プーク新作落語寄席2 その1(林家十八「変身指南」)

プーク新作落語寄席、夜席は行きづらいが都合つけ、昨年に続いて参加する。
昨年は大きな刺激を受けたのだった。
今年は早めに行動したので、4日間どの席でも選べたが、あまり迷わず初日火曜に。
新作落語界を代表するメンバーが揃っていて、主任は三遊亭白鳥。
昨年、全日通して芸術協会の人が3人いたが、今年はなんと今輔師ひとりだけである。
芸協さんも頑張っていただきたい。
それと、吉原馬雀さんが出られるといいのだけど。

変身指南十八
粗忽戦隊ヌケテンジャーごはんつぶ
代行サービスきよ彦
二コ上の先輩きく麿
 (仲入り)
お天気ランド志ん五
中年のトトロふう丈
3年B組はん治先生白鳥

元気な女性客がいっぱい。
どこの会に行くか予定を語らっている。
聞くともなしに聞いていた。
「宮治さんの会は行かないんですか」
「行かないことはないけど、あの二ツ目の頃のキラキラした感じがなくて。人気者になって、毒も控えめになっちゃったでしょ」
「一之輔のファンの子には嫌われてるみたいね。一之輔との二人会のときだけ頑張るって」
「まあ、確かに実力は違うからね」
だそうです。
なんだか、トリに出てきた白鳥師の高座と内容混じっちゃった。
あと、にゅうおいらんずの悪口も聞こえてきた。
そのうち落語ブロガーの悪口も出かねない。

その白鳥師は、「寄席ではできないネタを」ということで、先日池袋で聴いたばかりの「3年B組はん治先生」だった。
「普段出せない噺」が連発なんて。
まあ、2度目でより楽しかったということはあるけど。

前半は素晴らしい噺ばかりでした。
志ん五師は「らしい」新作だが、少々ガッカリ。
ふう丈さんには結構ガッカリ。

最前列の男が、やたら手を叩くのがイヤだった。
なにもない状況で真っ先に手を打ち、誰もついてこなくても平気。
指笛ぐらいイヤだ。

落語の変な拍手

前座は誰が出るのか知らない。
期待の林家十八さんでした。きく麿師の弟子。

前座ですがこの会では新作をさせていただきます。
新作は、自分の好きなもので作ると作りやすいです。

導入は古典落語っぽい。
池袋演芸場のそばのいかがわしい一角に、「変身指南所」を見つけたので一緒に付き合ってほしい。
客爆笑。

行ってみると、ショッカーの親玉が出てきて仮面ライダーである客を迎えてくれる。
そして変身の稽古。
先生は、藤岡弘のごとく、悪を憎み、怒りを振り絞って変身する。
しかし生徒は形だけ。
でも気合入れたらできるようになる。

ストーリーは、古典落語のパロディであることだけ忘れなければ、わりとどうでもいいみたい。
変身ポーズ誕生の逸話、それはケガした藤岡弘に代わり仮面ライダー2号が登場したことを意味するが、そんなアネクドートがたくさん。
女性のお客さんも喜んでいる。

あくび指南とは異なる道を行く。
オリジナルライダーを作ってみませんか。
それに応えて、実は落語が好きなので落語家をライダーに変身させてみせます。
と、落語協会新作台本募集に応募したら落選間違いなしの展開。
もちろんプロだからいいのだ。

落語ライダーは、手ぬぐいと扇子を本物の武器に見立てることができる。
手ぬぐいと扇子を組み合わせたマシンガンの所作は爆笑。
今日は1本しかないけど、と断って、扇子2本あったら壁も登れる。ガッシ、ガッシ。
この、遥かなるたぬきうどんの所作がウケる。やるな客。

ちゃんと退屈してるお連れさんを回収してサゲる。
さすがだ。

次が三遊亭ごはんつぶさん。
昨年もプークで聴いた。
そして、今年古典落語を2席聴いてレベルの高さにおののいた。

先の十八さんを評して、卑怯ですね。だったかやりたい放題ですね、だったか。
あくび指南以外にも古典落語をつかみこんでいる様子を。

粗忽について。
粗忽の3分類をする。
「ちゃんと聞いてない」「ちゃんと見てない」「忘れっぽい」だつたかな。

そして、普通に「お前の親父だ」を振る。
ウケるはずないが、全然平気。
あと、「噺家とカモシカ間違えた」みたいなノリでもうひとつ。

本編が始まると、いきなり街を破壊する怪人に対し、名乗りを上げる粗忽戦隊ヌケテンジャー。
前座の一席と、ツきまくってますが。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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