池袋に小せん師を聴きに行き、4日間にわたってその模様をお届けしたところである。
池袋の下席昼席は、落語協会固定の席。時間が短く、その分安い。私はこの特殊な席に、高い確率で通っている。
昼席から夜席の仲入りあたりまで居続けるのも楽しいのだが、なかなかそんな時間は取れない。
池袋下席は、色物さんが二組しか出ないというのも特色。だが、だからこそ寄席の色物の重要性がよくわかる。
今回は青空一風・千風のふたりが、寄席の漫才師として一皮剥けているのを目の当たりにした。
そして、脱力系紙切りの楽一師匠は本当に面白い。
このところ色物さんに大いに着目しているのは、ナイツのラジオを帯で毎日聴いているおかげが大きい。
とはいえ、浅草の東洋館に行きたいとは今のところ思わない。やはり落語の寄席における色物が、もっとも面白いなと思うのである。
落語の寄席は当たり前だが落語が中心。色物は彩り。
太神楽やマジックの人だと、寄席のヒザは栄誉。みんなここを目指す。
落語とはまったく違う芸だし。
ボンボンブラザースなど、いつもどこかの寄席でヒザを務めている。
漫才の師匠の場合、なんで噺家の引き立て役にならなきゃいけないんだなんて思う人も中にはいるかもしれない。
だが、漫才だってやはり、落語の寄席が面白いなと思う。
そしてさらに単純な事実として、落語の寄席に出ている漫才師は選りすぐられているのである。
先日解散したWモアモアなど、上野広小路亭を除く落語の定席には、すでにあまり呼ばれていなかった。これ、誰も指摘しないのだが。
落語の寄席に出る漫才師は、そもそも噺家の一門に加わっている。そうしないと出られない。
一風・千風だと正蔵一門。
落語協会の鈴々舎馬風師など面倒見がよくて、色物の先生がずいぶんと所属している。
だが、所属したって呼ばれないと寄席には出られないし、あまり呼んでもらえなくて結局退会するコンビだっている。誰の記憶にも残らないけど。
「また今回も、ロケット団か」と思う人もいるだろうが、これはエリート芸人が選りすぐられた結果なのだ。
さて、寄席の漫才は常に競争を迫られていて、安泰ではない。
実際、10月上席から寄席に出ている漫才師がいる。落語協会も、芸術協会も。
芸術協会のほうは「母心」。浅草の上席昼席前半に顔付けされている。知らなかったが、お盆の浅草にも出ていたようだ。
ここには漫才ゲスト枠なんてない。芸協の会員になる前提で顔付けされているのだろう。
母心は、すでに両国寄席に出ている。円楽党には色物会員などおらず、芸協に入って支障はない。
ただ、ボケの嶋川さんの奥さんが、芸能事務所オフィスまめかなの社長。まめかなには、円楽師をはじめとする円楽党の噺家が多数所属している。
珍しく、落語協会員の古今亭菊志ん師も所属しているので、この伝手でも使えば落語協会に入れるんじゃないかと思っていたのだ。
だが芸協のほうだった。円楽師との関係があるのだろうが、円楽師は客員だから色物を一門に加えることはできないと思う。
まあ、色物の層の厚い芸協でもいいんじゃないでしょうか。彼らは漫才協会会員でもある。
落語協会のほうは、池袋昼席に「風藤松原」。
米粒写経との交互である。風藤松原は落語協会の会員ではない。
だが、池袋の落語協会にもゲスト枠なんてないから、今後所属する前提なのだろう。
風藤松原は、珍しいところで聴いた。2年前のらんまんラジオ寄席の公開収録である。
その際、彼らの力の抜けた芸が、落語の寄席向きだと書き残している。本当に落語の寄席にやってきたので私は嬉しい。
大阪出身でしかもNSC上がりの芸人にも、こんな成功の道があるのだ。
風藤松原は漫才協会には入っておらず、この点米粒写経と一緒。
浅草よりも、落語の寄席に出たいのだろう。
関係ないけど、野球が終わるとらんまんラジオ寄席が始まる。今年は公開収録がなく、すべてスタジオ録音だそうで。
色物が充実するのは嬉しいことである。
後は、落語協会にもう少し講談の先生が入らないものかなと思っている。
講談は色物なのかそうでないか、落語協会では扱いが微妙なところだ。
新しい漫才師の方が出られるとこれから協会に入って寄席に定着するのかなと期待したくなりますよね
最近だと桂華紋さんとも関係が深いおせつときょうたさんが芸術協会入りしましたよね。どこの一門弟子なのか気になるところですが
落語協会の講談師の方といえば宝井琴調・琴柳先生等がいますが確かに少ないですよね。落語協会の公式ホームページの物故者には一龍斎貞丈先生の名前がありますが一龍斎の先生も来て欲しいところではありますね
うゑ村さんこんにちは。
おせつときょうた、どの一門なのか私も知りません。隠すことでもないのに、どこにも情報がないという。
ナイツもそうですが、たまに高座で話している人もいますけどね。
はじめまして。いつも興味深くこちらのブログを読まさせていただいております。
風藤松原の件ですが、本日の橘家文蔵師匠が二人の落語協会入会のいきさつ(?)のようなことをツイートされてました。テレビでは売れにくい芸風に感じていたので、寄席の世界で売れてほしいと思います。
まさしさん、いらっしゃいませ。
情報ありがとうございます。文蔵師のツイート読みました。
落語協会の漫才を強化してくれそうな風藤松原に、私も期待しています。
丁稚定吉様
返信ありがとうございます。こちらのブログは「立川雲水」でネット検索をかけて行き着きました。SNS上での雲水(敬称略)の異様ともいえる言動に憤りと言い表せないモヤモヤを感じておりましたが、丁稚定吉様が見事に言語化なさってくれて快哉を叫ばせていただきました。
それにしても雲水は自分の言動が落語界、立川流、そして家元談志に迷惑をかけてるという自覚はないのでしょうか?一種、捨て鉢になりながらも芸人の性として目立ってやろうという心情なのでしょうか。
談志ファンとしては、頼むから談志の名前にこれ以上泥を塗ってくれるなという気持ちです。志の輔師、談春師、生志師がなぜ傳志会に雲水を加えてやってるのか不思議でなりません。
決してツイッターには書かないけれども、雲水は「山本太郎が大嫌い」だと睨んでいます。
偉そうにしていて、支持者も多いから。