浅草演芸ホール7 その4(寄席漫談と色物の殿堂)

米福師が下りたあと、ちょっと便所に行くかと思って席を立ったら、ほかにも大勢。隠れ仲入りだった。
コロナの頃に前倒しの仲入りがあったのはわかるのだけど、浅草はこの風習だけ残していて、トイレ休憩になっている。
この頃から2階を開放みたい。平日なのに実に賑やかである。

この二つの仲入り休憩の間の高座は、寄席嫌いの人が「寄席なんて」と思う感想、それを肥大化したものだったなと。
披露目だからなおさらわちゃわちゃしている。
寄席嫌いの人の気持ちもわからないでもない。でも突き詰めるとなんだって楽しい。

できたくんへのリクエストは「まぐろ」と「ザブトンに賭けた男達」。
もちろん新真打・桂竹千代師関連だと思ったら、まぐろの人はたまたまなんだって。
ともかくこれに合わせて「マグロを背負った竹千代」を切り抜く。竹千代師のゴリラ顔がまた似てるからすごい。
袖の竹千代師に作品を見せるので、竹千代師が袖から顔を出す。

紙切りの挟試しみたいな最初の作品を切り抜く際、BGMに合わせて手拍子を始めた客がいる。
お気持ちはわかりますが、せかされてる気がするんでやめてください。
二度としないでください!
とできたくんちょっと叱っておいて、その手拍子を始めた人に作品をあげる。優しいね。

しかしできたくんは急速にアートスキルとトークスキルをともに上げていてすごいな。
芸協の紙切り勢、負けてますよ。

次の歌春師が漫談第1号。
第2号はヨネスケ師なのだが、その間の竹丸師もほぼ漫談だったので、漫談3発である。
まあ、その漫談がいずれも楽しくて。
歌春師の漫談、TVKで流れていた時代に浅草お茶の間寄席で聴きまくった。
だから、内容ほぼ知ってるんだけども、久々に聴いたら爆笑だった。
寝かせておいた間に、私の中で話芸として熟成していたのだ。古典落語と同様、知ってるからこそ楽しいということになっている。
漫談もいいなと思うではないか。
歌春師は顔がいいよね。にやけっぱなしが基本フォームなので、ちょっと険しい顔をするとこれがメリハリになる。
めでたい披露目ですが、私は高座が済んだら帰りますだって。

のんきな商売。家にいるより楽屋にいたほうが楽しい。
お茶出してくれて作業着に着かえる際には手伝ってくれて、一席終わると畳んでくれてまたお茶が出て。
あたしがふだん家でしてることみんなやってくれる。
後期高齢者になったが、同窓会に行くと一番若い。なのでいくつに見えるか訊いてしまった。

マンションなので犬猫は飼えないが、九官鳥を飼ってる。
というわけで、最後に九官鳥小噺を披露。
寄席の定番、九官鳥小噺については、以前こんなものを書きました。

九官鳥小噺リアル版

次の春雨や雷蔵師は、マクラなしで道灌。
本当に基本の道灌で。
基本のクスグリばかりなのだが、客によくウケる。
しかしさすがにクスグリ含めて聴き飽きている。寝てしまった。
道灌掛けると、披露目でおなじみの「一目上がり」を掛けづらくなってしまう気がするのだけど。夜席の前座さんが。
あと、披露目なのになんら祝いの言葉を喋らないのはどうなんだろう。
新真打、五郎師の叔父筋として顔付けされてるのだろうけど。
やっぱり雷蔵師、少々偏屈なのか。
落語は別に嫌いじゃなくて、楽しみにしてたのだが。

北見伸&ステファニーは、美女軍団(瞳ナナ、小泉ポロン)にひとりグラマラスな新人さんが加わっていた。
芸協の香盤にはまだ名前がない。
序盤に伸先生が、カードを空中から無限に取り出す見事な指技を見せたあと、いったんハケて、新人がしばらくひとりで務める。
まだまだぎこちない。伸先生の所作がいかに優雅なのか、あらためてよくわかったのはよかった。
噺家と一緒である。
伸先生が戻ってきて、舞台の上でトランクにポロン先生を隠し、串刺しにする。
披露目に見事な彩りである。

仲入りは竹千代師の師匠、桂竹丸師。
2階にも手を振る。
竹丸師は、引っ越し先で「ケイチクマル(桂竹丸)」の船乗りだと思われたマクラから、小噺特集。小噺というか、ジョークである。
上方の桂春若師がよく落語の前にこんなことをしている。似ているが、竹丸師は何の予告もなく、ただジョークを羅列していく。
どこまで続くかわからない。そして全部楽しいジョーク。実にスリリング。
竹丸師のこんな高座は初めて聴いた。残念ながら内容、なにも覚えてない。
ブラックなネタもあった気がする。
爆笑なのに、まるで疲れないからすごい。ごく軽いのである。
これで下りるのだろうと思っていたら、世界一短い「猫の皿」に入っていった。
猫の皿も、ほぼ小噺である。小噺としてここまで編集できるんだなと思った。
「茶屋で爺さんが絵高麗の梅鉢でもって猫に皿をやっている」これを最速で出して、すぐ落とす。

仲入りのあとは口上です。続きます。

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