神田連雀亭昼席12桂竹千代卒業公演 その2(三遊亭遊七「千早ふる」)

遊七さん、こんなに上手い人だった? ちょっとびっくり。
配信で感心して「化けた」と取り上げたことはあったものの、現場ではそれほど聴いてない。
二ツ目に成りたての頃、全然上手くなかった高座に遭遇している。
それがここまで伸びるなんて、本当にすごい。
こんな伸びしろだらけの人、いません。
「演出」と「語り口」、双方に感心した。
特に語り口はすばらしい。
この人は、私がいつも最大限擁護している「棒読み」とは全く違う世界の人。小痴楽師のいる世界とでも言おうか。
言葉のリズムが最高にいい。口跡がいいので、一度テンポを落としておいてまた一気にかさ上げしていくことができる。
メリハリがつくので、客は高揚してくる。
ちょっと信じられないぐらい上手い。
言葉のリズムを上げ下げすることでうまさが伝わる。
書くと簡単そうだが、できる人はそうそういない。

知ったかぶりについて。
私もあんまり落語知りませんのでと遊七さん。オチケンの人とは違います。
大師匠小遊三型の千早ふる。
最後、「この作者はあたしなんだからあたしが終わったって言ったら終わりだ」といって、嘘なのをバラしてしまう。
マラリヤは入ってたがドンパン節はない。

なのに冒頭はずいぶん違うのだった。
隠居(「旦那」と呼んでいる)に訊きにくる吉っつぁんは、小さいころ百人一首は覚えてしまっている。
だから業平の歌はすらすら出るのだけど、意味は考えたことないんだって。
すごいな。知ったかぶりの隠居も、無知な吉っつぁんも、根底が教養溢れる世界の住人なのだった。
さすが江戸ガイドしてる人は世界の構築が違う。
隠居もまるで動じない。

大川のたもとにおいしい団子屋があったんだが、売れないんだ。名前がないから。
在原業平という人は、左遷されて東の国にやってきた。大川でもって歌を詠んだ。

名にし負はばいざ言問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと

これから、言問団子の名をもらい、さらに橋が架かって言問通りまで生まれた。
ありがとうございますと礼を言って帰る吉っつぁん。待て、歌が違うよ!
旦那、歌が違いますよ!
わりと早く戻ってきたな。

すごいね。伊勢物語と言問団子。
そういえば、TBSの外山惠理アナは言問団子の娘さんでしたな。そのエピソードも入れられるんじゃないかと思ったが。

川の名前に畜生の浅ましさは入らない。
女性だからかもしれないが、それよりもたぶん陳腐に映るんじゃないかな。
この先はわりと普通の千早ふるだが、冒頭の遊びはいつまでも面白い。

遊七さんも、もともと線が細かった人だが堂々としていていい。

続いて三遊亭あら馬さん。
なんだか声が大きくて、怖い。
芸協落語まつりのチラシなど持ってくる。
実行委員長の小笑アニさんがなかなか確定しないので、私がXで拡散しましただって。
昇太会長と、小笑師の顔のイラストの入ったチラシ。昇太師だけは、俺の目が怖いよとお気に召さない。
私が写真をPDF化して、大変でした。

あと、まつりの落語会に私も出ます。
高座じゃないんですが踊りで出ます。私、口開かなければいい女なんです。
第4部、遊雀師匠と宮治アニさんが出ます。
宮治アニさんなんて高い会しか出ませんからね。貴重ですよ。

それから、私も竹千代アニさんのチケット預かってるんです。
私から買っていただいてもいいですよ。鯉白アニさんと勝負します。

神田連雀亭というのは、本来さまざまな団体の人が混ざって化学反応を起こすところに値打ちがある。
私もそう思うけど、でもこの気心知れた芸協メンバーどうしの楽しさと言ったらないな。

あら馬さんは、ぞろぞろ。
これがかつて桂しん華さんから聴いた型で驚いた。あのファンキーなぞろぞろに型あったんだ。
こんなの作りそうな人というと…可風師かな?
舞台は、昔は階段しかなかった四谷。神社の具体的な名はないが。

婆さんはシャレばっかり言っている。
「わらじ馬鹿よね」はなかったけど。
で、信心してきたらと勧められる爺さんは、お参りのついでに「婆さんのシャレが止まりますように」。
実際、一度はシャレ不発に終わり、「信心の効果かな」と爺さん。

で、信心に行く前にわらじの客が来てしまう。

「あ、間違えました。お参りの後で来なきゃいけないですね」

仕方ないのでお客を待たせてお参りに。
鯉白アニさんのせいですだって。
テキトーすぎて笑うしかない。

もうこんなことで、トリの竹千代さんがやりたい放題していい土壌ができていた。
他団体の真面目な人が一人いると、無理だったろうな。

続きます。

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