M-1を挟みました。平井の会の最終回です。
続いて瀧川鯉舟さん。
落語協会の入船亭遊京さんが、芸協に自分に顔が似ている人がいるとネタにしていたのを思い出した。しかも、言及していなかったエクボまでお揃い。
秋田の佐竹知事の熊の失言について。
一言、私秋田なんですと言わないまま進めるのはなぜ? リコールでもしたいですよと。
佐竹知事、処分反対派に熊を送りつけてやると言っただけでなく、熊に爆弾入りの餌を食わせて爆破しようと言ってたというのを、高座の後で知った。
不謹慎極まりないが、落語みたいだなと。
痛風で足が痛い。
同じく痛風の小右治さん、尿管結石の鯉津アニさんとともに、この会場で「ツーフーストーンズ」という会をやってますのでよろしければ。
希光アニさんが言ってましたが、私滑舌悪いんです。
前座の頃はよくいじられてました。昇吾アニさんが一番いじってきました。
「いいか鯉佐久、こう言ってみろ。『鯉昇師匠のさしすせそ』これを繰り返せ」。
「鯉昇師匠のさしすせそ」「鯉昇師匠のさしすせそ」
本編は紙入れだった。
なんで若手はこればっかりやりたがるのかね。
ただ、自分で作ったのか、他にない展開。
新吉は、おかみさんに手紙で脅迫され、初めて旦那の留守に出かけたのだ。
そして、これはびっくりしたがおかみさんはひどいご面相。
新吉の話す、よそでこんなことがありましたという間男噺を聞いた旦那が、そのかみさんは絶対まずい顔だろと断定している。うなずく新吉。
紙入れは旦那にもらったものではないが、新吉が旦那に、これいいでしょうと見せたことがあって絶対覚えている。新吉はこのエピソードも入れ込んで、旦那は聞いたような話だなとクビひねっている。
芸協で流行っている、おかみさんの紙入れチラ見せも入っていた。
鯉昇一門はさすが創作力が高いんだなと感心した。
語り口のほうは、ちょいと変な角度がついている。ちょっとひねった語りが好きな人にはハマるだろう。
もう少し聴いてみたいもんだ。
「痛風の痛み止めが切れまして」と言いながら降りていく。
大変だね。
でっち定吉はこないだ健診受けて、ほぼ問題なしでした。
仲入り休憩終えると、午後3時をとうにまわっている。
二席めの希光さん、「目標は3時半です。絶対ムリですけどね」。
20分オーバーしていて終演。得した感じ。
二席めのマクラでは、今はなき松竹座の話を。
漫才師時代に、楽屋の受付バイトをしていたようだ。
ここでますおかさんがネタ合わせしてたりした。
敏江・玲児師匠にも間に合ったとのこと。
それにしても引き出しの多い人だ。
ただこのマクラ、一席めと違いどこから来てどこにつながったのか、よくわからない。
本編は師匠に教わったらしい、「掛川の宿」。
鶴光師の噺って、弟子はやるのかな。惣領弟子の学光師が「木津の勘助」を出していたのは聴いた。
それも、また今回の希光さんも、師匠が本編を脱線して入れるギャグを、その場所で使う。
鶴光師は噺の宝庫。どしどしやっていただきたい。
希光さんは師匠とは声がまるで違う。大阪弁もマイルドである。
そうすると角度が付くので、師匠のままやっても楽しい。
掛川の宿は甚五郎もの。
甚五郎ものは「三井の大黒」「竹の水仙」「ねずみ」の3つがほぼすべて。
その他はごくマイナーで、「叩き蟹」「奥山の首」。
それから、講談から移植したのが喬太郎師の「偽甚五郎」。浪曲からが好の助師の「百人坊主」。
掛川の宿も、浪曲。
いかにも浪曲っぽい、グダグダなストーリー。悪口じゃないですよ。
浪曲だと節が入るところを、鶴光師はギャグを入れる。それで、地噺の伝統がある落語になる。
主人公は左甚五郎だが、掛川の宿にはもうひとりのスーパーヒーローが出てくる。
絵師の狩野探幽斎。
尾張のお殿さまが参勤交代のため、掛川の本陣、遠州屋にお泊りになる。
遠州屋は3日間休業して準備にあたるが、ひねくれものの爺さん、探幽斎が1両払うから泊めてくれと。
なら泊まれとなるが、物置みたいなボロ部屋をあてがわれる。探幽斎気にせず、女中に心付けも弾んでちびちびやる。
遠州屋にあとからやってきて、打ち合わせもないのにまったく同じ行動をとるのが甚五郎。こちらは若く、探幽斎とは親子ぐらい。
同じく1両払って、すでに先客のいる物置部屋に押し込められる。
お互いが気に入らないのだが、口を一切利かずに酒を飲み交わす変なふたり。
そして翌朝、ふたりそれぞれ尾張の殿さまの座敷に自分の専門分野でいたずらをする。
ノミの飛び跳ねる物置部屋から、脱線して(師匠に聞いた話ですがと)、ノミに芸を仕込む小噺に入る。
このフリーダムな感じが好き。
鶴光師以外はなかなかできない語りだが。
逃げ出しても追いかけられ、捕まってぐるぐる巻きにさせる二人だが、実にのんき。
いたずらの価値を知る尾張公により、一件落着。
客4人でもいい席があります。