落語のフレーズを唱えてみよう

落語のフレーズには、そこだけ覚えたくなるものが多い。

寿限無寿限無
五劫のすりきれ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝るところに住むところ
やぶらこうじのぶらこうじ
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助

ご存じ「寿限無」の子供の名前。子供の頃覚えてしまいました。
知らないよりは知っていたほうが、ちょっと楽しい。
NHKが広めた、最もスタンダードなものと一致していたのは幸いである。
一門によっては細かいところが違う。
よく聞くのは、「うんらいまつ」が「うんぎょうまつ」つまり雲行末。意味は一緒ですね。
それから、「やぶらこうじのやぶこうじ」。
「グーリンダイ」が一個少ないのもある。
別になんだっていいのだが、学校寄席などで子供の前でやるとき、スタンダードなものでないと「違う」と言われてしまうらしい。

大人になってから覚えたものもある。

自らことの姓名は、父は元京都の産にして、姓は安藤、名は慶三、あざなを五光。母は千代女と申せしが、わが母三十三歳の折、ある夜丹頂の鶴を夢見てわらわを孕めるがゆえ、垂乳根の胎内を出でしときは鶴女、鶴女と申せしがそは幼名、成長ののちこれを改め、清女と申し侍るなり

「たらちね」のお嫁さんの名前。本当は「きよじょ」だけが名前だけど、八っつぁんはこれ全部が名前だと思ってしまっている。
これも、噺家さんによっていろいろ細かい違いがありますね。入船亭などそもそも「たらちめ」だったりする。

先年、神泉苑の門前の薬店、玄関番、人間半面半身、金看板銀看板、金看板根本万金丹、銀看板根元反魂丹、瓢箪看板、灸点

これは「ん廻し」。
ひらがなだと、「せんねんしんぜんえんのもんぜんのやくてんげんかんばんにんげんはんめんはんしんきんかんばんぎんかんばんきんかんばんこんぽんまんきんたんぎんかんばんこんげんはんごんたんひょうたんかんばんきゅうてん」
「ん」がつくだけ田楽が貰えるわけである。このフレーズだと43本貰える。
NHKの「えほん寄席」で桂文我師匠がやってらしたもので覚えたので、上方のアクセントで。
唱えているとリズミカルでとても気持ちがいい。

わて、中橋の加賀屋佐吉方から使いに参じました。先度、仲買の弥市が取り次ぎました、道具七品のこってこざいます。祐乗・光乗・宗乗三作の三所物、備前長船の則光、四分一ごしらえ、横谷宗珉小柄付きの脇差、柄前な、旦那さんはタガヤ言うとりましたが、埋もれ木やそうで、木ィが違うとりましたさかい、お断り申し上げます。次はのんこの茶碗。黄檗山金明竹、遠州宗甫の銘がございます寸胴の花活け、織部の香合、古池や蛙飛びこむ水の音言います風羅坊正筆の掛物、沢庵・木庵・隠元禅師貼り混ぜの小屏風・・・この屏風なァ、わての旦那の檀那寺が兵庫におまして、兵庫の坊さんのえろう好みます屏風じゃによって、表具にやって兵庫の坊主の屏風にいたしますと、こないお言づけを願いしとう申します。

東京の寄席ではよくかかる「金明竹」。実はこれを覚えたいと思っている。
覚えたら、おかみさんが旦那に四苦八苦して説明している様子をさらに楽しく聴けるんではないかと思っている。

これが覚えられたら、次は「がまの油」の口上でも。

続編:落語のフレーズを唱えてみよう(続)

作成者: でっち定吉

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