仲入り前の三遊亭好の助師は、「おあと休憩をお楽しみにお付き合いください」。
幻の林家九蔵として話題を集めたこの人、おかげでずいぶん聴いている。話題だけの噺家では終わっていない。
前回観たときは金髪だったが、だいぶ色は薄くなっている。それとも、新たに赤く染めた?
時計を見て「後半はまず、副会長の楽之介師匠、それからトリが竜楽師匠ですから、私のほうはまあ、軽くやります。上がりの目標2時5分」。
2時3分ぐらいに高座に上がったのだが。
とにかくこの人は、常にふざけている。ふざけているのだが、高座になじんでいるのが持ち味。
そして、軽くやるといっておきながら死神である。最近の落語ディーパーに触発されたのでもなかろうが。
冒頭の部分、金に困った男が「豆腐に頭ぶつけて死んじまえ」と女房に追い出されるので、「穴どろ」だとばかり思っていた。
穴どろと冒頭が共通している死神など聴くのは初めて。円楽党の古典落語は、たまにこのように違うスタイルがあるので面白い。
「豆腐の角」って言わないのが、なんとなくこの人っぽい。可能な限り常に言葉を詰めるらしい。
冒頭部分が入っていても、20分程度でやるので、結構スピーディな死神。だがカットしているシーンはない。
ストーリーを追いながら、しっかりギャグが入る。常時ふざけている好の助師の、入れすぎないギャグがやたら面白い。
こういう持ち味の人、他にはあまり知らない。
死神の呪文は、「あじゃらかもくれん本日は亀戸梅屋敷寄席にお越しいただきありがとうございます五代目圓楽一門会は毎月1日から15日まで両国寄席を開催」。
さすがに長すぎてツッコミが入る。
そして死神、簡略化したバージョンを教えるが「あじゃらかもくれん」だけ。簡単だね。
「甘井羊羹先生」ともうひとつ名前が出てきた別の医者は「北海道函館先生」。先がないと。
反則技で消されてしまった死神は、前座降格になったそうな。
最後のシーンに亀戸梅屋敷寄席の客のローソクがあって爆笑。「五本ぐらい消しましょうか」「ダメだよ」。
さすがに普通には終わらない。ちょっと工夫したサゲがついていた。
楽しい一席だったが、好の助師ツイッターで、
<本日、梅屋敷ご来場頂き有り難う御座いました。
なんかさ。って感じでしたよ。>
とのこと。
仲入り前にトリネタを掛けたことをとやかく言われでもした?
竜楽師は高座で言ってたけど。
ちなみに、仲入り前でトリネタを掛けること自体に問題はないと思う。
実際ここ亀戸でも、「品川心中」「竹の水仙」「庖丁」など聴いている。
この師匠のツイッター面白いのでよく読んでいるのだが、人の陰口が多いのはちょっと気になる。
まあ、橘家文蔵師ほどじゃないけど。