池袋演芸場38 その1(柳家三語楼「やかんなめ」新演出?)

土曜日、いろいろ検討した。だが結局寄席へ。
柳家緑太師の初主任。
花緑一門の中では、(悪いが)好きな度合いは決して上のほうではない。
まあ、柳家ばかりでちょっと面白そうな気もするので行ってみる。
割引券が出ていて2,500円。
実に面白かった…クイツキまでは。

金明竹 ちゑり
たいこ腹 緑助
やかんなめ 三語楼
雛鍔 市馬
あまね
お菊の皿 左龍
あちたりこちたり 小満ん
(仲入り)
加賀の千代 小はん
粗忽長屋 小さん
笑組
佐々木政談 緑太

客は20人ぐらい。
聴きやすい席である。増えるかなと思ったら、増えなかった。
まあ、下席は入れ替えあるからな。

すでに前座さんが大きな声で喋っている。
先日、鈴本で追い出し太鼓を叩いていた入船亭ちゑりさん。現在落語協会唯一の女性前座。
金明竹の言い立てに入っている(2回目)。
時間からして、傘や猫のくだりはなかったのではないか。
その場合はおじさんが用を作って出かけないといけない。

言い立ては落語協会で一番よく聴くものと基本は同じ。
道具七品が揃っているが、語尾が若干違う。
4周目で非常にゆっくりな言い立てとなり、「木が違った」を強調する。
タガヤサンでなく埋もれ木と間違えたのはお宅の旦さんですという断りも入っている。
なんとなくオチケンぽい。いい悪いではなくて言い立てに慣れてそうな。
今日のところは、「声が大きいね」以外には別に。

二ツ目は主任の弟弟子、柳家緑助さん。
タイの留学生ではありません。浜松出身です。
秋に一花ねえさんの披露目があります。
Xの見出し(※ママ)って誰が付けてるんでしょうね。
「落語協会初の女性の真打」って書いてありまして。
これ、歌る多師匠読んだら気を悪くするなと。
歌る多師匠のサイト見たら、なにも書いてなかったです。ホッとしました。

本編はたいこ腹。寄席の二ツ目枠、たいこ腹率は高い気がする。データ取ったわけじゃないが。
以前聴いた、さん花師のものに似ていた。飼い猫のタマは、「飼っていた猫」と過去形で表現する。
その直前、「豆腐、こんにゃく、大根、あたしですか? あたしおでんの具じゃないんですけど」が面白かった。
冒頭若旦那の独白で、退屈なのでやったいたずらが語られる。小便小僧の下にトマトジュースを流し込み、血尿小僧。これもさん花師だったか。

仕入れ先の工夫と、オリジナルのクスグリ。かなり噺に工夫しているのは偉い。
ただ、一八のヨイショでもって「苦い食物が走るようなものですよ。苦みばしる」なんて入れるだけマイナスな気はした。
猫ちゃん褒めて、「おやいつペルシャになったんですか」は面白かった。

針が折れて「身ごもったよ」も微妙。
微妙なクスグリ多いけども、でも緑助さん、ギャグを一生懸命言ってないのはいいと思う。
…ギャグを一生懸命言う二ツ目なんてそもそもいない?
まあ、ともかく緑助さん、取捨選択の意識は高い人。
つまらないクスグリ抜かなくても、一八のスベリ芸が描けたら成功なんでしょうね。
サゲは新たにこしらえてた。
ただたいこ腹の既存のサゲ、面白くはないけどストンと落ちるものではある。
よほど面白くないと敵わない気はする。

真打は柳家三語楼師。
池袋でしか聴かないけど、結構好きな師匠。寄席の空間を下支えしていて。
次が市馬師匠ですので、私は手短にと振って、薮医者小噺。
市馬師の前で薮医者やるんだと思ったら、以前も聴いたやかんなめだった。

結構斬新な演出があった。ただ、ちょっと変な気配もした。
仕込み損ねて誤魔化した可能性もある。
そうなのだとしても、これやかんなめの新たな演出になるのでは。
この噺もやたらメジャーになっちゃって、ちょっと飽き気味だったのでちょうどいい。

癪の合薬の説明に、「まむし指」「男の下帯」は入っていた。だが本編には出てこない。
出てこなくていいけど、仕込まなくてもいいのでは?
そして、肝心の「このおかみさんは合薬がアカのやかんでして」という仕込みがない。絶対なかったかというとやや自信ないが、なかったと思う。

100%演出と思えないのは、おかみさんの女中たちが「あのおつむり、なめさせてもらえるかもしれない」と語らっていたから。
最初から合薬の説明抜いてしまうつもりでやるなら、この部分もきっと「おかみさんこれで助かるかも」というセリフにしておくだろう。
でもって、女中のセリフの中で初めて合薬の正体を明らかにすれば、なかなか劇的になりませんか?

どういう目的だったかわからないが、いいやかんなめだったと思う。
お武家はあんまり怒ってないし、それほど早飲み込みでもない(だからまむし指と男の下帯が入らないのだ)。
お手討ちシーンはごく短く、お武家はかなり早い段階でなめさせるのに同意している。

やかんなめよくやる人でも、なんだかクスグリにこだわってる感じの人もいるなあと思っている。
そうじゃなくて、人情噺の風味のあるいい話なんだと思うのです。

続きます。

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