一花師の一席目のマクラを思い出した。
「ぶらりこもれび寄席」という無料の寄席。ホールがあるのに、そこではなく入口付近の特設会場で落語をさせられるのだという。
無料だと出たり入ったりするので、仕込みを聴いていない人が座っていたりして気を遣うそうだ。
「ホールは使わないんですか」と訊いたら、「一之輔、たい平クラスなら」。
笑点メンバーにならないとホールでできないんです。
ぶらりこもれび寄席じゃなくて、わざと替えていたのならすみませんが、保谷の「こもれびふらり寄席」みたい。
無料落語会好きの私は行きたくなっちゃった。今度は10月7日、たい平師の息子の林家咲太朗さんだ。
お色直しを済ませた一花師の後半は、「黄金の大黒」だった。
面白い選択。これは、まさに披露目の席で、脇役の人がめでたい席なので気を遣って出す演目。
笛吹きだった一花さんも、その分先輩の披露目にはよく出演したはず。そこで彼女自身が掛けてた演目だろう。
自らの披露目を祝う一席。
軽くて実によかった。生きるのが楽しくなる一席。
トリの圓太郎師をお楽しみにお付き合いください。
最近はマンションでも、子供さんに声掛けたらいけないところも多いらしいですね。
私もマンションですが、隣が中国人で反対がインド人です。インド人のご家庭はいつもカレーを作っています。
最近ではカレーの匂いがすると落ち着くようになりました。
江戸時代は長屋です。
長屋の花見と異なり、黄金の大黒には貧乏長屋というワードが出ないし、店賃未納比べもない。
そういう型もありそうだが、それじゃめでたい席でできない。
大家の坊ちゃんが地面から金の大黒さまを掘り当てた。めでたいから今夜は祝い。ただ番頭さんが言うには、羽織を着て口上ぐらいしてくれと。
羽織誰かある? しかし1人目はしるし半纏、2人目はちゃんちゃんこ。
3人目は本当に羽織持っていた。ただ火事場泥棒してきたもので、左右の袖と背中の紋がそれぞれ違う。
絽なのだが、合わせ。裏に大家んとこのババアの腰巻が合わせてある。
2人目の金ちゃんが与太郎キャラで、口上の口が回らず、仕方ないのでフリースタイル。
なんで大家んとこのガキが掘り当てるんですかね。ひったくって潰して金にすればみんなで分けられたのに。
お前さん長生きするね。
青竹踏んでますから。
久しぶりに青竹聴いて嬉しくなった。私が知る限り、青竹入れてるのは一花さんと、三遊亭兼太郎さん。
大家のぼっちゃんがしょんべん引っ掛けたくだりはなかった。
これはまあ、女性だからでしょうか。
そこはなくてもフルバージョン。
最後大黒さまが歩き出す。サゲは「恵比寿も連れてこよう」あるいは「恵比寿と弁天も連れてこよう」が多いと思う。
一花師は、「大変楽しいのだが、色気が少ないので弁天も呼んでこよう」だった。
再度圓太郎師登場。
彼女はこの座布団、軽々上がってましたね。どうやって上がるのかと思って見てましたらね。階段から一歩目で座布団を踏んでました。
若いってすばらしいですね。私はまず、座布団の下に足を入れてから二歩目で上がります。
先ほど出演料いただいたんですけど、領収書にすべてにハンを突く前に高座になりました。
だから、まだ出演料もらってませんって言い張ったら、またもらえるんじゃないかと思います。
噺がお客さんにウケてますとね、袖に出てお客さんの様子を見ます。
もう彼女、末広亭に行くので帰りました。だから聴いてないと思うんですが(※たぶんまだ聴いてるし、圓太郎師も聴かせてる)、彼女がいいのは、落語のちゃんとした場面でも、目の奥が笑ってるんですね。
きっとね、それがいいんですよ。そんなに真剣に喋ってないんですよ。お客さんも、真剣に喋られたら疲れますでしょ。
冗談めかしてではあるが、恐らく圓太郎師の本音。すばらしい芸談だと思った。
厩火事のお咲さんが、旦那に「あの人の気持ちが知りたいんですよ」と迫るあたりの場面かなと。
この際に一花師はそんなに真剣じゃないと。
若手は、頑張っちゃう人多いよね。頑張ってもそんなにウケない。
この会は港区落語地図というから、港区にまつわる話をするのかと思いました。そうでもないみたいですが。
今日ね、事前の電話で「甲府い」か「化け物使い」どっちかやっていただけたら幸いです、って頼まれました。
甲府いは甲府から出てきた人の噺、化け物使いはどこか田舎から、決めてませんけど出てきた人の噺で、舞台は本所の割下水です。
だから港区じゃないですね。港区の噺をと言われても、急にはできませんよ。
と言いながら、「清正公さまのそばにお屋敷がありまして。元お侍さんなんですけど、大変に人使いが荒い」と、化け物使いを始めるのだった。
「舞台を清正公さまにしておけば、港区の噺したことになるでしょ」
なんだそりゃ。
清正公さまは会場の目と鼻の先であり、井戸の茶碗の舞台。
化け物使いが出て思わず喜んでしまった。
冷静に考えるとおかしい。なぜなら恐らく圓太郎師の化け物使いは4度目だからだ。
再聴に耐えるのはもちろんだが、出て喜ぶのまではおかしい。でも喜んじゃった。
そして今回の化け物使い、過去一番だったと思う。
本編に入る前にコンプライアンスについて振っていた。
続きます。