神田連雀亭ワンコイン寄席76 その2(芸協楽屋ばなし)

蕨の市馬師の会と交互に出します。
こちらは25人、蕨は400~500人ぐらい入っていたかもしれないが、盛り上がったのはどちらも同じ。

茶光さん、前座修業は4年ぐらいは必要ですねと語っていた。
弁橋アニさんみたいな働きのいい前座は、かわいがられるわけですよ。でもぼくみたいなオッサンでも、4年もいると覚えてもらえるんですね。
なので老人ホームの老人会に連れていってもらえました。そうやって仕事がつながってきたわけです。
老人会の主催者の人がぼくにいいます。

「私、茶光さんみたいな堂々とした前座さん、初めて見たわ。あなたはもう二ツ目の風格がある。ところで歳はいくつ?」

39ですと言ったら、「すぐ辞めなさい」。

しかし弁橋さんも、単に年上だというだけではなく、漫才師として成功もしていた人を教えるというのはプレッシャーがあったろう。
でも芸協さんでは、割とこういう「けじめ」を上も下もみんな受け入れているようなのだ。
しん華(しん乃)、かけ橋と落語協会の二ツ目出身者が入ってきたときも、きちんと序列を作ってやっていたとマクラで聴く。
立川吉幸師の1年間の前座修業だけは、さすがに小痴楽師が気を遣うぐらいの先輩なので、お茶出しはさせなかったということだけども。

本編は田楽喰い。東では劇中の遊びのまま「ん廻し」。
雀々師から来ているものだろうが、オリジナル部分もちゃんとある。
「痴漢冤罪」を取り込んだ少々不謹慎な「ん廻し」もユニークなのだが、それよりなにより、大部分普通に古典を語って、しっかりウケる。
マクラがウケたことでもあるし、スタンダード古典は大正解。
きゅうりん、なすびん、とまとんあたりがしっかりウケるのは、すごいことだと思う。

なおもぼんやりした野郎が「かぼちゃん」と言うのでヒントを与えてやる。
大阪の方言で言うやろ、かぼちゃのことを「ふんふん」と。ふんふんをちゃんと言うてみい。
そしたら男は「ふんふん」と大声。
いやあ、こんなセーネンガッピみたいなベタなやり取りでしっかり面白さが噴き出ていて、すごいよなあ。

言い立ては私のそらんじているのと同じでした。
最近は新作で華々しい活躍を見せる茶光さんだが、基礎力がすごいことを再認識。
ご本人も、4年の前座修業をよかったと振り返るだけあり、基礎力に自信があるのでしょう。

続いて瀧川蛙朝さん。
私は今月2回目である。
前説でもこの日もふざけていたが、ふざけ方が割とちゃんとしている人。
落語協会でも芸協でもふざける人はいるが、蛙朝さんがいちばんちゃんとしている。不思議だけど。

私はね、茶光アニさんと16離れてるんですよ。
お気づきになりましたか? 弁橋アニさんと同い年です。

弁橋アニさんは高卒で、国立大学に受かっていたのに噺家になった人です(※ これは茶光さんが言っていたのだったか?)。
私は、親から何一つ禁止されたりせずに、なんなら溺愛されて育ちまして。
そして大学を4年と半年で卒業しまして。いえ、私は4年で出たかったんですがもう少しいなさいと言われまして。
そのあと1年半ぶらぶらしていて、噺家になりました。
坂本頼光先生ご存じですか。活弁士の。
頼光先生の手伝いをして、スクリーンを持って電車で一緒に移動しました。
そのとき先生にキャリアを訊かれまして。

「留年してぶらぶらして噺家か。親不孝だね」

今週、ここに3回出てるんですよと。
だいたいは、月2回なんです。ワンコインと昼と1回ずつぐらいで。
なんで出てるのかというと、代演です。二ツ目も、急に仕事が入ることがあるんですね。
代演も、あらかじめじゃないんですよ、前日に電話が掛かってきまして。

「悪い、明日空いてる?」
「空いてます」
「よろしく」

いつもこうです。
どうやら、ぼく以外のLINEグループで、ぼくが仕事ないのがバレてるんじゃないでしょうか。
でもありがたいです。こうやって高座があって。

今日なんの噺がいいですか? アンケート取ります。
「古典落語」「新作落語」「変な古典落語」「変な新作落語」「非常に変な新作落語」
です。

客の拍手で「変な新作落語」に決まりかけた。

ぼくね、月に2本新作書いてるんです。こんなのはぼくだけです。
1本書いている人はいます。2本はいません。
でも、高座に出してみると違うなというのもありまして。
「りえママ」わかります? ステージママの噺を作ったんですよ。
宮沢りえさんに憧れて、ステージママになりたいんだけど娘がブスなので、フラッシュ暗算を仕込んで売り出そうという母親の噺です。
でも、フラッシュ暗算って、ビジュアルが必要なんですよ。落語でやるとどうもピンと来なくて。

と悩んで結局変な新作はやめて、変な古典落語へ。

続きます。

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