落語会を聴きにいろいろな街に出向くが、元住吉というところは、落語と無関係になじみがある。
東京でも川崎でも商店街の立派な街が私は好き。元住吉まで、用もないのに電車乗って仕事しに来てるのである。
その、なじみの街で落語会。これは参加せねば。11月30日土曜日。
柳家蝠丸、雷門小助六という、ぜひに聴きたい顔付け。
蝠丸師については、12月の池袋中席は行くつもりだが、なお聴きたい。
元住吉で仕事してから出動。駅前のランドマーク的な住吉書房が閉店していた。
東西に長いブレーメン商店街から北に入って少々歩くと会場。
商店街でも、今日落語がありますよと呼び込みしてた。
昼夜2部制であるが、私は昼でないとなかなか。
ひとみ座寄席は毎年やっているが初めて。人形劇団だが、改装中につき国際交流センターという立派な施設が会場。
なかなか盛況。100人は超えてるようだ。
階段状で席も広く、快適なホール。
そういえばプーク人形劇場からも、正月の新作落語会の案内が来ていた。どうするかな。
非常にいい会でした。続いてる会は違うなと。
演者は毎回違うわけだが、世話人がしっかりしていて客の感度がいいと、なにかしら高座も違ってくるのでしょう。
紙入れ | 成幸 |
禁酒番屋 | 小助六 |
(仲入り) | |
楽一 | |
叩き蟹 | 蝠丸 |
この会は基本的に落語協会と芸術協会から呼ぶようだ。今年は芸協が3人。
紙切りの楽一師が落語協会。
開口一番は金髪の二ツ目、立川成幸さん。
メクリの「幸」の字が面白い。幸の左右に「風」の字のようにはらいがついている。こんな字はじめて見た。
高座返しをしたり紙切りの高座を設えたりと、前座の仕事をしていた。
成幸さん、前座のときには聴いている。二ツ目になってからも一度聴いているが、ブログには書いてない。
茨城県小美玉市出身の江戸っ子です。鹿島アントラーズの下部組織でサッカーに打ち込んでました。
茨城でFMをやってます。ネットで聴けるのでぜひお願いします。
この人の過去の高座のこと書いてないのは、あまり気に入らなかったから。
改めてじっくり聴いて、声の良さには感心する。
だが、いい声を頻繁に張り上げてくる。張り上げる際に、なんだかザラッとしたものを感じるのだ。
あと、声はいいのに意外と滑舌よくない。
せっかくのいい素材なのにもったいない。声量をコントロールし、官能的な声を客席に届けられれば、いっぺんで大好きになるかもしれない。
土曜の昼で、子供も結構いるのに、豆腐屋の間男小噺から「紙入れ」。どんなセンスだ。
だが噺の編集には感心した。
旦那に間男の件を報告する際、おかみさんからいい匂いがしたんでそんな気はないのについ押し倒して、そんな気はないのについ脱がしたんだって。
そして、「見ましたか」「読みましたか」がやたらウケていた。これには感心。
今誰がやってもウケないクスグリなのに。
成幸さんは20分。仲入りの出番はお目当ての雷門小助六師。
この人は最初に珍品派として認識した。だが昨秋に聴いた雑司が谷の落語会ではスタンダード演目3席で、イメージがガラリ変わった。
非常に幅の広い人である。
この雑司が谷の会に今回は近いものだった。演目もスタンダードな禁酒番屋だし。
学校寄席のマクラを振る。これも雑司が谷で聴いた内容だ。
松戸の小学校(地元なのに、言及しない。きっと松戸ではないのだ)の学校寄席の会場は9月の体育館、非常に暑い。
1時間の席に休憩を4回入れて、生徒に水飲ませて先生が生徒にミストを浴びせて、落語をちょっとやってこの繰り返し。
マクラの内容がやたら楽しいということではないのだけど、非常にリラックスさせてくれる。
学校寄席で花束をもらうのはよくあるが、最後に小さい女の子がお酒をくれた。小学校でお酒なんて珍しい。
女の子いわく、とっても口当たりがいいんです。
ここから酒の噺に持っていく。
本編・禁酒番屋が始まる頃には、すっかり小助六師の話術に魅入られていた。
具体的にどこが面白い、じゃない。これが落語であり、これが話術であるという、その塊。
付近に小学生の男の子がいて、この子がマクラからとても楽しんでいたのが、私としてはなんだか非常に嬉しかった。
ちなみに「親子なんですから」と、「お天道さまかお月さまか」を振る。
これも尋常でないウケかた。
親子なんですからでこれだけウケるもんかと。
小助六師は、古典落語の言葉をわかりやすく直したりしないなということも発見。
お天道さまかお月さまかは、「あたしゃこのへんのもんじゃない」と落とすのが普通だと思っているが、「あたしゃ土地のもんじゃない」。
小学生の男の子もちゃんとウケている。伝わるのだ。