三遊亭兼作勉強会@あんどうらく亭 その2(岸柳島にリアル屑屋登場)

兼作さん、マクラの段階から語りが軽快。
テンポの上げ下げが魅力的。なんでもない自分自身のセリフに緩急を与える。
130kmのチェンジアップと155kmのフォーシーム。
簡単そうだが、なかなかできません。
できる人は、噺家でなくラジオDJにいたりする。
兼作さんは袴姿。
マクラの上げ下げするテンポのまま本編へ。扉ガラッと開けて八っつぁんがタダの酒飲ませろと。

この子ほめは、ほぼ音楽。
実に気持ちがいい。うっかりすると、気持ちよすぎて言葉が耳に入らなくなりかける。
心地いいが、もう少し意味に耳を振って聴く。
別に美声というわけじゃないが、この気持ちよさはそうそうない。
積極的棒読み推進派の私だが、こういうラジオDJ的語りはまるで違う世界にある。

100歳の年寄りが街歩いてたらどうするで隠居に叱られるが、隠居も長寿を褒めろと教えてくれる。
八っつぁん感動し、そうか上に褒めるのもあるんですね。
そこから反対に若いほう、ということで子供の褒め方へ。
スムーズなのかなんなのか、冷静に考えるとわからないがでもスムーズに感じてしまう。
とにかく無理な点がない噺。古典落語に看過できない無理な点があれば、作り変える。

知らない黒い男に声掛けて、もう一度声掛けてしまうのもスムーズ。互いに町内一周してくるのだ。
同じ男に二度声掛けるクスグリを知っていても、あれ違うのかなと一瞬思ってしまうので効果抜群。

伊勢屋の番頭さんとは「厄そこそこ」のあと、「40だからな」「さいなら」。
頭をひっぱたかれないうちに八っつぁん自ら退散。
八っつぁんの前に住んでる番頭さんと、とてもいい関係に映る。

タケのうちで「亡くなったおばあさんに似て」「ばあさん後ろに立ってるよ」。
これはなかなか新機軸。
そして、どうみてもタダでございますの続きがある。オリジナル。
早めに手を叩いてしまうような客はもともといないが、語りが極めてスムーズなので叩かれてしまうことはないだろう。

「毎度おなじみの子ほめでした」
旅のマクラに入る。
師匠・兼好が他協会の噺家と仲良しのため、結構稽古をつけてもらえることが多い兼作さん。
柳亭市馬師匠にもハマっている。落語協会前会長、日本歌手協会現会員。歌の上手い師匠。
入門したばかりの際に「けろよんです」と挨拶したところ、「けろよん! 早く人間におなり」。
楽屋では市馬師から「けろよん!」。叱られるのかと思うと「呼んだだけ」。

ちなみに「けろよん」を冒頭高にしたりしてた時期もあったが、現在前座時代を振り返る際は「ケロヨン」のアクセントで統一になったらしい。

七代目円楽襲名披露は、北は北海道から南は九州まで各地でおこなった。
けろよんがすべてについて行く。
山口県から大分へ、ジャンボタクシーに乗って移動する。
その市馬師に、大師匠好楽、小遊三、当代円楽、番頭の好一郎の一座。だがトンネルで渋滞に巻き込まれる。
市馬師がみなさんのトイレを心配しだす。でも行きたいのは自分。
なんとかPAまで行きついて一安心。だが、運転手も遅れてトイレへ。
師匠がたが用を済ませ戻ってくると、タクシーが閉まっている。夏の日で、PAには日差しを遮るものがない。
師匠がたが固まって、車の作るわずかな影に身を寄せていた。

マクラはまだまだ面白くなる余地がありそう。
小遊三師の小便近いネタは入らないんだと思った。
ところで思ったが、兼作さん、今後徐々にマクラのリズムを変えてくると見た。
2席連続でもって、マクラ、本編、マクラと来ているわけだ。
抑揚豊かな、歌のような語りではある。とはいえずっと同じリズムで来ている。
ここで、大きくリズムの異なる喋り方のマクラを入れれば、またリセットして本編が楽しく聴ける。
まあ、いつも例に挙げてる小痴楽師までいけば、無限に客を楽しませ続けられるわけだけど。

乗物から渡し船。さあ事だ馬の小便渡し船。
となれば岸柳島(巌流島)。
私はかなり好きな噺で。季節ものだしそれほどは聴けない。
この噺が上方に移植される日を私は楽しみにしている。

若侍がいい。町人どもに悪態つきまくって嫌な奴なのだけど、記号的。
本気で不快になるわけじゃない。ただ、不快キャラという記号そのものが暴れまくる。

「進むと川に入ってしまいます」「構わぬ。入れ」
あたりのやりとり、軽くて非常に好き。こういうところでウケ狙うといいことはない。

そういえば、乗り合わせる町人たちも記号的。しっかり描きすぎないから軽くていいみたい。
兼作さんの「たがや」も聴いてみたいなと思った。持ってるか知らないが。

キセルの雁首落っことす若侍。
ここで町人たちがじわじわ喜んでるのがたまらない。逆説的だが、キャラを強く描きすぎていないからこうなる。
そして屑屋登場。
大好きな岸柳島だが、ひとつだけ納得いかないのが「クズーい」と余計な声を張り上げる屑屋。
そもそも、人と会話していて「クズーい」じゃないだろと。
だがこの余計な一言が、極めて自然だった。この屑屋は自然にこう言うね、という。

さて、いいところでハプニング。リアル屑屋登場。
窓の外で大きな音量でもって、「廃品回収に参りました」。
兼作さん頑張って続けていたが、こらえきれなくなって噺を中断する。

字数もいいところなので続きます。

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