかり思っていた。中席とは意外。
池袋は、下席は若手の抜擢が多い。よくわからないが、中席のほうが格上じゃないのかな。
まあ、うがった見方をすると、今月の落語協会は100周年のお祭り続き。手薄な池袋に収まる若手がいたということなのかも。
でも、いいじゃないか。ここで爪痕残せばいい。
ちなみに下席、新作まつりは22日に出るようだ。

ごはんつぶさんも楽しみ。
二人とも二刀流だから、古典新作一本ずつと予想。
実際には3席でしたが。そしてすべて古典落語。

現地のお寺はちょっとした高台にある。
会場に着くと、花いち師が自ら受付をしている。
お寺だが、椅子席だ。
30席しつらえてあるが、なんと満席で追加で椅子が出る。
檀家筋の集客なのか? すごいね。

転失気 ごはんつぶ
井戸の茶碗 花いち
(仲入り)
ぞろぞろ ごはんつぶ

高座にメクリはなし。
5分ぐらい遅れてスタート。
前座の出囃子が鳴るので前座がいるのかと思ったが、チョンマゲのごはんつぶさんが登場。

この会も4回目になりました。
同じ協会の花いちアニさんに声を掛けていただいて、一緒にさせていただいてます。
横浜出身というのをご存じいただいてたので。
あのアニさん真打ですからね、あんまり受付してもらうようなものじゃないですが。
でもぼくが最初の出番なんで、着替えてました。
アニさんは今度寄席のトリを取るんです。偉いんです。

ぼくは緑区の中山出身です。
このあたりも友達と自転車で来たりしてました。まあ、何があるわけでもないですが。ごめんなさい。
このたび、横浜出身の噺家4人集めた会ができたんですよ、先日第1回でした。
これが、落語協会、落語芸術協会、立川流の3団体と、関内ホール、TVKが組んだ大掛かりなもので。真打になるまで面倒見てくれるそうです。
メンバーは、春風亭かけ橋、立川うぃん、春風亭昇羊というアニさんたちと、ぼくです。
うぃんアニさんは、お父さんがウィーンっていう喫茶店やってたそうで。
昇羊アニさんは旭区ですよ。三ツ境だそうです。
緑区のぼくと対を成す感じですね。
問題はあと二人で、上大岡と、馬車道ですよ。
馬車道出身なんて人、生まれて初めて見ましたよ。
顔合わせのとき、かけ橋アニさんにどこ出身なのか訊いたら、感じ悪いんです。「うーん、知らないかもしれないけど、上大岡」。
知らないわけないでしょ。京急建ってますよ。
アニさんもぼくに出身地を尋ねます。
「中山です」
「ふーん…ところで今日さあ」
話題変えられました。絶対ピンと来てないと思いますけど。

横浜と言っても広く、この地域ネタ大好き。
そういえば3年前の会でも、伊勢原出身の小馬生、秦野出身の一左の各師がそんなマクラ語ってたっけ。同じ神奈川でも、田園都市線とは線が違うって扱われるという。

マクラとは特に関係なく(中山に多少掛かってるのか)、知ったかぶりを振る。
ごはんつぶさんの古典(饅頭こわい)をにぎわい座で聴き、いたく感心したので古典なのはいいが、転失気か。
前座が出すとさすがに聴き飽きてそこそこがっかりする噺だが、二ツ目がやるものは結構面白い。噺の面白さに関するツボがそれぞれ違うみたいで。

ずいぶんゆっくりめの転失気。
実際、マクラ含めて30分の高座だったから、本編もかなりスローペース。
スローペースの前座噺は、だいたいじれる。いいよそんな説明、と思ってしまうことが多い。
だが、ごはんつぶさんはゆっくりでも味わい深い。
ちゃんと登場人物の、心境を丁寧に描いているからだ。だからウケる。
和尚に転失気のわけを教わった珍念が、飛び上がらんばかりに驚くのだが、これがよくウケる。
キャリア浅い前座さんだと、「さて次に、しっかり驚いてと」というようなやり方なんだろうなと思うのが多い。
でもごはんつぶさんの珍念は、顔まで使ってしっかり驚くのだ。
ああ演者さんも、こういうところが好きなんだろうなと感じる。
新作派だからなおさらだ。新作を作る人ならではの、古典の面白さというものがあって、演じていて楽しいのだろう。

最近、こんなのを書いた。

古典落語を演者にフィットさせるものは「熱量」

いささか抽象論すぎるなとも思ったが、具体的事例を見つけたらリンクを張ることを予告した。
その第1号が今日。
転失気の面白さをしっかり伝えたいという、見事な高座でありました。

続きます。

 
 

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作成者: でっち定吉

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