あかね噺アニメを観る(第5席)高卒で落語家になるとは

高卒後、プロになりたいあかねと進路相談の先生との攻防。

大学に行かせようとする意味がわからん。
進路を決めてて、親が賛同しているのを、先生が大学に行かせようなんて傲慢すぎないか? しかも成績優秀でもないのに。
続くかどうかという意味では、落語界は辞める人のほうが少ないので、就職先としては意外と悪くないかも。
まあ、年功序列真打にはなったが仕事がなく、寄席にも呼んでもらえず、副業が本業になってる人もいるが。

柔道してるあかねの男友達・尾崎は、昔おっとうのことを悪く言ったデブだったんだな。
マンガでは気づかなかった。でもちゃんと一コマで描写されてました。

あかねちゃん、先生に「落語観にいきませんか」はプロ志望者としてはいただけないね。「聴き」に行くのが落語。

先生はかつてお笑い志望者をその道に送り出したが、その子は散々な末路になったそうで、なのであかねの行く末を、もろ手を上げて賛成はできないのだと。
確かに現在、お笑い芸人志望者だったら、まず大学行かせたほうがいいだろうと思う。
インテリジェンスが必要なのは、落語よりお笑いのほうだ。落語には不要、とまでは言わないが。
大学に入って、オチケン加入は別に必須でもないと思う。
大学オチケンで活躍してプロになった人も多数いるので、入らないほうがいいとは言わない。
だが、お笑い(サークル)と決定的に違うのは、オチケンの延長戦上にプロの落語界があるわけではないということだ。

高卒か大卒か、オチケンか非オチケンかという問題より、社会人を経験しているか否かのほうが、噺家人生にとっては大きい気がする。
大卒あるいは中退してすぐ師匠の門を叩いた噺家は、だいたいどこかに社会人を経験しておけばという後悔もあると思う。
人間を語るにあたり、なにかしら欠落を感じるみたい。
まあ、高卒で早く入門するメリットもそれはそれ。

昔は高卒で噺家になるのが当たり前。
小遊三師匠なんか、大卒が恥ずかしくて当初中退と公表してたので。
今では高卒は少数派。中卒になるともうレア。
柳亭小痴楽師は高校中退。
柳家花緑師は中卒。
このお二人は二世。
二世には今でもそこそこ高卒組がいるかも。来春真打になる林家たま平さん(二世どころか四世)や、金原亭小駒さんなどは高卒。
もっとも「二世だと高校卒業後に噺家になりやすい」と、そういう関係性はない。二世も大卒のほうが多いはず。

先生がひとり考えている中に、ひとつ考慮すべき事実がある。
「一時の思いで突っ走るとよくない」

噺家さんは、学歴に関係なく、いっときの熱情に駆られて師匠に入門をしてしまった人が多い。
三三師や小助六師みたいに、落語オタクひとすじだった人のほうがむしろ珍しいのだ。
だから職業落語家になったあと、どうなるか。
「落語に飽きている」噺家は結構いると思う。特に、実力が頭打ちになったときは。
まあ、飽きるつもりで入門した人はいないだろうけど。

らくご喫茶で転失気を演じるあかね。
学校寄席では定番の、子供の大好きな屁の噺。知ったかぶりの大人を子供がへこますのだから、実に楽しかろう。
寄席でもよく掛かる。
「あたしおなら借りに歩いてたんだ」のくだりは鉄板でウケるはず。
「知ったかぶり」の」噺であり、これは「千早ふる」「ちりとてちん」など同テーマの噺がある。ただ前座がやるのは転失気だけ(千早ふるはまれに前座が掛けている)。

サゲが何種類もある噺でもある。
あかねは「いいえ屁とも思いません」。これは結構多数派と思う。
他に結構な確率で出会うサゲが「はて、寺方では盃を転失気と申しますか。我々医者のほうでは転失気はおならのことですが。いつからそう申されますかな」「なら平安時代から」。
珍念が和尚から逃げていって「さよおなら」というしょーもないサゲも実在する。
柳亭小痴楽師は、真打ながらよく転失気を掛ける人だが、サゲは「どちらもつまみが必要ですから」。

ちなみにらくご喫茶(らくごカフェ)ぐらいのキャパでもって、来た客がわからない噺家はいない。
あかねちゃんも、「あ、先生」とわかってないと変。というか、開演前から見つけてるはず。

あかね小噺は、カミシモについて。
歌舞伎の花道が取り上げられている。噺家さんも師匠から「歌舞伎は見といたほうがいいよ。カミシモがわかるようになる」と言われるようだ。
忠臣蔵四段目では、腹をお召しになる塩谷判官は上手(向かって右)にいて、花道をやってくる由良助を眺めている。
落語の「淀五郎」や「四段目」においても、このカミシモはそのままである。
淀五郎で花道にいる意地悪團蔵は、お辞儀をしながら右側を向いて、ひとりぶつぶつ言っている。

あかねが「上を向くときは噺が飛んだとき」と言ってるが、実際に上を向くシーンは結構あるなと思った。
二階で騒ぎがあった(二階ぞめき、七段目、湯屋番、百川、棒鱈)ときは、当然上を向く。
それから、目線だけでおかみさんの首が伸びるのを描写する「ろくろ首」。

ではまた。

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