池袋演芸場33 その1(阿佐ヶ谷からいきなり転戦)

23日祝日は、阿佐ヶ谷にコーヒー豆を買いにいくのと、落語。
アートスペース・プロットで、入船亭遊京・柳亭市童・柳家小もんの「B3」。

のはずだったが。
例によってコーヒー豆を頼んでから、アートスペース・プロットの扉を開けると、受付にいるのはどう見ても芝居の関係者。
「会場に行ってみたら会がやってない」というのは、コロナ禍の日程変更で一度経験して以来だ。
X見たら、すでに23日の会は会場都合で中止ですとある。会場側のWブッキングでもあったのだろう。
意外と情弱なわたし。
この23日の会に来るのを前提に、20日の柳枝師を聴きにいったのである。間隔による判断。
この会がないのを知っていたら、きっと金曜も行かず、土日のどちらかに出かけたと思う。

仕方ない。阿佐ヶ谷しまい。
阿佐ヶ谷パールセンターのドトールで、豆が仕上がるのを待ちつつ東京かわら版を手に作戦を練る。
さいわいJRの都区内1日券で来ているので、転戦する場所によっては交通費はそれほど掛からない。

柏で小遊三・たい平2人会があって、当日券あり。柏駅からは徒歩20分。
いったん本気で調べたが、移動があまりにもせわしいし、やめた。
それから市川で、「立川志の春・林家きよ彦・春風亭与いち」という「市川寄席」がある。平井から1駅乗り越しで行ける。
調べたらすでに販売終了。

なかの芸能小劇場なら、すぐそこだ。
12時から馬石師の独演会だが、コーヒー豆ピックアップしてからでは間に合わぬ。
14時半からは文菊師の独演会。これも悪くはないが。
それから、月イチの堀之内寄席の開催の日でもある。今回はいいや。
中央線をさらに西に向かい、青梅線で福生の牛浜に行くと、小痴楽・わん丈・笹丸3人会がある。
方面的にあまり気が進まない。別に福生のせいじゃないけど。
西荻窪の酒屋では、文吾・伊織の「ほろ酔い寄席」だって。電車賃の追加はないが当日2,800円は高い。

これはもう、寄席しかない。池袋なら下席なので午後2時開演で間に合う。
池袋演芸場9月下席は、柳家㐂三郎師の初主任で、もともと検討していた。
せっかくの初主任を飛ばして、またらくごカフェ行こうかなんて不埒なことも考えていたけど。
昔昔亭喜太郎さんも語ってたが、トリを取ってなおかつ裏を返すのはたいへんなんだ。
我々の入場が次を左右する。ここは侠気に駆られて。
割引券探したらフェイスブックにあった。
2,300円で入れていただく。
寄席はいいね。予定の狂った人間も常に優しく受け入れてくれる。
満員に近く、これなら㐂三郎師も裏を返せそうに思う。

道灌小じか
粗忽の釘小太郎
家見舞小志ん
やかんなめ三語楼
岡大介
生徒の作文駒治
ちりとてちんさん遊
(仲入り)
さよならたっくんやなぎ
最後の晩餐しん平
ダーク広和
甲府い㐂三郎

最近聴いたのと、演目被りがやたら多かった。
国立(内幸町ホール)で聴いた「甲府い」「やかんなめ」「粗忽の釘」が。
シブラクで聴いた「ちりとてちん」も。
甲府いは、お会式の時季だから被ってそんなに不思議はないけど。ちりとてちんはもともと時季的によく出るし。
しかしいずれも見事なものでした。

前座が上がったばかり。八っつぁんが隠居と語っている。道灌。
柳家小じかさん。二度目だと思ったが、前回は配信(さだまさしの会)だった。
個性的なビジュアルの人だが、誰に似てるかというと孫正義氏にいちばん似ている。優勝おめでとうございます。
わりと上手いけど、客は微動だにしない。池袋の客、厳しい。
反応がなくてもめげないのはいい。
だけど、ウケたい病に罹かっているかも。
八っつぁんがバアさんバアさんと呼ぶのを隠居がたしなめたあと、たっぷり間を取って「妬くな」。
小せん師の弟子がこんなのしないで欲しいなあ。
他にもウケたい病をうかがわせるシーンいくつかあり。まあ、前座にはよくあること。

二ツ目の柳家小太郎さんは粗忽の釘。さすがに上手い。
ちなみに、前の小太郎がトリの㐂三郎師。その前の小太郎が師匠の左龍師。
前座のときに注目していた人だが、二ツ目になって生の高座は初めてだ。配信では聴いた。

前座と違い、一切ムダに強調するシーンなんかない。
向いも隣も、アクセント付けず穏やかだ。隣はさすがに困惑してるが、それでウケようなんてしない。
実にスタンダード感漂う粗忽の釘だが、スタンダードさがたまらない。
むやみにハネないからこそ、楽しさが沸いてくる。
しかしながら、常にいろいろ考えているのである。サゲをちょっとだけ変えていた。
阿弥陀さまの喉から飛び出た釘を見て、「お宅はここにホウキを掛けますか」。
聴いたことがあるような気もする。まったくオリジナルではなかったかもしれない。
そうだとしても、これを選ぶセンス。
いくら粗忽といっても、隣の家までホウキ掛けるヤツはいないということだろう。
それから、かみさんとのなれそめで、脇から手を入れてコチョコチョコチョもあった。これも珍しめの気がする。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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