出囃子「からかさ」が鳴って入船亭扇辰師。
枕は手短。
落語聴いてりゃわかりますでしょ、噺家なんてのは頭のおかしいのばっかりですよ。
一番頭おかしいのが最後に出ます。
阿波徳島、田能村の久兵衛さんとくれば田能久。
扇辰師から聴くの4回目ぐらいだ。一瞬ガッカリしかけたが、しかし実に見事だった。
うわばみの図々しさが増しているのである。それだけ、客にとっての恐怖も倍増する。
ずっと聴いている噺だからこそ、変化に気づくということはある。
そして顔芸。
改めて地図を広げてみたのだが、伊予の宇和島から阿波徳島に帰るって、大変なんだなと。
伊予・阿波の国境(境目峠)あたりをイメージしていたのだが、田能久に出てくる法華津峠や鳥坂峠というのは、四国の西も西だ。伊予の国内。
宇和島から法華津峠、鳥坂峠と、峠を二つ超えてようやっと松山なのである。松山から徳島へはまっすぐ東に向かうが、やはり峠を二つ超える。
ちなみに宇和島から松山までより、松山から徳島の距離のほうがずっと長い。
つまりすでに旅の序盤で苦難に遭っている。
さておっかさんが心配で故郷に帰る田能久さん、荷物の大部分は置いていくが、かつらだけ二三持っていくという断りが入っていた。
なるほど、大荷物だったら急いで帰れない。首からぶら下げられるものしか持っていっていないのだ。
小屋で首から下ろすシーンも入っている。
鳥坂峠超えで、村人に止められる。化けもんが出るだよ。
すず風金魚みたいなのが?
恐れを知らないことを言うなだって。
峠で雨に遭い、小屋に逃げ込む。
でっかいおむすびを食らう田能久さん。
顔芸の全力発揮。酸っぱい梅干しの種を吐き出すところまでたっぷり。
拍手が欲しいだな。
客が慌てて拍手すると、そういうのを手遅れっちゅうだ。
亡くなった桃太郎師みたいなネタ。
小屋に老人登場。
過去の扇辰師のものではどうだったか? 今回は、「うわばみ」というワードは事前に一切出ていなかった。村人たちも、化け物の正体を知らないのだ。
で、この迫力ある老人が、裸になってとっとと俺の口に飛び込めと命じる。
この顔が怖い怖い。
しかし怯える田能久さんの言葉を勝手に聞き間違えたうわばみ老人が、たぬきだと誤解して食べるのを断念。
かつらのおかげで見事女や坊主に化ける田能久さん。
朝になったら転がるように山を下りてくる。
ここで、約束を破って村人にうわばみの弱点を教えてるわけだが、このあたり実に自然。生きた心地のしない田能久さんから、上手いこと聞き出したのだ。
ここ、「異形の者との約束」という結構重要要素と思うので、軽々しく伝えてしまうやり方は好きじゃない。
なんとか徳島に帰った田能久さんだが、「おっかさんの病気は軽かった」という描写はなくなっていた気がする。
それじゃ命からがら帰ってきた田能久さんが気の毒に思うのか。
サゲは「たぬきのキンは八畳敷」だったと思うが、変わっていた。そこで落とさず、その先「千両役者」で落とす。
林家あずみさんは、一門のペー師匠漫談。
ペー師匠とお会いした際には、「先日のテレビ面白かったですね」と話しかけると千円もらえるシステム。
それから、Xに「いいね」すると三千円もらえるシステム。
こんなのしてくれるのあずみちゃんだけだよと。
ペー師匠はとにかく楽屋で賑やか。
我々、お客さんの前に出て、その日の様子を見て話題を細かく調整する。
だから、本番前は集中したいのだ、本当は。
でもペー師匠がいるとそんな暇はない。
浅草では、もう出囃子が鳴ってるのに全然気づいておらず、2階の色物楽屋でおしゃべりしていた。
いったん様子を見たあずみさんだが、さすがにこれ以上出ていかないとお客さんに迷惑が掛かる。なので意を決して「師匠、出囃子鳴ってますよ」。
そしたら師匠、階段を駆け下りて高座に飛び出し、ツカミのギャグを発した。思いっきりスベってました。
いつもあずみさんに小遣いあげてるので、よその師匠が言う。援助交際じゃないの?
ペー師匠弁明する。「この人はそんなに若くない」。
一門会で、なんだかペー師匠が三千円を配りだした。一門揃ってペー師匠を取り囲んでいる。
師匠たい平もそこに混じっていた。
あとはなんだっけ。とにかくやたら面白かった。
あずみさん(先生と呼ぶべきなんでしょう)の話術もどんどんアップしていてすごいですね。
続きます。