「昭和元禄落語心中」に出てくる落語につきいろいろ書いているところです。
放映はもう終わっているアニメですが、人気ありますね。当ブログも、このネタを出すとアクセスが倍になります。
現実社会の落語についてもどうぞご贔屓に・・・
菊比古演ずる「弁天小僧」で大成功に終わった鹿芝居の打ち上げ。ご機嫌の助六。
菊比古に「兄弟子の言うことは聴くもんだ」と言っている。弟子入り、というか門をくぐったのが先だから助六が兄弟子なんだそうだ。すぐ菊比古に反論される。
そもそも、噺家さんには香盤というものがちゃんとあって、序列は決まっているのである。あとから兄弟子がどっちだのいう会話はおかしい。
ともかく満州で兵隊さんたちを喜ばせることに生きがいを見出して帰ってきたという助六に、改めて自分の落語が誰のためなのか考える菊比古。
牛ほめ
菊比古の回想シーン。師匠に、信さんと一緒に稽古をつけてもらっている。
まあここは、前座噺ならなんでもいいのだ。
品川心中
みよ吉にも励まされ、芝居の成功を落語に活かそうとする菊比古。
二ツ目勉強会のネタおろしのため稽古している。以前、助六に喋らせてダメ出しをした噺だ。
助六に、かつて「お前さんは色っぽい噺が向いている」と言われたことを思い出す菊比古。
鹿芝居で自分がようやくつかんだものを、いち早く見抜いていた助六。そこに埋まらない差を感じてしまう。
お血脈
「おけちみゃく」と読む。
菊比古の前に助六が上がってこの噺を掛けている。
お客が喜べば喜ぶほど調子が上がる助六。それを袖で見て、嫌になるが、しかし目を離せない菊比古。
「お血脈」は、登場人物の対話で物語が進む噺と異なり、語り手としての噺家が前面に出る「地噺」である。
地噺に分類されるものには、「紀州」「たがや」「源平盛衰記」「荒茶」などある。「目黒のさんま」も噺自体有名過ぎてそう言われないのだけど、典型的な地噺だ。
三遊亭歌之助師匠が手掛ける「爆笑龍馬伝」なども、新作だけど地噺。
じっくり語り、独自ギャグを入れ込んで作る地噺ではなく、江戸っ子の啖呵のようにトントーンと語る助六の地噺。実際にこんな二ツ目がいたら、さぞ人気出るでしょうね。
ふたたび品川心中
助六の後で高座に上がる菊比古。この物語の中で初めて、お客にウケる落語ができた。
菊比古の遊女お染は非常に色っぽく、またかわいらしい。菊比古が、自分で「ない」と言っていた愛嬌もたっぷり。
これは鹿芝居の効果ももちろんだが、主としてみよ吉と付き合ったおかげだろう。
助六のように吉原に通わなくても、芸の上達手段はいくらでもあるのだ。
誰のためでもなく、「テメエのために」落語をやっていることに気づく菊比古。
品川心中については前回も書いたのだが、やはりこの続きである「下」はいらない。
特にこの、菊比古の演じるかわいいお染に復讐する必要があるでしょうか。