三遊亭兼作勉強会@あんどうらく亭 その4(不孝者)

更新遅くなりました。

三遊亭兼作さん、トリの一席は不孝者。
あんまり若い人の手掛ける噺じゃないだろうが、でも桂銀治さんも昇進直後にやっていた。
そんなにメジャーな噺じゃないのに、最近よく聴く。
三遊亭円楽師の襲名前後で1回ずつ。そしてつい最近、柳家三三師から聴いた。
すべて同じスタイルであり、出どころは同一みたい。
昔林家正雀師からも聴き、そして小朝師がやるようなので、大もとは彦六の正蔵なのか。

今日は書くこと少ないので脱線します。多くても脱線するんだが。
ここ4~5年、急に聴くようになったのが「狸の鯉」。落語協会の前座さんはかなりやる。
いっぽう、最近妙に聴かなくなったなという噺もあるのだ。
「だくだく」である。芸協の二ツ目さんに流行ってた印象がある。
私好きなんだけども、めっきり遭遇しなくなった。季節ものでないので、たまたまじゃなくて減ってるのではないか。
これはたぶん、プロトタイプがわからなくなって、工夫をしても効果がなくなっちゃったんじゃないかと思うのだ。
だから基本というものはやはりあったほうがいい。工夫の大きい人のためにもだ。

若旦那を残して、飯炊きの清造だけ残ってきた。
若旦那は謡の会だから先に帰れという。しかし大旦那の誘導尋問で、三味線が入っていたことをポロッと清造、喋ってしまう。
清造の服を脱がせる大旦那、下男に化けて、自ら茶屋へ若旦那を迎えに出向く。

「家の中で追いはぎに遭うとは思わなかっただ」はなかった気がする。クスグリには相当こだわっているようである。
省略するのもこだわり。

若旦那が遊んでるのは「若竹」。
「若竹潰れたんじゃなかったか。いや、わかる人だけわかればいい」

このセリフが入ってるのだから、明らかに円楽師から教わっているのだろう。
各地の披露目で聴き覚えて許可をもらったのかもしれない。
でも、なんだかつい最近聴いたばかりの三三師の影響が強い気がしてならない。そんなことないと思うんだけど。
師匠ルートでもって、三三師から教わったって不思議ではないけれど。

もっとも、大旦那が若旦那の声を批評するあたりが、三三師のごとく噺家の芸談に聴こえたりはしない。それはキャリアの差。
そして、大旦那が物置に押し込められるのを、実は相当に楽しんでいるという隠し設定は感じられない。これはまあ、仕方ない。
そもそも公式設定じゃなくて、私が勝手に感じてるんだけど。

芸者の欣也が間違って入ってくる。
大旦那がほっかむりを取って初めてわかる欣也。

「まあ、旦那、落ちぶれて」

この後、くだくだ説明をしないですぐ理解してくれるのが、最近聴いたものと共通している。
本当は、「あの旦那が下男の格好でここにいる」という状況、説明されずにわかるはずはない。
でもこの省略は噺の嘘として好ましいと思う。

大人の男女の会話が続く。
難しいと思うけど、ちゃんと聴ける。
旦那は必死で、別れたあのとき、いかにやむを得ない事情があったか、いかにつらかったかを語る。
そして直接ちゃんと話すべきだったことも。

そしてついに、兼作さんの工夫。
旦那と和解した欣也が、旦那の腕をつねつねする。
デレデレの旦那。
そこに清造を呼ぶ若旦那の声(仲居の声ではなくて)。
「不孝者め」がズバッと刺さる。いいじゃないか。
個人的には欣也はつねつねするような人かなと思わないでもないけど。
ただなんとなくわかる。若い兼作さん、このおとなの噺を攻略するにあたり、こう考えたのだと思う。
大旦那は年寄り。欣也だって、そこそこの大年増。35ぐらいだろうか。
ただ、大旦那と欣也には年の差がある。これが突破口。
兼作さんから見た欣也との年の差を、大旦那との年の差にスライドさせたのでは?

兼作さん自らネタ帳を持って撮影タイム。

「一席目はほぼ○中さんですけどね」

世にも珍しい、後払い方式で2,000円を支払うことに。

閉演後ちょっと歩こうと思って、私はペッツと呼んでいる、文京シビックタワーを目指すことにする。
坂を登っていたら、途中のお寺で「六代目朝寝坊むらく之碑」というものを見つけた。
常泉院というお寺だったと思う。
ちなみに開演前には、なんでもないビルに芸協新真打のポスターが貼られていた。

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