雷門音助落語会(上・自慢の作法)

3月15日土曜日は、朝思い立って北とぴあ(王子)に行くことにした。
二ツ目さんの会である。1,000円と安いのに、13時開演で2時間半もあるハイパフォーマンス。
王子の街で、一見美味そうなラーメン屋のまずい台湾まぜそばを食べてから会場へ。

しかし行ってみたら完売で当日券がなかった。
二ツ目の会だからって甘く見てた。実にぬかったな。
同じメンバーが、神田連雀亭ではつ離れしなかったりするのに。
ただ、さしてアセらない。他にもいくつか検討してたからだ。
JRのフリーパスを持っているので、どこへ転戦しても交通費は気にならない。

圓太郎師がトリの池袋演芸場も考えたが、開演には間に合わない。
日暮里サニーホールの雷門音助落語会に行くことにした。
こちらは13時半開演。
前売2,000円で、当日2,100円とあまり変わらないのも嬉しい。

他にも検討した。同じ北区の志茂では三遊亭好二郎さん、平井では桂小右治さん。

まだ時間もあるのでとりあえず北とぴあの17階に上がり、展望室から景色を眺める。初めて登った。
飛鳥山や新幹線を見下ろす眺望。飛鳥山の地下を貫く首都高も、トンネル前後がよく見える。
梶原いろは亭は見えないが、目の前の跨線橋、上中里さわやか橋は見えた。
いろは亭でやってる「志ん雀・福丸二人会」は前日の段階では考えていたが、13時開演だから間に合わぬ。
東側の展望室からは、曇ってるが筑波山もチラと見えた。

京浜東北線に乗ったら、うっかり田端で乗り換えるのを忘れ、快速なので日暮里を通過してしまう。
上野から折り返す。
それでもまだ時間はあったのだが、財布の中に2,000円しかない。100円玉の1枚もない。
追加で銀行から引き出していたら、本当にギリギリになった。

札止めだった北とぴあの二ツ目4人は、全員神田連雀亭で聴ける人。
そういう点では、連雀亭に出ない音助さんのほうが一期一会ともいえる。
音助さんは芸協カデンツァと同じ世代だが、あそこに交じるイメージはまるでない。
スタジオフォーで聴いて以来ずっと気にかけている人だが、その後は一度しか遭遇していない。
立川流の寄席をはじめ、落語会も多く開かれるサニーホールは初めて。ホテルの4階。小綺麗な空間である。
結構入っていて50人ぐらい。立派ですね。長くやっててお客もついてるらしい。

日和違い
花見小僧
(仲入り)
火事息子

この会のお客さんから、よくお昼の会はいいわねなんて言われます。夜は出かける気にならないそうです。
残念ながら、次回は夜でございます。お誘い合わせのうえどうぞ。
どうですか、お客さんも日暮里には慣れましたか。私も違和感なくなりましたよ。

隣の音楽ホールではオペラをやっています。
音楽の人はすごいですね。開演はこちらよりずっと遅いんですけど、入りはずっと早いです。
トイレ行くときに、廊下で歌の稽古してたりします。
オペラのタイトルが気になりますね。「夢遊病の娘」って言うんですよ、どんなのでしょう。

今度一門会があります。上野広小路亭です。
われわれ芸術協会のホームグラウンドですね。永谷の方からお声がけいただきまして。
会というものはお声がけいただいたり、自分たちで主宰したりしますが、お声がけいただけるとスムーズに開けます。
雷門一門は3人、師匠・助六と、小助六アニさんです。
お声がけいただかないと、なかなか自分たちではやらない一門でして。別にセンシティブな関係はなにひとつないんですけども。
「師匠、ぜひ一門会をしましょう」でも、「お前たち、一門会やるぞ」でもないんですね。

私このところずっと寄席に出していただいてまして。
寄席は、二ツ目枠はひとつしかありません。3人しかいない一門ですから、本来は師匠のトリのときしか入れないんです。
この点、ひ孫弟子までいる遊三一門とは大きく違うわけです。なのになぜかずっと寄席に入ってまして。
不思議なことに、三遊亭とん馬師匠の芝居にまで顔付けされてるんですよ。昨年のままで、顔付け替えるのが面倒くさかったんじゃないですか。

寄席に出づっぱりは結構だけど、正直、「寄席に出るじまん」が鼻につくなと。
寄席の数少ない枠に呼ばれるのは、実力あってのこと。それは誇っていい。
客の私、決して自慢話自体が嫌いでもない。上手に自慢してくれればむしろ喜ぶ。
「これもすべてあたしの実力あってのことですが。いや、嘘ですよ、SNSにアップしないでくださいね、調子乗ってるって言われますから」なんて断っておけばいいのにと思った。
これが小助六アニさんなら、ややキザなキャラを活かしてもっと洗練された自慢をするだろうな、なんてことも。
キャラが違うから真似はできないものね。

ここだけちょっと嫌味に感じたが、あとは素晴らしいものでした。

今度昇進の瀧川鯉丸アニさんとは仲良しで、私から披露目のチケット預からせてくださいってお願いしたんですよ。
でも売れませんでした。私が顔付けされてるわけでもないんでお客さんには響きません。
今日受付に、各館共通券1枚だけ置いてあるので、ご興味ある方は。

音助さん、鼻濁音がすごい。ちょっと強すぎやしないかななんて。
こんな二ツ目、たまに見る。
実力あるからいいけど、なくて鼻濁音だけ強かったらヘンだろうなと、余計なことを思うぐらい強い。
鼻濁音の強い人は、冒頭のガギグゲゴまで鼻濁音になることがあるが、音助さんもたまにそうなってる。

今日はそれほど褒めてないのですが、別に批判を始める気はありません。
明日は褒めまくります。
続きます。

作成者: でっち定吉

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