落語協会に比べると層の厚さに課題のある芸術協会、それでもたまにオールスターズ的な番組もある。
この11月上席昼前半は、オールスターとはいえない。
だが、芸協にこの人ありといった、非常に個性的な顔ぶれである。
ブログのネタづくりはともかく仕事したい気もあったのだが、そんなわけで来てしまった。
二ツ目は主任の弟子交互。初日は一番弟子の昇輔さん。
ちなみにもう一人は最近二ツ目になった蛙朝さん(元・はち水鯉)。
いかにも池袋の平日という感じでいい感じですねと。
私は2年半振り。すぐに間が空いてしまうものだ。
主任の瀧川鯉朝の弟子で、春風亭昇輔です。
師匠と亭号が違いますが、これを説明しだすと長いんです。別に連れ子とかではありませんので。
単に師匠の二ツ目時代の名を名乗っているだけじゃないかと思うけど。
落語協会の柳家小太郎さんも、師匠(柳亭左龍)の前の名を名乗っていて、師匠と亭号が違う。
自分の好きなものとして、映画の話。
クリストファー・ロイドが来日するというので、高いチケット買って撮影会に行ってきました…なんですか、この反応、あのクリストファー・ロイドですよ。もっと盛り上がってもいいんじゃないですか。
バック・トゥー・ザ・フューチャーのドクです。
撮影会は流れ作業で、写真撮ってもらって次から次へ入れ替わる。
クリストファー・ロイドは何百人も相手をするので、無表情。声を掛けたりしてもいけない。
昇輔さんもあっという間の写真撮影をして、Xにアップした。
X上にはたくさん写真が載っているが、いずれもクリストファー・ロイドは無表情。まあ、そんなもんでしょうと。
ただ、ついインスタグラムを見てしまった。
そうしたらロジャー・ラビットの登場人物、ジェシカ・ラビットのコスプレの人と撮影したときだけ、大きく手の平を広げていた。
悔しい昇輔さん。
ドクが、本編のフリみたい。
本編はバカSF落語。
博士と助手が、喜んでいる。ついに人間を冷凍して、眠らせることに成功したぞ。
これで、難病の人を冷凍して、技術の発達した未来で手術してもらえる。
実験の第1号は私自身だ。
せっかく500年寝て起きたのに、博士が期待するようなことはなにも起こらない。
あまり詳しく書けない。ネタバレを避けるというより、ささやかなギャグバレを避けたい。
ストーリーもちゃんとできてるが、とにかく軽薄感漂う。昔よく読んだ横田順彌のハチャハチャSFみたいなふざけた噺。
楽しい一席。
色物は松廼家八好師匠。
座布団なしで床に座って挨拶。
東京に6人しかいない幇間です。日本でも6人です。
日本にいるパンダの数と同じです。
もともとは太閤秀吉に仕える御伽衆から出たと言われています。曽呂利新左衛門ですね。
戦に明け暮れる戦国武将にとっては、軍記もの講談もいいのですが、くつろがせてくれる太鼓持ちは重宝されたようです。
夜はお座敷に出てますからね。
持っている手ぬぐいをいろいろ解説したり、芸を見せたり、まさにお客のご機嫌を取って去っていく。
芸協さんは、講談と浪曲と幇間、古典芸能を全部揃える勢いである。
来春真打昇進の瀧川鯉津さん。名前は「鯉づむ」に変わるそうだが、そんな話はしない。
演目は都々逸親子。軽くてよろしいな。
この枠は昇進者交互であり、弟弟子の鯉丸さんも入っている。
続いて三笑亭可龍師。
私は池袋がいちばんやりいいです、
今席は鯉朝師匠の芝居で。
三笑亭というのは数が少ないです。協会の重鎮と、それから大きく間が空いて、一番下の可風さんまで世代がぐっと詰まってるんです。
そのせいか、三笑亭の芝居は楽屋でも緊張感がありますね。
それに比べると瀧川一門は、本当に緩いですよ。楽屋でもバカ話ばっかりしています。
それでもこうして私も加えていただいているところを見ますと、鯉朝師匠、私のことが好きなんだと思います。
この芝居も、上方交互だけでなくて全部鯉朝師が決めてるのだろうか。
芸協の寄席はそんなのが多い。
1年を20日で暮らすいい男、相撲の説明から大安売り。
可龍師には悪いが、ここで寝ることにした。
以前も大安売り聴いたし、まあいいでしょう。
寝不足ではなく満腹によるもののため、寝たのはここだけ。
漫才はおせつときょうた。
やっと回転寿司以外のネタが聴けた。
劇中コントに入るのは一緒だが、ラーメン屋。
化学調味料のことを厨房ではアトムというなんて豆知識も。かがくの子らしい。
逆に、自然素材だけ使って作るラーメンをターザンと言う。ウソです。
楽しい漫才でひとつ気になるのは、大きなおせつが小さなきょうたを笑いのセンスがないといじるやり取り。
昨今の漫才、こういうコンビ不仲を連想させるネタは悪影響をもたらすと思うのだ。
きょうたの軽やかなツッコミ(ボケっぽい)は楽しく、いじって客に共感を呼ぶわけではないのだし。