桂梅團治「青菜」(神戸新開地喜楽館配信)

一昨日の記事は非常に反響が大きかった。PVが倍になったものな。
昨日更新しなかったのはそういうこと。
しかし、ついに人気者の中の人気者を手に掛けてしまった。これがでっち定吉の終わりの始まりかもしれない。

もう少し地に足のついた記事も出していこう。

先月は楽しい席にいろいろ参加した。
木戸銭が1万円を超えた(十分安いほうだけども)ので、今月は配信中心にしようと。
配信落語は、コロナ禍の頃鈴本と浅草演芸ホールで毎週配信していたのを無料で聴いて以来だ。

配信で考えたのが、次のもの。

  • 神戸新開地喜楽館 おうちで元気寄席(月1,100円)
  • 梶原いろは亭友の会Bタイプ(年間5,000円)
  • 産経らくご(月1,100円)

ぴあ落語ざんまい(月額1,089円)には入らない。
これ聴くと、東京落語がすぐ煮詰まってしまいそうで。初心者にはむしろおすすめしますが。
東京でも、梶原いろは亭なら面白いかもしれない。トークもあるし。
年間2枚の招待券付きなので、実質は相当安い。
それから、産経らくごもいいかも。
神田連雀亭に行って、いきなり配信のカメラが入っていて驚いたときがあった。
今月は6月6日の昼席がこの配信。これを観たら、他にもアーカイブがいろいろ見られる配信はオトクな気がする。まあ、現地に行った際の木戸銭1,000円と比較するのはナンセンスだけど。

ただ、まずは月1,100円、初月無料の喜楽館の配信を始めることにした。
上方落語だから、煮詰まる心配は薄い。
月が替わって6月に登録した。

公式サイトはこちら。

初月無料なのをいいことに、あまり詳細に説明を読んでいなかった。それほど書かれていないのも確かだけど。
毎週火曜日に配信される。
今日は火曜だが、先ほど朝から聴いたのは先週のもの。

こんな内容。

挨拶 支配人・伊藤史隆
小噺 源太
前説 支配人補佐・三ノ助
元犬 源太
釈の合薬 染吉
手水廻し 喬若
青菜 梅團治

1週間で聴けるのは、この分量。
なんだ、もっと多いのかと思っていた。
そして生放送でもなかった。この5月28日配信開始(本日終了)の動画は、連休前の収録らしい。
量的には期待を下回るため、有料になってから続けるかどうかはわからない。
寄席に招待してもらえることがあるようだが、そのために神戸まで行けるかというと。行きたい気持ちはあるけども。
質に期待しましょう。

桂源太さんが最初に太鼓を持って出てきて、小噺一発披露して下がる。なんだこりゃ。いいけど。
再度出てきて、一昨年のNHK新人落語大賞で披露していた元犬。
非常に明るい高座で、今後の活躍が楽しみなものでした。

トリの梅團治師の青菜がよかった。
師は、ラジ関寄席あたりでよく聴く人。
この時季は青菜、東西ともども聴く機会が多いし、実際聴いてきたばかり。だが、芯がしっかりしていれば飽きない。

梅團治師は、鉄道落語で有名な人。もうひとり桂しん吉師ともども、東のファンでもご存じの人も多いでしょう。
この日も、昼席と夜席の間に新長田で撮り鉄をしてきたそうである。サロンカーなにわと鉄人28号を収め。
ただ、梅團治師は先代春團治譲りの古典落語がまず上手い。

青菜というのは、骨格は意外と地味である。だから手を入れたくなるのが人情。
苦手になったばかりの師匠の青菜もそうだった。その節は常識を裏返すギャグにいたく感心したものだったが。
ただ振り返ると、視線に演者の意地の悪さを感じるのも確か。

梅團治師の青菜は、ボディがしっかりしていて、そしてハネていい限界点を決めている。
そのため、反作用が一切ない得難いもの。
植木屋もそこそこアホだが、アホ過ぎたりはしない。アホ過ぎて下の限界を突破する落語でもない。
実にほどがいい。鷹揚な旦那のツッコミもまた、ほどがいい。

うちでオウム返しを繰り返す際も、まるで無理がない。
かみさんは亭主に向かって「アンケラソー」「腸チブス」「九官鳥」と無茶苦茶だが、でも一切逆らわない。
実に自然に夫婦揃っての遊びが始まる。
ここ、若手だとやりづらい気がする。ベテランは「遊びに付き合うかみさん」の存在からスタートしてしまうのだ。

実にさりげない、いいシーンもある。
おからの炊いたん(鯉の洗いの替わり)について、やってきた大工がその味を褒めている。今後お咲さん(植木屋のかみさん)から、うちのかみさんにも教えてやって欲しいと。
そして青菜が食べられない(嫌いなのではなくアレルギー体質らしい)大工も、最速で食べてやるフリをしてくれる。

また今日の昼から新しい配信が始まるので、いいものがあれば取り上げる。
なければスルー。

作成者: でっち定吉

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