この日の番組、もちろん認識して出かけている。だが、最近の私は途中で番組表を確認したりしない。
細かい順番など覚えていない状態が、むしろ楽しいからである。
山口さんちのツトムくんの出囃子が流れて、誰だっけ? と思う。これが楽しい。
コント山口君と竹田君である。
芸協はコントが4組もいる。前はチャーリーカンパニーもいたのだけど。
山口君は今年70歳だそうな。竹田君も年が変わるとそう。
素晴らしい古希もいたものだ。私も子供のころからテレビで観てる人たち。
「竹田高利、40歳」
ここで客席から「ぐらい」と先に声が掛かる。
あまり褒められる行為ではないが、演者は喜んで礼を言ってた。
竹田君は温泉旅館の客。隣の客が騒いで寝られないと、番頭の山口君を呼び出す。
コロナの頃の空いた席だと、後から登場する山口君の「お前だけ拍手もらえていいな」というネタがあった。
少なくとも披露目の席ではこれはムリ。
このネタは「宿屋の仇討」から拾ったに違いない。
前座さんが気を付けておかないと、夜席でこの噺出てしまいかねないなと思った。コントの演題はネタ帳に書かないからね。
しかし、客の竹田君は万事世話九郎ではなく、番頭の山口君は伊八ではない。
うるさいお客さんを注意して欲しいと頼む竹田君だが、山口君は相手にしてくれない。
温泉に来るのは何のためですか。日常からの解放でしょ? 日常から解放されて騒いでるのは当たり前でしょう。
温泉に来て静かにしてるお客さんのほうが変ですよ。こんな夜中に人を起こして、反省してください。
この温泉は源泉たれ流し。お湯をほうっておくとお客さんの垢やらせっけんカス等でぬるぬるする独自の湯となる。
コントこそが、日常からの解放であるな。
続いての出囃子は「デイビー・クロケット」である。春風亭昇太師。
芸術協会会長であるこの師匠、寄席で聴くことなどごく少ないので、嬉しいですね。
弟子の披露目なんですけど。あんまり出てなくて。
ぼくは今、新橋演舞場で熱海五郎一座に出演してるんです。
演芸の世界では、先に声を掛けていただいたのお話を優先するんです。その後どんなにいい話があっても、先約を優先します。
もう20数年前から出てますから。今度昇進する昇吾が入門したときには、ぼくはもう熱海五郎一座に出てたんですよ。ですから、どちらが優先されるか明らかです。
もともとは伊東四朗一座なんです。伊東四朗さんが出演されないときに、熱海五郎になったわけです。
おわかりですね、伊東でなくて熱海なんです。
今日はどうしたのかというと、休演日なんです。なのでこちらに来ました。
夜席の披露目は、何度か出てますけどね。
芝居出てますと、いろんな人に会えます。
今回、野呂佳代さんですよ。今ドラマにすごくよく出てる元AKBの女優さんです。ぽっちゃりしてかわいいんですよ。
それからなんとね。沢口靖子さんですよ。お人形さんみたいですよ。
沢口さんが、ぼくとこんな近くで芝居してくれるんですよ。
普段は笑点メンバーしか見てませんからね。この後もそんな人が出ますけど。
最近、笑点人気なんです。視聴率トップだったりしまして。
やっぱり司会がいいとですね!
毎回じゃないですけど、日本テレビの全番組の中で1位なんてことも、たまにはあるんですよ。
どうして笑点人気かわかります?
他の番組はみんな、進化したんですよ。頑張って他の番組を研究してね。
でも笑点だけは、進化しないんです。周りの番組が進化して、ひとりだけ取り残されたんです。
そうこうするうちに、ガラパゴス諸島みたいに、特殊な番組として残ったわけです。
いまどき、女性が一切出ない番組って珍しいでしょ?
スポーツ番組だって女性が出ますよ。
よく考えたら、昇太師のマクラの話術はなかなか珍しい。
どんな有名な人だって、まずお客と接点を見つけ、しっかりつながったのを確かめてから話題に入る。
しかし昇太師、その様子が一切うかがえない。いきなり最速で客に飛び込んでいる。
いやこれも正確ではない。客は確かに受け入れているのだが、外形的に見ると演者は一方的にまくしたてているだけなのだ。
笑点司会者の特権なのだろうか?
でも他の笑点メンバーだって、笑点の話題を振ることによってようやくつながれるものだ。
昇太師は芝居の話から入って、あとで笑点にたどり着く。
昔はまだ、「今日は落語を聴くという、そんなビッグなイベントにお集まりいただき」とか言ってたろう。それもいらないんだ。
お酒の話。飲まない人は、飲み会がつらかったりする。
若干、饅頭こわいの今日のバージョンについてしまった気もするが。これは仕方ない。
というわけで、宴会の花道。
よく考えたら、「花道」って演歌にはつながるけど宴会とは遠いなあ。
でも面白いタイトル。
続きます。