亀戸梅屋敷寄席27(上・三遊亭楽太「新聞記事」)

6月の、好一郎師の披露目以来の亀戸梅屋敷へ。今日行ってきた。
報道以後の落語協会フリーはまだ続く。露骨に避けてるわけじゃないけれど。
月曜にこの寄席があるのは珍しいように思う。私は何曜日でもさして関係ない。
高座の上から、平日昼間の来場を揶揄される(ヒルハラ)のは許さないが。
トリは萬橘師。円楽党を代表するこの師匠、なんと2年半振り。ずっと聴きたかったのだけど。
今日は久々の萬橘師、それから真打になってからは聴いていない鳳笑師を目当てに。
ただ、目的はそれだけではない。
今月、江東区でQRコード決済の30%還元を実施中。
ドラッグストア等で買いだめして帰る予定。3,400円買い物すれば、梅屋敷寄席の入場料1,000円が捻出できる。
今月は、豊島区のスタジオフォーに出向いた際も、都営の一日乗車券を買い、門前仲町に寄り道して買いだめし、帰ったのであった。
物価上昇を気にしない男。
結局13,000円ほど必需品を買って4,000円近く獲得。

ちなみに寄席の前には亀戸のジョナサンにいた。こちらの代金も、「セゾン・アメックス・キャッシュバック」で30%還元だ。
こんなことばかりしているのだが、入場料の現金1,000円すら財布に入っていなかった。慌てて銀行へ。

30人ぐらい入り、なかなか盛況。

新聞記事楽太
孝行糖好好
よっちゃん楽麻呂
(仲入り)
釜泥鳳笑
浜野矩随萬橘

前座は師匠を喪ったばかりの楽太さん。どこに引き取られるんだろうね。
高座は久々に聴くのだが、ずいぶん上手くなっていて驚いた。

私の師匠は先日亡くなった6代目です。
師匠に新聞読めよと言われていたのでNYタイムズを読んでますと師匠のネタ。
ああ、師匠に教わったらしい新聞記事だなと。師匠のは以前書いた

師匠も入れていたペットの猿のドライブ小噺を振り、新聞記事へ。
師匠追悼なのはわかるが、演出は結構違う。自分で考えたらしい。

友達の竹さんが泥棒に返り討ちに遭い、死んだと隠居に聞かされたわりには平然としている八っつぁん。
途中で、「待ってました、逆上・・・逆上ってなんです?」と合いの手まで入れている。
ここだけ、ちょっと変。もともと不自然な噺をどう処理しようか、考え抜いてのことなのはわかる。
あとは余計な引っ掛かりなく、実にスムーズ。
よそでやってきますという八っつぁんを隠居は止めないし、友達のヨシ公の野郎も別に話を拒絶したりはしない。

真っ先に行くのが、天ぷら屋の竹さんのところなのはいにしえの型。

躁病気味で、隠居の噺をそらんじてない八っつぁんがいちいち引っ掛かるのを、ヨシ公は優しく相手をしてくれる。
こういう世界が好きな人なんだろう。
そして、こういう世界の好きな噺家が、私は好きなのだ。

ようよう小噺のオチまでやってくるが、「逮捕されたよ。てん・・・」。アホなくせに自分の間違いについてだけは察しのいい八っつぁんなんて、初めて見た。
やっと「アゲられたんだ」と思い出すが、先に「天ぷら屋だからな」と言われてしまう。
でもやっぱり平和な世界。

二ツ目は、栄豊満さんの代演で好好さん。
元引きこもり。
好好さんのためにツカミの挨拶を考えてみた。
「ボンジュール、ヒキコモール、三遊亭好好です」
よかったら使ってください。ニンじゃないって? まあそうですな。

栄豊満アニさん、いい仕事があったんでしょう。代演を頼まれました。
アニさんに報告しなきゃいけないんで確認しておきます。今日、栄豊満アニさんを聴きに来られた方いらっしゃいます?
・・・伝えておきます。

師匠・好楽の話。
笑点では「仕事ない」キャラの師匠ですけど、もちろんウソです。
ただ、コロナのピークの頃は本当になくなってしまいまして、ずっとウチにいました。
私が最も家が近いもので、よく呼ばれました。前日に電話が掛かってくるんです。
「好好、明日空いてる?」「はい、空いてます」「明日銭湯行くから来ない?」
先に空いてるかどうかだけ訊かれると、断れません。
で、銭湯行ったあとは夕方6時から飲み会ですよ。午前1時まで。
3日ぐらい連続なら別にいいんですが、これが10日ともなりますと。
昨日もやっぱり呼ばれまして、一緒に日本シリーズを観てました。
日本シリーズ、終わったらお開きかなと思ったんですが、空気を読まない高卒2年目が同点ホームラン打っちゃって。で、コロナのおかげで短縮とはいえ延長12回ですよ。
やっと帰れるなと思ったら、やっぱり午前1時まででした。

と、とても嬉しそうな好好さん。
師弟間のあんなトラブルがあったばかりなので、鼻の奥がちょっとツンとしました。

本編は、名前と同じ孝行糖。円楽党ではそもそもよく出る。
与太郎が出てきてからは短いので、前半の長屋会議が厚め。

「昔むかーしもろこしの」から始まるくだり、「食べてみな、おいしいよ」というのが普通だと思うのだが、「食べてごらん」だった。
師匠に相談して変えたのでしょう。
ごらん、のほうが優しいものな。
好好さんも、幸せに溢れた世界が好きなようだ。
本当にいい一門。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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