昨日は更新しなかったのだが、更新しなくても十二分なアクセス数が出たためです。
今月はおかげさまで、広告収入のほうもググッと上がりました。これで食っていけるわけじゃないけど。
日々ご来訪ありがとうございます。
さてネタ自体はいくつかある。
日曜日、朝から「立川吉笑『犬旦那』」という神田連雀亭の記事にアクセスが集中した。
やはりと思ったが、演芸図鑑でこのネタが出ていた。早朝からリアルタイムで観てる人、多いのだな。
ところで来ていただいたのはいいが、この噺、私が聴いたのと中身が変わっていた。
私が聴いたストーリーは、丁稚の定吉が手代にそそのかされ、旦那の秘密を探るというものだったのだ。
これがばっさりなくなっていた。今回だけの省略ということではなく、中身を差し替えている様子。
元が三題噺で、「新人研修」というワードに対応する部分だったようだ。だが噺がいったんできあがったらもう三題噺に義理はないので、もっと自然に作り替えることにしたのでは。
前のほうが面白かった気もするのだが、いったんネタバレすると印象が大きく変わる噺なので、これはどうかわからない。
ちなみに吉笑さん冒頭で、「たてかわきっしょうです」と名乗る際、「吉」にアクセントを置いていてオヤと思った。
フラットに発音するものだと思っていたし、ご本人が昇太師のラジオに呼ばれた際もそう断言していたのに。亭号が前につくとアクセントが変わることがある。
師匠談笑は、冒頭高だ。別にこれもフラットに発音してもいいのだろうけども、そうすると意味を持った単語になってしまう。
吉笑さんは真打が決まったが、昇進時期は未定とのこと。1年ぐらいは神田連雀亭やスタジオフォー、梶原いろは亭あたりで聴けそう。
さて本題。
番組後半の対談コーナーが、「五街道雲助vs.立川志らく」だった。
雲助師のトークにいたく惹かれた次第。まんま落語なのだもの。
自然と落語っぽくなってしまうというより、ご本人がもっと能動的に、常に落語の世界を生きていこうと決意しているような、そんな感じ。
雲助師は寄席のトリでも、軽い出番でも(国宝になって、今後減るでしょうな)、マクラは噺に付随したものしか語らないことが多い。
独演会だとようやく聴けるのだが、これがやたら面白いのを思い出した。マクラの語り口も、古典落語っぽいのだ。
ちなみに弟子の馬石師も、そんなスタイル。
さて志らく師が噺家を呼んだトークと言えば、過去にこんなのがある。
もう3年前だ。後輩にマウントを取りつついなされる志らくがあまりにも面白かったので、4日も続けてしまった。
それを念頭に置いてみると、今回は人間国宝相手に実に控えめな(そうでもないのだが、わりと)志らく。
だが今回、先輩に気を遣っているのもあるだろうが、主導権を取りたくても取れなかった感じが漂うのである。
ちなみに雲助師個人がどうか知らないが、この世代の落語協会の噺家は、だいたい立川流と志らくが嫌いなはず。
小里ん師にも確か、志らくを殴ってやろうとしたというエピソードがあった。
雲助師、そんな態度を示したりはしないが、しかし水面下で主導権を握って渡さない、そんなムードが。気のせいだろうか。
冒頭、人間国宝決定がどうやって伝えられるかのエピソードが、すでに落語。
お相撲だったら使者が来ますよねとの志らく師のフリを受け、すらすら「ありがたくお受けします。不惜身命をもって。というのはまるでない」。
人の話をいったんぶった切っておいて、そして戻るという、まさに落語。
その後も、目をむいて「いきなり電話が掛かってくる」と雲助節。
ネタそのものの面白さではなくて、語り口だけでウケてしまう。そしてやや派手な、しかし流れるような所作。
普通に語るにしても、いちいち所作が付く。師の高座でトリップしてしまう秘訣がちょっとわかった。
師匠、10代目馬生の話へ。志らく師はもともとこの人の熱烈なファンであったということは以前から語っている。
それはいいが、「馬生師匠が生きていらしたら私は(雲助)師匠の弟弟子になっていた」と。
「なっていたかもしれない」なら全然わかるのだが、この人は断言するクセがあるよね。だからアンチも多いのだな。
そんなもの、師匠が生きていたとして、弟子に採ってもらえるかどうかもわからないのに。
雲助師の本当の弟弟子である当代の馬生師だって、一度3人揃って辞めさせられている。しくじって破門ならわかるのだが、そうでもなく。
そして大師匠、志ん生の将棋と稽古のエピソード。
先日の、「カラーで蘇る古今亭志ん生」で語られたエピソードと、さらに馬石師から聴いたエピソードがそれぞれ混じりあい、興奮してしまった。
雲助師は同じ語り口で、カン高い志ん生のモノマネを入れたりする。
師匠馬生のぞろっぺえさと、そして粋な小言。
舶来ウイスキーを盗み飲む弟子に対し、「寝間にねずみが出るんだよ。このねずみ、ウイスキー飲むんだ」。
来週も雲助師との対談はあるようです。