一花さんのマクラ思い出した。
将来、昇ちくさんが出世したら、皆さまはあの人を前座時代に見たって自慢できるんですよ。
まあ、その頃は皆さまもういらっしゃらないかもしれませんが。
仲入りに桂吉弥師登場。見台はなし。
兵庫県の高級住宅地からやってまいりました。尼崎いうところです。なんで笑うんですか。
落語芸術協会さんからお話いただきまして、本日寄せていただきました。立派なホールですな。
品川駅から生意気にもタクシー使わせていただきました。
「荏原」も読めなくてね。わたしにんばらにんばら言うておりました。
私も落語家生活31年でございます。
私の師匠は吉朝といいまして。その師匠が人間国宝の桂米朝でございます。
吉朝の家は狭いものでして、大師匠の米朝の自宅に住み込んで修業をしておりました。
阪神大震災のあった2005年に修業を開始しまして、その後1年半で大師匠が人間国宝になりました。私のおかげでございます。
昔朝ドラの「ちりとてちん」ちゅうのに出ておりました。その頃からはずいぶん貫禄が出ましたが。
今日の高座はこれだけです。ラジオがありますので帰ります。
平日は「きっちり!まったり!桂吉弥です」で、明日土曜日は元関西テレビの桑原征平さんと一緒に「征平・吉弥の土曜も全開!!」をやらせてもらっております。こちらももう19年になるんです。
今どこでもラジオ聴けますからぜひ。
尼崎の自宅から出まして、往復7時間ぐらいです。高座は20分です(実際は30分をオーバーしてやっていた)。バランス悪いですわね。
先ほどの一花さんは、今度の秋に真打です。NHKのコンクールでも優勝しはってね。
あっさりやってはりましたな。猿の小噺でウケるんですから大したもんでございます。
私は先月でradikoプレミアムやめてしまったので(またいずれ入る)、関西のラジオは聴けない。
いろいろこの日の裏話を話しているのだと思うが。
一花さんは自分で語らないので吉弥師が真打昇進を語ってくれた。
そして、吉弥師からすると、あない遠慮せんでもエエのに、もっと思いっきりやったらよかったのにというフォローである。
まあ、あれが東京の落語界の美学ではある。美学の中で楽しませてくれたのだからいいんじゃないか。
今日は夏の噺をさせてもらいますと吉弥師。
植木屋さん、と「青菜」に話に入りかけて。
私が最初に教わった小噺というものがありまして。植木屋の噺なんですけど。
植木屋に、「もの言う花はないか」とやってきた男がおりまして。
ああ、なぶりに来よったな。そやけど「ございます。なんやったら尋ねてみなはれ」。
「お前はなんや」「(植木屋がこっそり)梅」
「お前はなんや」「桜」「ぼたん」「さつき」
「お前はなんや」「…」
こいつだけ返事しよらへんな。
そら、くちなしです。
これだけなんですが。
今度こそ入ろうとして、「もうひとつ思い出しまして」。
人間国宝小三治師匠です。東西から集めた番組に私も呼んでもろとりまして。
小三治師匠が青菜されてたんですけども、なにしろお歳のせいで、ちょいちょいセリフが出てこないんですね。
客席からは変な笑い声も上がります。
小三治師匠話を止めて。
「先ほどからこいつは話を忘れて、出てこないんじゃないかとお思いでしょうが。私はね、その場の情景を喋ってるんですよ。一言一句文字を思い出して話すようなものじゃないんですね。だからね、忘れてるわけじゃないんですよ」
まあ、忘れてはったんやと思いますけどね。
小三治エピソードを私が取り上げると変な感じになりそうだが、吉弥師は別に人間国宝を揶揄してるわけではない(ちょっとはしてる)。
一応リスペクトだと思います。
それに、暗記したセリフではなく、情景を喋ってるだけというのは、芸談としては確かによくわかる。
ようやく青菜へ。
面白いな。最初の小噺だって、予定どおり入れたっていいわけだ。
でも、ちょっとスベリ小噺っぽい。米朝だったら動じないだろうけども、難しい。
そこに、「私が初めて教わった」というメタ視点を持ち込むことで、たちどころに貴重な小噺になるからすごい。
あと、「米朝が青菜を演じると旦那の貫禄から空気感すべてが出る」という話もさらっと。
青菜なんてメジャーな噺、高座自体は初めての吉弥師とはいえ、放送等で何度か聴いてるのではないだろうか。
と思ったが。
こんなすごいものは、過去に聴いてないと思う。
なにしろ、植木屋がナチュラルに面白い人。この人見ているだけで楽しいので、旦那が柳陰をごちそうしたい気持ちもわかる。
そして、結構メジャーな青菜を聴いたとしても、「なぜ自宅でもって植木屋は急に遊びをおっぱじめるのか」という不自然さを感じることが多い。
もうそういうもんだ、にして聴いてるけども。
この点吉弥師、面白い植木屋は自宅に帰っても面白い。かみさんも面白い。
なのでごく自然に遊びが始まる。
すごいものを聴きました。若干明日に続きます。