神田連雀亭ワンコイン寄席59(中・桂笹丸「盗まれたアレ」)

NHK新人落語大賞の記事、午前0時どころか7時にもアップしてなくてすみません。
今日は神田連雀亭の続きをひとまず。

怖い内容の漫談を軽々と掛けていった希光さん、残り時間はあとわずか。
ちなみに希光さんの行った披露目の模様(池袋)は、入船亭遊京さんのブログに出ていた。

枝雀の話。
天才枝雀は、あるときひらめいた。
「ほたらなにか。これこれこういうことかいな」で始めれば、どんな長い噺だってあっという間に語れてしまうのだ。
その実践として、魚勝が革財布と夢の顛末を振り返り、酒をついでもらうという噺を2分ぐらいで語る。
また夢になるといけねえ、でサゲるかと思ったら、どうも下りづらかったみたい。
時間を少々オーバーし、短縮版SDGs限無。
あんまり名前が長いからコブが引っ込んじゃったと今度こそサゲる。

今度は桂笹丸さん。袴を履いている。
なんかおかしくないですか、と第一声。
実は帯忘れまして。風呂敷を締めてるんですよ。この通り。
羽織忘れることはあっても、まさか帯忘れるとは。
袴のない着流しで帯がないとすごく変なので、前説をご勘弁いただきました。

二ツ目も長くなると緊張感がなくていけません。
前座の頃は常に気が張ってましたけども。
ほんとにぼんやりしてまして、怖いですよ。

前座の頃楽屋で、ある師匠の足を私が踏んだそうなんです。
みんなの前で5分間たっぷり怒られました。平謝りです。
最後に、踏んだことに気づいてたのか、気づいてなかったのか問い詰められました。
「気づいてませんでした、申しわけありません」
「気づいてなかったのか! じゃ、いいや」
え、今の5分なに?

春風亭小朝師匠と旅の仕事でした。帰りの新幹線は師匠と横並びで。
小朝師匠がスマホの画面を向けて言います。どうこの子の髪型、笹丸くんにピッタリじゃない?
私答えてしまいました。「そんな!噺家で金髪なんてありえないですよ!」

以前も聴いたエピソードも。
歌丸師匠に「カゼ」持ってきてくれと言われて扇風機を持っていった。

私、苦手だったのが円楽師匠です。
なんだかいつもタイミングが合わないんです。
歌丸・小遊三・円楽の会がありまして、前座はわたし一人でした。
重鎮の会なので、楽屋が別です。
前座はこちらから、お時間なので着替えたらいかがですかなど声がけはできません。ご自身のタイミングがありますから。
なので3つの楽屋をグルグル廻って様子をうかがってました。
そうすれば、師匠のお着替えの際すぐお手伝いできます。
そしたら円楽師匠に叱られまして。
「何度も覗いてんじゃねえ! お前はインディアンか!」
インディアンがよくわかりませんけど、しくじりました。

このあとまた円楽独演会の前座に入りまして。なんででしょう。
今度は、徹底的に円楽師匠から遠ざかることにしました。そうしたら叱られないんです。
前座の出番でお先に勉強させていただきますと申し上げたら、「お前、俺のこと避けてるだろう」と叱られました。

先日も笹丸さんをここで聴いたばかり。
マクラを練りに練ってるが、最後のエピソード以外はそんなにウケてないなと思っていた。
だが今日は最初から爆笑。しくじりを語る際、気持ちが入っているから楽しいのだ。
しかし、しくじりのエピソードとはいえ、偉い師匠方のお供で遠くまで出かけるのは、優秀な前座だったからに違いない。

マクラを終えたときは12時を回っていた。
ようやく入った噺は、新作。
笹丸さんが新作するとは知らなかったが、竹丸一門だし不思議はない。
だが、今日やるとはびっくり。トリの喜太郎さんは新作だろうし。

舞台は警察。怪盗ルコメから挑戦状が届いているのだ。
なんだルコメって。4時間後にようやく、パンじゃなくて米なのかと気づいた。

怪盗ルコメは、みんなが見ているが誰も名称を知らないものばかり、予告して盗んでいくので警察も手を焼いている。
今日も学校から、水道の蛇口の取っ手部分だけ残らず盗んでいった。
あれはなんていう名称だ。調べたら「ハンドル」。普通だな。

捜査会議は脱線し、事象はみな知っているが誰も名称を知らないものの話で盛り上がる。
寝ているときにビクッとする現象をジャーキングと言うとか。
へえ。まあ、明日になったら忘れてるだろうがな。
確かに、客の私も他のエピソード、感心したが覚えてない。
先月聴いた「十徳」でのるるぶとゼブラの由来も面白かったが、アイディアマンの笹丸さん、これを落語にしようと思いついたらしい。

またも怪盗ルコメから犯行予告があり、「町内のグレイビーボート」を残らず盗む。
警察は海、川を警戒するが、グレイビーボートとは、ライスの横に置かれる、カレーを入れるあの器だった。
英国ではカレーはあの器に入れないらしいですよとまた脱線。

また犯行予告があるが、今度は何も盗んでいかない。
サゲは綺麗なものだった。
今後もこんな、くだらない新作に期待しています。
というか、落語協会の台本募集に残りそうなタイプ。
気づきがあるのがいいよね。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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